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躍進企業REPORT

国府印刷社:「針金なし、糊なし、加熱なし」- 名刺サイズ「エコファイル ミニ」開発

印刷ジャーナル 2022年11月15日
「エコファイル ミニ」をPRする有定社長
塗り絵や予定表など「書ける」メリットを活用したA4エコファイル
エコファイル ミニには越前和紙やバナナペーパーも使用していく
「きらめき箔」を活用したオリジナル商品

完全に「紙だけ」を活用〜年末までにECサイトの開設へ


 昨今注目の紙ファイルに、可愛らしい名刺サイズの商品が登場した。プレミアム・インセンティブショーで(株)国府印刷社(本社/福井県越前市、有定耕平社長)が紹介したもので、名刺サイズの紙ファイルの表面に会社名や名前など、名刺として印刷し、その中に商品紹介のミニチラシなどを入れて活用する。名刺交換の際に、会話が盛り上がり、さらに自社商品のことをミニチラシによって知ってもらえる名刺(ツール)になる。今年8月に導入した、「針金なし・糊なし・加熱なし」で綴じることができるエコ.プレスバインダーで作成するため、完全に「紙だけ」の環境配慮製品となる。さらに紙には越前和紙を選ぶことができるなど、他社には真似のできない完全オリジナルの製品に仕上がっている。


 同社は社内に「企画部」を有し、常に新商品開発を模索する企業。アイデアを出し合い、世の中に役立ち、興味を持ってもらえる商品づくりに全社一丸で努力している。「印刷+αのサービス」を提供することが同社の方針だ。新商品開発に注力する理由について、有定社長は「展示会などで当社の新商品を知っていただき、それにより同業の印刷会社を含め、様々な業界の方との『横のつながり』を大切にしていきたい。それが最終的にはビジネスにもつながると確信している」と話す。

 今回、同社が開発した名刺サイズの紙ファイルは、卓上タイプのエコ.プレスバインダーで作成するもので、「針金なし・糊なし・加熱なし」の完全に「紙だけ」で綴じることができる。同社では色こより綴じによる「ポケットパンフレット」やデジタル加飾で自由度の高いメタリック表現を実現する「きらめき箔」など、名刺サイズのオリジナル商品を展開しているが、「プレミアム・インセンティブショーの3週間前にアイデアを思い付き、急いでサンプルを用意した」と有定社長。名刺サイズの新たなラインアップとして紹介したところ好評で、さっそく数件の受注があったという。もはやA4サイズの紙ファイルは珍しくなくなったが、これまでにない商品に来場者の心が動いたようだ。

 同社では、これを「エコファイル ミニ」の商品名で販売していくが、同時にA4サイズの紙ファイルも、他社には真似のできないアイデアや素材を活用した方法で拡販していく考えだ。次にそれを紹介する。


オリジナリティに溢れたエコファイルを開発


 同社はコロナ禍における新製品として、越前和紙を使用した「抗菌マスクケース」を開発し、渦中には地元のお土産屋でも販売されるなど注目されたが、今回、この「越前和紙」をエコファイルとエコファイル.ミニにも展開する。「名刺サイズのエコファイル.ミニ×エコ.プレス×越前和紙」の組み合わせは、現時点では間違いなく、世界に1つだけのオリジナル製品と言えそうだ。このほか、「バナナペーパーを素材としたエコファイル ミニも展開していく予定」と有定社長。バナナペーパーは高額なため、まずは小さな名刺サイズから始めるという。

 また、A4サイズのエコファイルでは、「書ける」というメリットを最大限に活用し、表面が「塗り絵」になったものを多種類用意している。有定社長は「『色こより綴じ』でも、表面が塗り絵になっているノートを作っていたので、そのアイデアを応用した」と話す。このほか、エコファイルの表面に1ヵ月分のスケジュールが書けるようになったものや、小学生の「時間割」を印刷したものなどもあり、「関連するプリントや書類を入れて活用して欲しい」と有定社長。同社のエコファイルは、単に「環境」に配慮しているだけでなく、そこには「印刷+αのサービス」という付加価値が加味されている。

 さらに、エコファイル ミニでも「書ける」というメリットを活かしたアイデア商品を企画・開発している。まず、メモとしての機能を最優先させた「無地」のエコファイル.ミニがある。「学生などが、友達とちょっとしたメモを交換したりするのに役立ててもらいたい」(有定社長)。LINEなどで何でも手軽にメッセージ交換できる世の中において、若い世代には新鮮な情報交換ツールとして興味を持たれるかも知れない。

 また、名刺サイズより少し大きいサイズのエコファイル ミニもあり、その用途として、名刺交換した相手の名刺を会社ごとに保管できる名刺入れとして、キャラクターカードやご当地カードを入れるノベルティとして、ショップカードやポイントカードとして、などの検討をしている。今後、このようなアイデア商品はまだまだ誕生していきそうである。

 もちろん、既存製品の販売だけでなく、データ入稿により、オリジナル製品の印刷受注にも対応している。


新ものづくり・新サービス展に出展


 同社はエコプレス.バインダーを導入した翌月の9月に「越前モノづくりフェスタ」に出展。業界商社などの協力も得て、エコプレス.バインダーを会場に持ち込み、「エコファイル」の作成を実演した。「大人だけでなく、子供達にも塗り絵のエコファイルを体験してもらい、すごく喜んでもらうことができた」(有定社長)と、大反響であったようだ。

 卓上型のエコ.プレスバインダーは誰でも簡単に操作できるため、社会見学の小学生にもその場でエコファイルを作成し、持ち帰ってもらったという。有定社長は「今後も子供達に環境を意識するきっかけとなるような地域貢献活動を行っていきたい」と話す。

 また、同社は次の展示会として、12月14日〜16日に東京ビッグサイトで開催される「中小企業 新ものづくり・新サービス展」に出展する。さらに年内には、「エコファイル ミニ」のECサイトを開設する予定だ。有定社長は、「エコファイル ミニをメインに、越前和紙のエコファイルなどオリジナル製品も販売していく。すべて『紙だけ』というのはインパクトがあるので、展示会をはじめ、SNSなども活用して周知に努めていきたい」と、エコファイル.ミニを拡販していく意気込みを語っている。

 同社は今後も、世の中の役に立ち、興味を持たれるオリジナリティに溢れた新製品開発に努力していく考えだ。