SAMSUNG BCM、コルブス社の新型ラッピングライン導入
自動テープ貼り機とラッパー〜高品質な貼り箱製造実現
韓国ソウル市のSAMSUNG BCM CO.,LTD.(W.K.Lee社長)は今年6月、新たなラッピングラインとしてドイツ・コルブス社の自動テープ貼り機「BOX LINE TAPER200(BLT200)」と、ツールを交換せずにセット替えが可能なラッパー「BOX LINE WRAPPER(BLW200)」を導入した。高品質な貼り箱を製造できる製造ラインとして本稼働を開始している。
同社は2014年に創業。当初はハードカバー製本の表紙貼りや児童書の表紙貼りが主な生産品目で、生産設備もそれに合わせたものを備えていた。
その後、コルブス社の新型機に入れ替え、製品の品質と生産性の向上を図るとともに、生産品目を多様化するためにパッケージ事業にも範囲を拡大。その結果、コルブス社の新型グルーブマシン(NM100)、マグネットインサートマシン(ME100)、ライニングマシン(SA260)を導入し、2019年には硬質製函機BLPとBLFもセットした。
そして今回、高品質な貼り箱の製造を実現するため、コルブス社の新型ラッピングライン(自動テープ貼り機「BOX LINE TAPER」+ラッパー「BOX LINE WRAPPER」)を新たに導入した。
コルブス社の日本代理店である(株)エスケイセールス(本社/埼玉県富士見市)の岡本武俊社長は、同社について「コルブス社のモデル工場のようになっている」と話している。
1面ずつ折り上げるため、きれいな表面接着が可能
コルブス社は、ハードカバー製本業界を代表するブランドとして、国内外に広く認知されているメーカー。しかし、インターネットメディアの活性化や電子書籍の需要の高まりにより、紙媒体の印刷市場は避けて通れないものとなっており、それにともない、コルブス社はパッケージ市場に参入することになった。
コルブス社の製品を多く設備する同社は、その老舗メーカーの設計と機械製造能力のノウハウにより製造された製品の優位性を如何なく発揮できるユーザーと言える。W.K.Leeは、「とくに、今回導入したBLT200とBLW200は、これまで発売・稼動していた欧州や中国製品の画一的な製函方法から完全に脱却し、コルブス独自の方法で設計・生産されている」と説明しており、その生産能力と品質に満足の様子だ。
一般的なリジッド製函方法は、2面を1ヵ所でダブルプレスして4面を折り上げる方法であるため、印刷用紙によっては作業性や品質に多くの違いがある。
これに対し、コルブスマシンの製函方法は1面ずつ折り上げるため、表面の接着がきれいで、目視で確認しながら作業工程を管理できるのが特長である。箱の大きさによっては木製什器が不要なため、コストと時間の節約になり、また、約30台のサーボモーターによる自動数値制御設定方式により、少品種など、他の注文にも素早く対応できる。
さらに、緊急時には、リアルタイムモニタリングによるリモートサービスにより、機械を止ることなく生産・運用が可能になる。
コルブス社は、2019年のdrupa展示会への出展を目指し、同機の開発を長年にわたり続けてきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となったため、2021年初頭から、コルブス本社の近くにあるビーフェフェルトとスコットランドでフィールドテストを続け、2022年半ばから本格的に機械の販売を開始した。
そして現在は、メキシコ、フランス、デンマーク、スコットランド、ハンガリーなど、約1年間で10ライン以上を販売している。
オートセットで運転中も微調整が可能
また、コルブス社の新しいラッピングマシンは、箱の底面、側面への完全な密着性に加えて、サーボモーターによる自動数値制御でセット時間が速く、さらにカメラシステムで印刷の表裏を認識しながら、ロボットアームで印刷用紙に正確に箱をセットできるなどの特徴を備えている。
W.K.Leeは同機について、「とくにBLT200の場合、ボックスサイズの数値を入力することで自動制御され、粘着テープの位置まで調整できる。接着剤塗布方式は、古くから製造されているコルブス社のケースメーカー製造機を採用しており、使い勝手に優れている」と話しており、運転中にも微調整が可能なことを高く評価している。
また「既存のヨーロッパ製や中国製の包装機は、オペレーターによって生産性や品質に大きな差が生じてしまう。つまり、オペレーターの経験に基づくノウハウですべてが決まってしまうのである。しかし、コルブスのラッピングマシンは、多くの部分が自動化されており、初心者でもある程度の教育と経験があれば、簡単に操作することができる。既存のラッピングマシンに慣れ親しんでいる当社のクライアントでも、実際に見学されると、その操作性の良さや新しい操作方法に感心されるようである」と属人化されない簡易な操作性も高く評価している。