柴田印刷、コインが転がる貯金箱「コロコロコイン」
印刷会社のSPツールにも - 商品ラインアップを拡充
500円玉を入れると、上から下までジグザグ状にコインがコロコロと転がっていく---。世の中には様々な貯金箱があるが、この貯金箱には遊び心が溢れている。子供だけではなく、大人でもコインを入れたくなってくるから不思議だ。この「コロコロコイン」(実用新案登録 第3211638号)を開発したのは、(有)柴田印刷(本社/東京都板橋区熊野町24-7)の柴田寛社長。昨年のプレミアム・インセンティブショー(P・Iショー)SPツールコンテスト準大賞の作品である。9月9日〜11日に池袋サンシャインシティで開催された本年のP・Iショーでは、サイズやデザインをさらに充実させたラインアップを紹介した。
「禁煙の成果を何らかのカタチに残したかった」。現在56歳の柴田社長は、43才で禁煙を始めた時に500円玉貯金を開始、禁煙の証に2年間で800枚(40万円)を貯めた。そんな柴田社長は、下請けで受注した子供向けのパズルの貼り合わせの作業から、同じように厚紙を使用した貯金箱「コロコロコイン」の発想を得たようだ。
「コロコロコイン」の入口部分に500円玉を入れると、硬貨は厚紙を貼り合わせた隙間にできた「通路」をコロコロと上から下までジグザグ状に転がっていく。その通路を埋めながら500円玉が貯まっていく仕組みで、ビジュアルも楽しみながら貯金することができそうだ。A4サイズで30枚・1万5,000円を貯めることができる。価格は1枚・500円。
商品化してからの2年間での販売実績は、オリジナル・OEMを含めて約2万4,000枚。板橋区観光協会など官公庁を含め、多数の民間企業で採用されている。板橋製品技術大賞優秀賞、朝日中小企業経営情報センター令和元年度上期顕彰、昨年のP・IショーではSPツールコンテストで準大賞を受賞するなど、印刷会社が自社技術を活用したSPツールとして多方面から評価されている。
A4サイズに加えて、A4サイズの3分の2サイズの安価な商品を発表
しかしながら、「販売目標にはまだまだ届いていない」というのは「コロコロコイン」の企画・マーケティングを担当する同社の田井中潤取締役だ。「コロコロコインは柴田社長の想いを具現化している商品だと思うが、なかなか思うようには売れない。その理由の1つとして、価格の問題があるのではないか」と分析する。これまでに大手印刷会社などから大口の見積依頼が来たこともあったようだが、価格面での折り合いがつかず、実際の受注には至らなかったこともあったという。
そこで同社では、サイズを従来のA4サイズの約3分の2にすることで、よりリーズナブルな価格を実現した「コロコロコイン」を開発し、今年のP・Iショーで発表した。
「このサイズでは、500円玉が20枚・1万円が貯まるようになっている。販売価格は、300円〜400円ほどを想定している。印刷会社がクライアントのノベルティとして提案する場合などでも、先方の予算に合わせて選択肢を与えられるように開発した。これにより、印刷会社としても営業活動がやりやすくなるはずだ」(柴田社長)
その一方で、田井中氏は「コロコロコイン」のSPツールとしてのポジションとして、高価なノベルティであることを強く訴えている。
「ポケットティッシュと同じような感覚で値下げを要求してくるクライアントもいるが、『コロコロコイン』はあくまでも高価なノベルティとして提供している。印刷会社が自社のクライアントにノベルティとして提案する場合も、その付加価値の高さを強調していただきたい」(田井中氏)