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躍進企業REPORT

クリエイト:カッティングとスジ入れ工程を内製化〜短納期対応とコスト削減

印刷ジャーナル 2023年11月15日
ショールームにて宮本室長
「DG-5070」の前で宮本室長と出口氏

トヨテック製カッティングプロッター「DG-5070」導入


 (株)クリエイト(大阪市城東区、代表取締役谷元進氏)は、オリジナル紙袋専門サイト「紙袋販売net」、同人用紙袋印刷専門サイト「同人用紙袋印刷.jp」を運営する企業。「紙袋の価値をあなたとつくる」をコンセプトに、商品を入れて持ち運ぶだけの紙袋ではなく、プラスアルファの付加価値を持たせていくことをモットーにしている。そんな同社が、さらなる納期短縮とコスト削減を実現するため、今春に導入したのが、自動給紙機能付き・B2相当サイズ対応のカッティングプロッター「DG-5070」(トヨテック製)である。


 「紙袋販売net」は紙袋という商材に特化し、年間約300万枚を受注・販売する完全データ入稿型のオリジナル紙袋専門サイトで、国内外にわたる生産ネットワークと、それをコーディネートするカスタマーサービスを最大の強みとしている。取り扱う商材の幅も広く、社員の幅広い知識と提案力で差別化を図っている。WEB事業部事業開発室の宮本毬代室長は、「実際に商品が届くまで、お客様を不安な状態で待たせるようなことはしたくない。そのため通販サイトといっても電話やメールによる丁寧な対応を心がけている」と話す。3Dにより、仕上がりイメージをパソコン上で確認できるサービスも好評のようだ。

 しかし近年、コロナ禍などの影響で小ロット化が顕著になり、オフセット印刷では採算が合わなくなってきた。そこで同社は2022年7月、「HP Indigo 10000 CPOデジタル印刷機」を導入。同時にトムソン加工部分の内製化を図り、手差しのカッティングプロッターを導入した。しかし手差しは想像以上に手間がかかり、1枚の作業に5分以上の時間がかかっていたようだ。

 宮本室長は「紙を置いて、抜いて、カスを取って、置いての繰り返しで、さらにバキュームも弱く、紙でマスクをして対応していたが、紙が破れると作業はストップしてしまうなど、相当な手間がかかっていた」。同社では、これを解決する自動給紙のカッティングプロッターの導入を検討。そこで白羽の矢が立ったのが、IGAS2022で視察した自動給紙機能付き・B2相当サイズ対応のカッティングプロッター「DG-5070」であった。


B2サイズのIndigo対応と自動給紙機能が導入の決め手に


 当然ながら、加工機はプリンターに合わせるため、HP Indigo 10000のB2サイズに対応することは絶対条件であった。さらに自動給紙機能を搭載したカッティングプロッターとなると、自ずと機種は限られてくる。導入機種の第一候補として「DG-5070」が挙がったが、課題となったのは同社が最も使用するコート紙135kgへの対応であった。宮本室長は、「薄紙をプロッターにかけると、反りや巻き込みなどの問題点が発生する。トヨテックでもその解決には苦戦していたようだが、最終的に対応が可能になるように調整してくれた。課題を解決してくれた機能に加えて、その対応に安心感を感じ、今後、何かあっても大丈夫だろうと導入を決定した」と導入経緯を振り返る。

 同社ではこれまで、ラミネートやトムソンなどの加工は協力企業への外注で対応していたが、それでは短納期対応にも限界があり、さらに小ロット化が進む中、トムソンではコスト的に見合わない。これらの課題を「DG-5070」で解決した効果は大きく、宮本室長は「一番効果を感じているのは、外注だと戻ってくるまで次の工程作業に全く進めないが、内製化により、カッティングプロッターで抜いたその場で1枚ずつでも次の工程に進むことができるため、時間の無駄がない。1時間でも惜しい中、その効果は大きい」と、高く評価している。

 さらに、自動給紙機能に加えてカッティング速度も早く、1枚あたりの時間は約45秒。さらに手差しを使用していたときのような無駄な時間がなく、「単純に45秒の足し算で作業が進んでいく」(宮本室長)と話す。

 生産性が向上したことにより、「紙袋販売net」においても「最短7営業日」の新メニューを追加した。紙袋の生産でここまでの短納期はなかなかないため、宮本室長は「新たな問い合わせも増えてきた」と、営業面においても効果を発揮しているようである。


幅広い用紙に正確スピーディーにカットとスジ入れ、安全性にも考慮


 さらに「DG-5070」の特徴として、作業者の安全と操作性にも十分に考慮された設計になっていることが挙げられる。実際に作業するWEB事業部 生産課の出口氏は、「テーブルの両端に安全センサーがついており、それよりも中に手や服などが入るとストップするようになっているため、安心して作業できる」と話す。

 また、カッティング刃は「DK(ダイレクトナイフ)1」と「DK2」が用意されており、この2種類の刃を使い分けることで、様々な紙厚の用紙に対応が可能になっている。さらに、スジ入れのクリースは、ダイヤル式で簡単に深く刺したり浅く刺したり調整できるため、「紙が割れるなどのトラブルを最小限に抑えることができる」(出口氏)。メンテナンスも簡単で、1ヵ月に1回程度、紙粉を除去・刃の定期交換をするだけでいいという。

 さらに、コンピュータの操作が簡単であることも評価している。「カッティングは赤色、筋入れは緑色と色分けされているため、一目でカッティングの内容を確認することができる」(出口氏)。

 同社では導入間もない頃、1mm厚のクリースで紙割れのトラブルがあったという。そこでトヨテックの担当営業に相談すると、「すぐに2mm厚のクリースの使用を提案していただき、解決することができた」(宮本室長)ということで、すでに導入後のアフターの良さを実感しているようである。

 同社は今後も、「付加価値ある紙袋を短納期・小ロットで、無駄なくつくる」ことをモットーに事業展開していく方針で、宮本室長は「Indigoとの相性も最高のDG-5070を活用し、これを実現していきたい」と話す。今後も紙袋のブランディングを進めていくという同社の取り組みが注目される。