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躍進企業REPORT

協友印刷:サーマルディジプレートでモノクロ印刷のコストを2割削減

印刷ジャーナル 2011年1月25日
菊池社長
2台のサーマルディジプレーター「TDP-459」
菊半裁、菊四裁のCTP出力には「FREDIA」が活躍
ヘッド部分を布で軽く拭くだけの簡単メンテナンス

 印刷関連業者が軒を連ねる新宿区山吹町に自社ビルを構える協友印刷(株)(菊地拓朗社長)。軽印刷業者として事業をスタートさせ、現在は菊半裁4色機や菊半裁両面機を備える企業へと成長している。菊半裁や菊四裁の印刷については、「FREDIA」でCTP出力してコストダウンを図ってきたが、軽オフについても2010年8月にサーマルディジプレートによるCTPに切り替え、品質アップを図ると同時にトータルコスト2割削減に成功している。

カラー印刷もオンデマンド的なコンセプトで納品

 協友印刷は、1971年に起業した会社。当初は設備を持たず、すべてを外注に頼っていたが、創業から3年後には軽オフを導入して軽印刷業者の道を歩んできた。
 菊半裁の印刷機を導入したのは10数年前のこと。その後、2003年に菊四裁4色機、2006年に菊半裁4色機を導入し、カラー化を推し進めてきた。1995年建築の本社工場が手狭になったことから、現在、印刷設備は2つの工場に分散して設置されている。第2工場ではA3両面機3台、A3単色機1台などの軽オフのほか、菊半裁2色両面兼用機2台、第3工場では菊半裁4色機、菊四裁4色機各1台が稼動している。本社ビルでは、面付け、CTP出力、製版、モノクロオンデマンド出力、製本などが行われている。DTPについては、Webを手掛ける関連会社の(株)エクサーズが本社ビル8階にあり、そこに委託する形をとっている。
 カラー印刷の受注比率は約3割。モノクロ、カラーともに同業者の仕事も積極的に受注しているが、最大の魅力は厳しい納期にも対応してくれることだろう。「小ロット、中ロットのモノクロ印刷から始まり、現在はカラー印刷まで事業を拡大しているが、顧客の要望に沿った時間にお届けするというオンデマンド的なコンセプトはモノクロ印刷の時代から変わっていいない」と、菊地社長は軽印刷時代に培った納期対応力を強調する。
 営業マンが急ぎの仕事を受注した場合、生産管理の担当者が優先順位をつけることで、厳しい納期であっても対応している。従業員には自分が担当している仕事以外にも複数の仕事ができるように普段から訓練されている。これによって、忙しい部署に人員を集中し、効率よく仕事をこなすことができる体制になっているということだ。

サーマルディジプレートは時代にマッチした版材

 協友印刷では、菊半裁4色機、両面機、菊四裁4色機のCTPとして三菱製紙の「FREDIA」を採用し、コストダウンを図っている。軽オフについてはこれまでピンクマスターのCTPを使ってきたが、製造コストを引き下げるために菊地社長が選択したのがサーマルディジプレーター「TDP-459」だ。2010年8月に2台導入して、サーマルディジプレートによる印刷に切り替えている。
 軽オフ4台の版材使用量は、1日400版〜800版。1時間75版の出力スピードを誇る「TDP-459」でも仕事が集中すると1台では間に合わないため、2台の導入が不可欠ということだ。いまだに多いアナログの仕事については、版下をモノクロオンデマンド機でスキャニングしてデジタル化し、サーマルディジプレートに出力している。
 面付けには、作業効率をアップさせるため、「FACILIS Supremo」を採用。カラー印刷担当とモノクロ印刷担当の2班体制で作業を行っている。
 「シルバーディジプレートを使っていたので、三菱製紙の刷版材料の品質には信頼を持っていた。コストが安いこともあるが、画像再現性が非常にいい。現像液やトナーが要らず、廃液が出ないのだから、現代にマッチした版材ではないだろうか」と、菊地社長はサーマルディジプレートの性能を絶賛する。
 従来の版材からサーマルディジプレートに切り替える際、協友印刷では両方の印刷サンプルを提示し、顧客の意見を聞いている。顧客第一主義を徹底しているからこそだ。ほとんどの顧客は価格が同じで品質がアップすることを喜んだそうだが、細い線がシャープに出すぎるため、従来よりも線が細く見えるという顧客もいる。そういう場合には、ボールド機能を使用して線を太らせるなどの工夫をしている。

3ヵ月に1回のメンテナンスが不要に

 サーマルディジプレートを実際に使ってみた結果、「今までより網の再現性が非常によくなった。耐刷力も文字物なら3,000枚は大丈夫だ。今までは版を3枚焼いていたが、それが1枚で済む。版の厚みがあるので、オペレーターも扱いやすいと喜んでいる」と中村学工場長は語る。
 ヘッド部分を布で軽く拭くだけというメンテナンスの容易さも「TDP-459」の魅力。これまでのシステムでは、3ヵ月に1回、専門の業者にメンテナンスを依頼していたが、その費用が不要になり、週に1回のローラー清掃も行わなくてよくなった。
 「オペレーターの女性が、手が汚れるのをすごく嫌がっていたから助かっている。機械の立ち上がりも、今まで10分ぐらい掛かっていたのが、1分程度に短縮され、作業効率がよくなった。また、今までは試し出しが必要だったが、サーマルディジプレートは1枚目から本出力ができるので、版の無駄がなくなった」と、中村工場長は「TDP-459」の作業効率の良さを訴える。
 「実際に使い始めて、トータルコストは従来と比べて2割ぐらい安くなっているのではないか」と菊地社長。これまでモノクロ印刷は、オンデマンドが200部以下、軽オフが200部〜500部、菊半裁両面機が500部以上と使い分けてきた。サーマルディジプレートによって、軽オフの品質アップとコストダウンを同時に実現できたことから、今後は「小部数でもオンデマンドでは品質が満足しない印刷物もあるので、サーマルディジプレートをPRして有効に活用していきたいと考えている」とのことだ。