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躍進企業REPORT

一心堂:ダブルリング製本で「NEXT ONE」

印刷ジャーナル 2019年2月5日
岡田 会長
岡田 社長
昨年9月に増設したダブルリング製本機

2台を使い分けて大量受注にも対応〜生産性と高付加価値実現

 多種多様な紙加工で印刷物の高付加価値化に貢献する(株)一心堂(本社/大阪市城東区、岡田大介社長)は、「NEXT ONE」をビジョンに掲げ、常に新たな一歩に挑戦しながら差別化を図り、印刷会社の信頼を築いてきた。そんな同社は3年前に笹岡工業(株)(千葉県鎌ヶ谷市)のダブルリング製本機を導入し、新たな後加工方式への挑戦を開始。一般的なリングノートだけでなく、得意とするブッシュ抜きと組み合わせることで「変わったカタチのリングノート」なども提案しながら受注を拡大している。昨年9月には2台目を増設。今後もダブルリング製本機を活用し、印刷会社の商品化にも貢献しながら受注拡大を目指していく考えだ。

 同社は昭和50年創業の歴史ある大阪の製本・紙工会社。常に新たな一歩に挑戦を続ける「NEXT ONE」をビジョンに掲げながら後加工企業としての業容を拡大。現在はトムソンやブッシュ抜きをはじめ、断裁、製本、折り、穴あけ、スジ入れほか様々な加工に対応する設備を有しており、印刷会社にとって頼れるパートナーとして信頼を築いている。

 そんな同社がダブルリング製本機に取り組んだのは3年前。取引先の印刷会社から「仕事があるのでやってみないか」と相談を受けたことがきっかけになったという。同社の岡田社長は「まったく初めての加工方式だったので正直不安もあったが、当社では岡田光男会長の時代から『NEXT ONE』をビジョンに掲げており、常に新しいことに挑戦しながら業容を拡大してきた。印刷会社の内製化が進み、折りなどの仕事は減少している。事業領域を拡大し、新たな受注拡大を目指すためダブルリング製本機の導入を決めた」と、不安要素がありながらも新たな一歩を踏み出した経緯について説明する。

 ダブルリング製本機のメーカーの選定に際しては、「国内では笹岡工業が圧倒的なシェアを誇っているという安心感から迷うことなく笹岡工業に決めた」と岡田社長。笹岡工業は千葉県のメーカーでありながらも関西にも頻繁にユーザーサポートに訪れているようで、「毎月1回は様子を見に来てくれ、機械の調子が悪いときは営業マンではなく技術者が来てくれる。また、リングサイズの見本が欲しいときも、電話をすれば翌日にはサンプルが届いている」と、きめ細かなアフターサポートと迅速な対応を高く評価している。

「変わったカタチのリングノート」提案〜印刷会社の商品化に貢献

 基本的なダブルリング製本の仕事はカレンダーやノート、幼稚園の自由帳などの教材関係。同業者からの仲間仕事も多いようだが、特筆すべきは同社ではその他、得意とするブッシュ抜きとダブルリング製本を組み合わせることで「変わったカタチ」のリングノートを作れるところだ。

 岡田社長は「印刷会社は自社製品をブランディングして商品化したいという思いがある。当社は様々な加工設備を有しているので、独自性のあるリングノートを作ることができる」とダブルリング製本機とブッシュ抜きをはじめとした多種多様な加工設備を融合させた商品の製造が可能であることをアピール。同社にダブルリング製本を依頼すれば、アイデア次第で他にはないオリジナルのリングノートを作ることができる。

昨年9月に2台目のダブルリング製本機を増設

 1台目の導入から3年が経過した現在、同社ではホームページを閲覧した印刷会社や同業者などから近畿圏内だけでなく、首都圏など全国からも注文の声が掛かり始めているようだ。

 「お得意様に対応するため、また迷惑を掛けないために少し無理をして2台目を導入することにした」。これこそが岡田会長の信念であり、「NEXT ONE」と、お客様第一主義を掲げる同社の理念であると岡田会長は力説する。そして同社は昨年9月、従来機よりも大幅に生産性が向上した2台目のダブルリング製本機を笹岡工業から導入した。

 岡田社長は「リングのパイの大きさごとに2台を使い分けて使用しながら効率性を追求しているが、今年は効率性をさらに高めていきたい」と述べ、仕事をさらに増やしながらも2台のダブルリング製本機をフル活用しながら受注に対応していく考えだ。

 常に新たな領域への挑戦を続ける同社の取り組みに注目したい。