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躍進企業REPORT

北四国グラビア印刷:「つくる責任」と「つかう責任」を軸に展開

印刷ジャーナル 2023年11月25日
金安 氏
3年連続受賞を達成

GPマーク表示に注力〜環境配慮型軟包装パッケージを提供


 「プラスチック包材-Readyな社会」を目指し、事業を展開している(株)北四国グラビア印刷(本社/香川県観音寺市、奥田拓己社長)は、(一社)日本印刷産業連合会(日印産連)が主催するグリーンプリンティング(GP)認定制度3賞において、3年連続で「GPマーク普及大賞(パッケージ印刷の部)」を受賞した。今回、同社・金安洋氏(取締役工場長/製版チームリーダー食品安全チーム)に軟包装パッケージ印刷分野から見た環境対応への取り組みやGP認定制度に着目した背景、取得後の成果などについて聞いた。

 北四国グラビア印刷は、1970年に、香川県・観音寺の地で創業した食品、衛生用品、化粧品、医薬部外品などのパッケージを手掛ける軟包装パッケージ印刷会社。二度の本社・工場移転を経験しながら、グラビア印刷におけるノウハウの蓄積と高度化を図り、現在では企画・デザイン・製版から印刷・ラミネート・加工、製袋納品に至るまで、確固たる一貫製造システム、先端のITシステムを構築し、美しい印刷品質と徹底した食品衛生管理を実践している。

 その同社が、GP認定制度の認定工場となったのは、2015年12月。GP認定工場への取り組みを開始した理由について金安氏は、次のように説明する。

 「印刷業界だけでなく社会全体のトレンドは、環境配慮や脱プラとなっている。しかし、本当に日常生活においてプラスチックがなくなっても大丈夫なのか、ということを当社は、常に模索している。軟包装パッケージ市場には、『つくる責任』がある反面、『つかう責任』も重要だと考えている。ゴミの分別やリサイクルなど、使った後に適切な処理を行うことで、プラスチックと共存できる社会が適切に構築できるはず。その社会構築への取り組みの1つがGP認定制度であった」

 同社が策定しているCSR報告書では、「社会への責任」「お客様・お取り引き様への責任」「従業員への責任」の3つの果たすべき責任を明記し、それを徹底している。とくに「社会への責任」では、環境保全やパッケージの未来を真剣に考え、SDGsやESGの方針に沿って、地域社会、業界、そして地球全体のために、という視点でノンソルベントラミネーターやハイソリッド型接着剤、VOC処理設備などを導入し、「つくる責任」を実践した事業活動を展開している。結果として、この取り組みがGP認定制度の取得につながったと金安氏は振り返る。


パッケージ印刷の部でGPマーク普及大賞を3年連続受賞


 同社では、GP認定取得後、すぐに環境にやさしい製造工程で生産された軟包装パッケージとして、顧客企業への周知活動を展開。取り組み当初は、理解・賛同してもらえない時期もあったが、徐々に顧客側での理解も進み、GPマーク表示パッケージが増えていったという。

 「当社がGP認定を取得したことで、お客様も環境に配慮した軟包装パッケージをともに推進するきっかけとしてとして自社の商品包装にGPマークを表示できるようになる。これにより当社だけでなく、お客様も環境に配慮した軟包装パッケージで社会貢献活動に参画を宣言することとなる。お客様にもよろこんでもらう環境保全への取り組みこそがGPマーク取得の大きな目的と言える」

 そして、その活動が評価され「GPマーク普及大賞(パッケージ印刷の部)」の受賞につながった。GPマーク普及大賞は、GPマーク表示にもっとも貢献したGP認定工場を他の工場の模範として表彰するもので、GPマーク表示印刷製品をより多く受注し、GPマーク普及に貢献したGP認定工場(印刷会社)に授与されるもの。同社は、2021年度から3年連続受賞という快挙を達成している。さらに同社の顧客である「あわしま堂」は、印刷業界が地球環境への負荷低減に取り組むために創設したGP認定制度に対し、深い理解と同制度を積極的に活用している企業や団体に敬意と感謝の意を込めて贈られる「GP環境大賞」を2022年度から2年連続で受賞するなど、生産者側と発注者側のダブル受賞を実現している。


顧客に環境配慮という付加価値をGPマークで提供


 和菓子・洋菓子メーカーである、あわしま堂は、発注者としてだけではなく、商品を購入した消費者までを巻き込んだ「使う責任」を果たすための手段を模索していたという。そんな時に北四国グラビア印刷の営業から、パッケージにGPマークを表示することで包装資材の面からも、ともに環境問題の解決にチャレンジしませんかとの提案を受け、採用を決断。現在では、あわしま堂が提供するGPマーク表示商品の対象をさらに広げている。

 「当社は、GPマーク普及大賞を受賞できたが、とくに特別なことを行ってきたわけではない。あくまでもお客様がGPマークの理念と取り組みを理解し賛同してくれた結果だと考えている」

 GP認定制度は、自社のためだけではなく、顧客に環境負荷低減活動の現状と未来をともに話し合い、問題を解決していくきっかけを提供できるものだと金安氏は説明する。

 「GPマークを表示することで、付加価値パッケージとして消費者に提供できる。GPマーク表示を提案していく中で、お客様も環境にやさしい商品パッケージを求めていたことが確認できた」

 近年の諸資材やエネルギー価格の高騰を背景に、顧客企業においても軟包装パッケージのコストは経営に関わる重要な項目と言える。しかし、金安氏は、「安いが環境に配慮しているのかわからないような包装材を採用するのか、多少コストは上がるが環境負荷低減を証明できる包装材を採用するのかは、クライアント側の自由である。しかし、脱プラを背景に社会全体が、環境負荷低減を求めている市場において、どちらの包装材が社会や消費者に求められているのかをともに考えてゆきたい」と、同社の目指す「つくる責任」は、「つかう責任」が伴うことで、その価値がさらに高まっていくと語る。

 同社では、今後のGPマークの普及に努めていくとともに、さらなる環境に配慮した事業活動を積極的に推進していく方針だ。