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躍進企業REPORT

鴻池印刷:ハイプレッシャー加湿器UruOs-50で「紙反り」解消

印刷ジャーナル 2024年5月5日
村上 社長
噴霧ユニットは工場内に全10台を設置
省スペースでも設置できる「UruOs 50」本体(左)
2023年12月に導入したUVオフセット印刷機の前で村上社長とオペレーター

オペレーターの作業負荷軽減と健康にも寄与


 厚紙印刷やパッケージ印刷などを得意とする鴻池印刷(株)(大阪府東大阪市、村上義孝社長)は2023年12月、UVオフセット四六全判5色印刷機の新台導入に合わせ、(株)コスモテックの産業用ハイプレッシャー加湿器「UruOs-50」(以下:ウルオス)を導入。工場内の湿度を常に一定に保つことで、印刷用紙の紙反りや波打ちなどの問題を解決するとともに、オペレーターに快適な作業環境を提供し、健康面でも効果を発揮している。


 同社は1975年に創業し、来年で50周年を迎える企業。とくに厚紙に特化した高精細・高精度な印刷を得意としている。ディスプレイ什器、さらにCCMシステム(調色機)の設備を有しており、特色も正確・スピーディーに対応できることを強みとしている。社内で調色できる優位性として村上社長は「事前にインキを作っておくこともできるし、印刷中に色ブレなどがあっても機長が自分で調色できるため、即座に対応できる」と、納期面や印刷品質に即座に対応できることを強調する。同社は現在、100社以上の取引先から年間5,000アイテム以上の厚物印刷を受注しているようで、このことからも、同社がいかに取引先から高い信頼を築いているかが分かるだろう。

 そして、同社は印刷設備としても、昨年12月に小森純正のインライン検査装置をオプション搭載した小森コーポレーションUVオフセット四六全判5色印刷機を導入。これにより品質管理を一層強固なものにし、取引先からの顧客満足度をさらに向上させるとともに、目視による検品が不要になり、オペレーターの大幅な作業負荷軽減を実現した。村上社長は「印刷機と連動しているため、色ブレが発生しても自動で色調を調整してくれる」と話しており、作業負荷の軽減と品質の安定という一見相反する2つを両立させた訳だ。

 そして、これとタイミングを合わせて導入したのが、「現場からは前々から導入して欲しいという声が上がっていた」(村上社長)という業務用加湿器の導入である。


数十年来の取引に信頼。周辺装置の技術開発力を高く評価


 同社とコスモテックとの取引関係は数十年以上と長く、一世を風靡した超音波を利用した画期的な二枚止め装置「ウルトラエース」をはじめ、スプレーパウダーや湿し水濾過装置など、これまでに様々な印刷周辺機器をコスモテックから導入している。このため、同社製品には従来から厚い信頼を抱いており、村上社長も「素晴らしい技術を持っているメーカーである」と評価する。そんな同社がIGAS2022で発見したのが、ハイプレッシャー加湿器「ウルオス」であった。

 「コンパクトで当社に合いそうな加湿器であると当時から思っていたので、加湿器の導入を決めた際はとくに他社製品の比較などもなく、ウルオスの導入を決めた」(村上社長)

 「ウルオス」は、水道直結の完全密閉回路のため、ゴミや雑菌が混入することもなく、衛生的な高圧噴霧式加湿器。同社では、過去にコンプレッサー式の加湿器を使用していた時期もあったようだが、村上社長は「よく詰まって噴霧しなくなり、使い勝手が悪かったため、1〜2年ほど使って、そのまま使わなくなってしまった」と、当時を振り返る。


全10個の噴霧ユニットを設置。喉も「ウルオス」業務用加湿器


 同社では、加湿器を設置せずに作業していたこの数年間、湿度が足りないことによる紙の反りや静電気など、様々な課題がオペレーターの負担となっていた。工場内の湿度は55%以上を理想としているようだが、「ウルオス」を設置する以前は通常20%程度の湿度しかなかったため、冬場などはサランラップで包んでも紙はすぐに反ってしまい、オペレーターはそれをヒューマンパワーで真っ直ぐにしていたという。これが大変な労力であったことは、想像に難くない。

 また、同社では印刷機の新台導入後、新たな展開として「薄紙」の受注も開始したが、村上社長は「薄紙の場合は加湿器がないと、静電気により紙通りが悪くなってしまうが、ウルオスを導入していたため、そのようなこともなく、薄紙の印刷も問題なく行うことができている」と話す。

 さらに、ウルオスの導入は紙だけでなく、人間の喉にも「潤い」を与えているという。村上社長は、「湿度55%以上でウイルスは死滅するという医療関係のデータもあり、実際にウルオスを導入してからは、風邪などで休む社員も減った」と、ウルオスの導入は企業としての「健康経営」にも効果を発揮しているようだ。

 現在、同社では全3台のオフセット印刷機を設置しているが、新台のUV印刷機付近に4台、あとの2台付近に3台ずつ、ウルオスの噴霧ユニットを設置している。村上社長は「湿度センサーが付いているため、噴霧により湿度が上がりすぎ、逆に紙が波打ってしまうなどの心配もない。例えば湿度55%に設定すれば、設定の湿度になれば自動的に噴霧が停止し、湿度が下がれば噴霧を開始するため、常に安定した湿度を保つことができている」と話す。さらに、ウルオスの本体はコンパクトで、工場の片隅に邪魔にならないように設置されていた。


エアーコンプレッサーが不要で、驚くほどに消費電力を削減


 ウルオスは、エアーコンプレッサーを使わないため、消費電力を驚くほど抑えることができるのも特徴である。電力消費は1L/1hの加湿にかかる電力量が電熱蒸気式の100分の1という省電力を実現しており、村上社長は「ウルオスだけの電力量は算出していないが、おそらく過去に使用していた加湿器と比べて5分の1以下の消費量にはなっているのではないか」と話す。ウルオスの導入は、同社に作業負荷の軽減と快適な作業環境の提供、そして電力コストの削減など、様々な側面から効果をもたらしていた。

 村上社長は今後の展望として、「従来から得意とする厚紙から薄紙へと事業領域を広げていくとともに、従来から強みとする高品質を武器に、パッケージ印刷にも領域を広げ、ブランドオーナーからの直受注も視野に入れていきたい」と話す。同社は得意とするディスプレイ什器などでは、芸能人の写真入りなどのシビアな印刷も任されており、ここらからも同社の品質における信頼の高さが窺え、高品質が求められるパッケージ印刷にも十分に対応する技術力を有しているといえるだろう。近い将来、その目標を実現できることは間違いなさそうだ。