全日本印刷工業組合連合会(全印工連、滝沢光雅会長)が、IT技術を活用し、組合員の収益の「見える化」の促進と組合員企業同士の生産の連携と効率化、印刷産業全体としての生産性の向上と高付加価値のサービス提供産業への転換を促進することを目的に開発したプラットフォーム「DX-PLAT」が、さまざまなトライアル運用を経て、今年度より本格運用を開始していく。
全印工連が2019年度に実施した印刷産業の取引環境実態調査からは、印刷需要の減少、供給過剰による受注単価下落と営業利益率の低下、収益管理の不十分といった実態が明らかとなり、その課題として「個々の印刷企業の得意分野の把握、稼働情報データの連携、管理コストの引下げをDXでドライブすることによる印刷産業全体としての生産性向上と付加価値創出の実現」が挙がった。そこで全印工連では、同質化競争からの脱却(競争から生産協調への転進)と高付加価値サービス提供産業への転換を目指し、DX推進プロジェクト(福田浩志委員長)を立ち上げ、活動を開始した。
「DX-PLAT」は、デジタル・トランス・フォーメーションを活用し、個々の組合員企業の得意分野を活かした生産性向上と付加価値の創出をつなげることを目的として約2年間にわたり、開発を続けてきた全印工連の令和版構造改善事業。具体的には、円滑な組合員間の受発注を実現する組合員間受発注システム「JSP=Job Sharing Platform 」、生産性向上のための生産管理システム「JWS=Job Workflow System」、経営の「見える可」のための業務基幹システム「MIS=Management Infomation System」で構成される。
全印工連では、今年度より正式に全国の組合員に対して参加を募り、参加企業の協業による「生産協調」を推し進めることで効率的な生産体制を確立し、供給過剰による低収益構造から高収益構造にシフトしていくことを支援していく。これにより参加企業は、オープンプラットフォームによる生産管理システムと受発注マッチングシステムを共有することで、より効率的な生産体制を構築できるようになる。
とくに2022年度は、「DX-PLAT」の普及と本格稼働を推進・実施していくとともに引き続き、現在も行っている全国モデル地区でのトライアル運用による検証を継続し、さらなるシステムの最適化に取り組んでいく。さらに経済産業省とも連携を図りながら印刷産業全体の構造改善と収益拡大に取り組んでいく。
また、「DX-PLAT」は現在、10社のメーカー・ベンダーの協力のもと構築されているが、今後はそれ以外のメーカー・ベンターとの連携も強化していく。