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躍進企業REPORT

ネット印刷通販「いろぷり」:御茶ノ水ショールームにPOD設置〜プリントショップ機能拡張

印刷ジャーナル 2023年1月1日
ショールームのスタッフと導入したオンデマンド印刷機
北井 社長
https://www.iropuri.com

リアルショップとのシナジーで売上拡大


 京都で100余年の歴史を誇るITPグループのネット印刷通販「いろぷり」(運営/ネット印刷ITP(株)、北井元司社長)は2022年12月、東京・御茶ノ水の「いろぷりショールーム」にオンデマンド印刷機を設置し、プリントショップ機能を拡張させた。ショールームでは個人顧客にもターゲットを拡げており、多品種・小ロット・短納期でデザイン制作からオンデマンド印刷・中綴じ製本まで、ワンラインでの対応が可能となった。リアルショップとのシナジーにより、ネット印刷通販「いろぷり」の注文の増加にもつながっているようだ。


 「いろぷり」は、親会社(株)ITP(古崎良一社長)の100余年の実績・信頼を生かした工場生産により、2020年のオープン以来、製品品質ノンクレームを継続している。それが品質の信頼につながり、リピート率は9割を超える。

 現在、取扱い商品のラインアップは約50カテゴリー・約150アイテム。ユーザー登録は4,300件。後発ながらもITPグループのスケールメリットを活かし、受注拡大を続けている。北井社長は「いろぷりだけでなく、ITPグループはお互いにコラボしながら、総力で事業を拡大している」と、取り組みについて説明する。

 そんな「いろぷり」では、新規顧客開拓戦略として、印刷会社・印刷関連会社に向け、コロナ禍での「働き方改革」と「時短勤務」をキーワードに、「共に戦い、協業・連携を」とあえて短時間でも対面を基本として、同業種への「プロ対プロ」の対面営業を展開してきた。

 「その結果、東西で多くの印刷・関連会社の皆さまとつながりを得ることができた」(北井社長)

 また、「いろぷり」では印刷通販が未経験のユーザー目線による「いろぷりこらむ」を2021年7月より継続配信しており、新規ユーザーからの信頼獲得にもつなげている。非対面サイトと対面の顧客開拓・サービスでの「二刀流」が、新たな商圏拡大の要素となっているようだ。

 さらに、2022年2月には「狛狐」をモチーフにしたマスコットキャラクターが生まれた。公式SNSなどにも登場し、最新の情報をユーザーに発信している。


汎用性に優れたPODで安心品質を提供


 御茶ノ水ショールームに2022年12月に設置したのは、汎用性のあるキヤノンのオンデマンド印刷機「imagePRESSE C910series」である。北井社長は「各メーカーのオンデマンド印刷機の中から、小ロット・短納期での操作性・品質性能を重要視した結果、この機種を選択した」と話す。

 このオンデマンド印刷機は、標準用紙でA3・B4サイズで40枚/分、A4・B5サイズで80枚/分の印刷スピードを実現する。用紙斤量は、最薄52g/平方メートル(4/6版45㎏)から、最厚350?/平方メートル(4/6版31K)の板紙まで幅広い対応が可能で、凸凹のあるレザック等の特殊紙や、既成封筒の長3封筒から角2封筒の刷込み印刷も可能である。また、インラインでの中綴じ製本は小口断裁機能付きで、A4×80頁まで対応する。平綴じ製本は、コピー用紙程度の厚みならA4×100(A4×200頁)まで対応できる。このほか重量検知機能など、豊富なオプションを搭載したオンデマンド印刷機となっている。

 「最新機種という訳ではないが、すでに市場で実証が示されている汎用機であるため、安心して使用できる。需要が拡大する『紙製ファイル』もカセットに入れて後刷りが可能」(北井社長)

 ショールームでは年末まで、このオンデマンド印刷機の設置キャンペーンの一貫として、社内デザイナーから応募を募った「2023年 年賀状」をショールーム限定で販売した。「約50点の応募作品の中から審査し、10点を販売した。今後は一般からもデザインを募集することなども考えていきたい」(北井社長)。

 また、ショールームにはガーメントプリンター「RICOH Ri100」も設置している。「少部数であれば、データを持ち込んでいただければ、その場で印刷してお渡しすることも可能」(北井社長)であるため、個人顧客からの注文も途切れないようだ。また、ショールームでは今回、オンデマンド印刷機と同時に小型の断裁機も導入した。このため「オンデマンド印刷機で印刷し、その場で名刺やハガキサイズに化粧断裁してお渡しが可能」(北井社長)。

 なお、ショールームでは「いろぷり」で取扱う商品の展示のほか、ユーザーとの対面窓口としての「印刷よろず相談」、デザイン制作の依頼・相談などもできる。デザインは、ショールームと同じ建屋にあるITPグループの制作会社(株)ITPコミュニケーションズの所属デザイナーが制作している。


ITPグループで「3D事業」スタート


 ITPグループは2022年、3D事業計画をスタートした。営業から制作・撮影・製造・販売までワンストップの「ITP 3Dソリューション」として、東京工場に大型3Dカラープリンタ(ミマキ3DUJ-553)や、全身3Dスキャナーシステム(円形360度に配置した合計96台の小型カメラ搭載)を導入。3DスキャンシステムはITPグループの制作会社である(株)ITPコミュニケーションズのカメラマンが撮影し、3D画像のデータ化も行える。

 「3Dデータ制作では、3Dデザイナーの育成・教育も進められ、3Dソリューション事業の取扱いを開始した。『いろぷり』での3Dプリンタの取扱いも現在準備している」(北井社長)

 さらに、2022年12月からは、(株)ITP×いろぷりコラボレーション企画商品として、ITPが携わる「ギフトカタログ」で表紙のイラストを長年担当いただいたイラストレーター・絵本作家のまたよし氏への感謝の意味を込めて「何か形に残るものができれば」というクライアントからの要望により、VRギャラリー(V-booth)で「またよしアートギャラリー」展示会を実施した。そして、このVR展示会の作品の中から、希望作品をアクリル印刷など、特殊印刷・加工を施したアートパネルを「いろぷり」の特設サイト(https://www.iropuri.com/matayosi/)で限定受注販売を開始した。

 「お陰さまで販売開始より大好評の企画となっている。各数量限定のため、ご希望の方には早めの注文をお願いしている。今後、他の作家との作品販売も含めて、ITPとのコラボレーション企画も検討している」(北井社長)

 「いろぷり」は今後もITPグループの総力を結集し、「進化するネット印刷」として、次々と新たな事業を打ち出していく方針。これからの展開にも目が離せない。