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ユポ・コーポレーション(東京)

創立50周年を節目に今後も新たな価値を創造

藤原英幸社長に聞く|持続可能な開発へ:機能性を付加したユポで社会貢献を

新たに「環境憲章」を策定

 創立50周年を迎える同社は今年、「環境憲章」を制定した。新たに制定された「環境憲章」は、同社グループの環境に対する「石油由来樹脂の一部をバイオマス樹脂で代替し、CO2の排出削減に努めます」「生分解性樹脂(バイオマスベース)を用いた製品開発を推進し、CO2の排出削減・ごみの減容化に努めます」「リサイクル樹脂を用いた製品開発を行い、省資源化に努めます」「効率的な製品開発・エネルギー利用に取り組み、省資源化・省エネルギー化に努めます」の4つの取り組みを掲げている。

 「石油由来樹脂の一部をバイオマス樹脂で代替し、CO2の排出削減に努めます」では、CO2排出削減に貢献するバイオマス樹脂を一部配合した「ユポグリーン」の開発を推進し、最終的には全製品へのバイオマス樹脂配合をめざしていく。

 「生分解性樹脂(バイオマスベース)を用いた製品開発を推進し、CO2の排出削減・ごみの減容化に努めます」では、2025年の販売開始をめざし、生分解性樹脂を用いた製品開発に取り組み、ユーザーの目線に立って要求品質を満たす製品開発を進めていく。

 「リサイクル樹脂を用いた製品開発を行い、省資源化に努めます」では、使用済みのユポや一般のリサイクル樹脂を有効活用した製品の開発に取り組み、資源の有効活用やゴミの排出量削減に貢献していく。

 「効率的な製品開発・エネルギー利用に取り組み、省資源化・省エネルギー化に努めます」では、製品ラインアップの統合や厚みの薄い製品開発のほか、使用済みユポに関しては使用エネルギーの最適化を考慮したサーマルリサイクルにも取り組んでいく。燃焼熱料量が大きいユポは化石燃料の代替品として使用されていることを広く訴えていく。

 「当社は、環境に配慮した製品開発を掲げ、50年前に事業を開始した。その間、社会の環境に対するニーズも時代とともに大きく変化していった。そのため当社も、つねに時代の変化を見据えた製品開発を行ってきた。環境憲章では、全製品へのバイオマス樹脂配合を掲げている。過酷な目標であるが、社会が求めるユポをめざし、一歩ずつ着実に歩んでいきたい」


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環境ロゴマーク


環境配慮と機能性の両立

 我々の生活の中で幅広く使用されているユポ。選挙の投票用紙では、開票作業の効率化に貢献し、また、ハザードマップやトリアージタグでは、その耐久性・耐水性から自然災害などの緊急時でも破損することなく使用できることは評価され、採用されている。また、最近では、永年にわたり使用され、受け継がれていく聖書やコーランなどにも採用されている。これら聖典は、ページボリュームも膨大となるが、ユポであれば耐久性だけでなく、軽量化を図ることも可能だ。

 ユポの強みは、その薄さを保ちながら、様々な機能を盛り込める柔軟性にある。その1つがユポ・サクションタックだ。

 同製品は、平滑な面にエアー抜けがよく、貼って剥がせる微吸着シート。一般的な粘着シートと異なり、吸着面にベタツキ感がなく、糊残りも一切ない。印刷については、インクジェットからオフセットに対応。さらに吸着層に非塩ビ素材を用いているので環境に優しい製品となっている。

 「簡単に貼って剥がせ、かつ繰り返し使用することができるので、季節ごとの商品POPや店舗装飾、また、賃貸住宅では、画鋲などを使用することなく、ポスターやカレンダーといった印刷物を貼り付けることができる」

 欧州では、床や壁材、さらにはテーブルなどの装飾に使用されているという。加えて従来ユポと同様に耐久性や耐水性を兼ね備えているので、場所を選ぶことなく、使用できることも魅力の1つだ。

 「簡単に貼り付けることができるので専門業者に委託する必要もない。また、印刷についても、とくに規定はないので、季節や記念日など、用途に応じた店内装飾ができる。欧州の事例では、結婚式用にユポ・サクションタックを用いた装飾品を印刷し、1日で貼り付け、翌日には、元に戻すといったことも行われている」

 もう1つは、オリジナルデザインでセキュリティ保護と用途展開が可能なユポである「SAR60」と「SLR80」だ。「SAR60」は、1枚のシールが表面と裏面に層間剥離する構造のラベル素材。具体的には、ラベル表面を剥がすと、被着体に1層の薄膜が残る仕組みで、剥がす面と残る面の両方にオリジナルの印刷をすることが可能。これにより残る面の情報を隠蔽できるほか、残った薄膜は、容易に剥がすことができないため、セキュリティにも貢献する。

 「SLR80」は、剥がそうとするとラベル基材が破壊され、被着体に残る構造のラベル素材。再剥離性と逆転の発想で、剥がそうとするとラベルが破損するため、開封の有無などが容易に判断することが可能。これにより、防犯機能を含め、偽造防止などに貢献する。

 これら機能性ユポは、印刷会社の付加価値印刷物の提供に大きく貢献するだけでなく、アイディア次第でノベルティグッズなどにも応用できる製品となっている。

付加価値創造支援で印刷業界に恩返し

 「これら機能性ユポで、当社は印刷会社のビジネスの領域をさらに広げるお手伝いをしていきたい。それが創業から50年にわたり当社を支えてきてくれた印刷産業への恩返しである」

 創立50周年を迎えた同社は「時代のニーズを反映した環境対応」と「紙と同等に使えるユポの開発」「高機能ユポの提供による印刷会社の付加価値創造ビジネスの支援」の3つを軸に、さらなる発展をめざしていく。

 従来メディアを使用した印刷物が減少傾向にある中、ユポは印刷業界において、顧客に機能性と環境適正を強く訴えることができる資材の1つだ。

 今後の抱負について藤原社長は、「これまで培ってきた技術を生かし、合成紙を中心とした周辺技術を合わせて事業を展開していければと考えている。今後も、資源をはじめ環境に対するニーズは高度化してくるはず。これまでも当社は、それらニーズに対応するとともに、つねに使いやすい製品開発を行ってきたという自負もある。今後も、すべてのステークホルダーにユポを使って良かったと満足してもらえるような企業として活動していく」と語ってくれた。

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