PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 躍進企業REPORT > 全蛍光灯をエコリカ高演色LEDランプに交換
躍進企業REPORT

豊国印刷 印刷製造部:全蛍光灯をエコリカ高演色LEDランプに交換

印刷ジャーナル 2018年7月24日
岡田 専務
200〜240本の工場照明と色見台の蛍光灯をエコリカ高演色LEDランプに交換
明るく見やすくなったことで目も疲れにくくなった

色見台での作業負荷軽減〜工場全体が明るくなり快適な作業環境構築

 講談社グループの豊国印刷(株)(本社/東京都文京区、廣田浩二社長)は今年2月〜4月にかけて、印刷製造部(埼玉県ふじみ野市)のすべての蛍光灯をエコリカの直管形LEDランプに切り替えた。印刷製造部には200〜240本の蛍光灯があり、毎月の蛍光灯の交換を不要にする寿命の長さと省エネ、Ra97の演色性と2,100lmの明るさを両立していることなどが導入のポイントとなったようだ。工場全体が明るくなっただけでなく、色見台での検査も明るくなったことで疲れにくく、ストレスなく行えるようになるなど、快適な作業環境の構築につながっている。

 同社は1946年の創業からの歴史の中、その時代に即した技術革新を続けながら事業を拡大させてきた。講談社グループの製造をつかさどる企業として、書籍・マンガ・雑誌作り、また近年では電子書籍・電子コミック制作から、電子コミックアプリ配信までの運用ツールの開発なども手掛けている。

 講談社では、小ロットニーズに対応する設備として、2012年に日本初となるフルデジタル書籍生産システムを導入。同社はその運用を担っており、岡田秀樹専務は「講談社の多様なニーズへの対応には苦労したが、小ロット製造のコスト削減や過剰在庫の削減に繋がるメリットを見いだせた」と語る。現在は手塚治虫のマンガ文庫全集、物理や力学などの学術関係書、講談社文庫などをこのデジタルショートラン(D.S.R)システムで手掛けているという。同社は今後も時代に即した設備やサービスの導入で出版業界で必要とされる会社を目指していく考えだ。

 また、品質面について岡田専務は「当社はモノクロ専門の工場として、書籍・コミックの本文印刷を手掛けている。墨1色の印刷であっても、長時間の読書に耐えられる品質、読みやすさなどを配慮し、かつコミックの表現力を余すことなくダイナミックに紙面上に載せるための最適な仕上がりを追求している。本の手頃感や読みやすさを追求した薄紙の本文用紙の特性を生かしながら、長年の創意工夫から継承された印刷技術によりたくさんの本を世の中に送り出している」と語っている。

蛍光灯とは桁違いの長寿命を評価〜1日8時間点灯させても10年近い使用が可能

 そんな同社がエコリカの直管形LEDランプの存在を知ったのは、昨年末に行われたJAGATのセミナーであったという。そこではLEDランプを提供する3〜4社がプレゼンテーションしていたが、岡田専務は「省エネを実現するだけではなく、蛍光灯とは桁違いの長寿命であることに興味を持った。また、各社のLEDランプの演色性や明るさ、その他の特長も聞いた上で、トータルバランスで当社に最適と感じたのがエコリカのLEDランプであった」と当時の印象を振り返っており、その性能の良さもさることながら、自社環境との相性の良さも導入のポイントとなったと説明する。

 同社が導入したエコリカの直管形LEDランプは、明るさと演色性の両立が難しい昼白色タイプでありながら、Ra97の演色性と2,100lmの明るさを両立している。寿命は5万時間で、1日8時間点灯させても10年以上長持ちするというものである。

 「印刷製造部には200〜240本の蛍光灯があるため、これまでは毎月、最低でも数本〜数十本の蛍光灯を交換していたが、高さが4メートル以上あるため、非常に危険をともなっていた。また、当然仕事の手を止めて交換することになるため、これからは交換作業が無くなることを考えると非常にありがたい。また、エコリカのLEDランプは照明器具をそのまま使用することができるため、見た目にも変わりなく、導入コストも安く済ませることができた」(岡田専務)

 当然ながら、LEDランプの明るさは徐々に落ち、5万時間で約70%の明るさとなるが、同社では様子を見ながら7〜10年後の交換を目安にしているという。これまでの毎月の交換作業の手間を考えると、そのメリットは改めて説明するまでもないだろう。

 また一方、作業性のメリットについて岡田専務は「蛍光灯からLEDランプへの交換作業がすべて完了し、省エネながらも工場全体が明るくなった」と快適な作業環境を構築できたことを満足げに語っている。そしてその効果は、印刷物の検査を行う色見台において、とくに大きく発揮されていくことに期待しているようだ。

 「当社はモノクロ専門工場のため、色見台において墨の濃度や仕上がり検査を行うのだが、検査担当の作業者は1日中、そればかりを行っているので、だんだん目が疲れてくる。明るくなったことにより疲れにくくなり、検査漏れの発生も無くなることに期待している」(岡田専務)

熱が発生しないため、空調を抑えることによる省エネ効果も

 LEDランプは電気代が削減できることはもちろんであるが、熱が発生しないため、印刷現場の温度も上がりにくくなる。このため、岡田専務は空調を抑えることによる省エネ効果にも期待しているようだ。

 「印刷製造部では屋根全体に断熱材を貼っているが、それでも電気代が最もかかるのが空調である。それを抑えることにより、今年の夏は省エネ効果に期待したい」(岡田専務)

             ◇         ◇

 出版業界は厳しい状況が続いている。岡田専務は「電子書籍の影響よりも、活字離れが一番の出版不況の理由となっている」と説明する。

 そんな中、同社では講談社グループのデータ制作・印刷だけでなく、独自で販促プロモーションビデオやショートムービーの制作、ブックデザイン、マンガの英語翻訳などを手掛けながら出版業全体を見渡したサービスに取り組んでいる。

 時代に即した技術革新で挑戦を続ける同社の今後の取り組みも注目されそうだ。