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躍進企業REPORT

髙見紙化工所:空調服+ドライアイスで暑さ対策 〜 電気代3割以上削減

印刷ジャーナル 2018年7月15日
空調服を着用する髙見社長(右)と柏木部長
体感温度は28度
簡易ドライアイス製造機
スポットクーラー

 エンドレスコートやPP貼、箔押・浮出、エンボス加工、合紙など、広範囲にわたる表面化工技術を守備範囲とする(株)髙見紙化工所(本社/大阪市平野区加美北1-12-22、髙見正行社長)では、夏場に40度程度まで上昇する工場内の暑さ対策として、作業員にドライアイスを内装した空調服を着用させることで、年間に支払う電気代を3割以上カットすることに成功している。

 工場内において「空調服を活用した暑さ対策」という斬新なアイデアが生まれたきっかけは、震災後の電気料金値上げにともなう電気代の高騰だった。「電気使用量は変わらないにもかかわらず、支払う電気代としては2割以上も上がった」(髙見社長)

 そこで同社では、まずデマンド監視システムを導入。その結果、電気使用量に占める空調(クーラー)の割合がおよそ3割に及ぶことが分かり、「暑さ対策」という視点から節電方法を模索。そこで夏場に外で作業する建設関係者がよく着ている空調服に着目した。

 空調服とは、服に付いた小型ファンで服の中に外気を取り入れ、体の表面に大量の風を流すことで、汗を気化させて涼しくするもの。しかし、実際試してみると、室内の熱を取り込んでしまうため、結局、工場内の温度を下げないと役に立たないことがわかった。次に空調服の内側に保冷剤を入れてみたが、結露がひどく、すぐに溶けてしまう。そこで保冷剤の代わりにドライアイスで試してみた。

 当初は、低温火傷の恐れもあるため、空調服の吸引口に外付けしてみたが、ドライアイスの減りが早く、20〜30分しか保たなかった。そこで昨年の夏から空調服の内側にポケットをつけて、スポンジで巻いたドライアイスを入れて試したところ、2・5〜3時間保つようになり、さらに今年からはメッシュ状のベストにドライアイスを入れて空調服の中に着用。高い冷却効果が得られることが分かった。

 昨年から同社の工場では据え付け型の大型クーラーは一切使用していない。結果、平成29年の電気代は、ピーク時の7割程度にまで抑えることに成功している。

 「夏場40度程度まで上昇する工場の温度は、クーラーをつけても実際は2〜3度程度しか下がらない。そのために数百万円/月もの電気を使用していたことになる。今期は電気料金値下げ効果も勘案して、さらに2〜3割ほど下がると見込んでいる」(髙見社長)

 そして今年、このコスト削減分で、空調服の中を冷やすためのスポットクーラー13台とドライアイス製造器を購入。空調服とあわせて投資額はおよそ800万円となっている。

 空調関係の責任者でもある品質管理部の柏木健一部長は「闇雲に電気使用量削減に取り組んできたわけではなく、当然のことながら社員の健康を管理しながら進めてきた。空調服着用時の体感温度はおよそ28度。最初はクーラーを切ることに対する抵抗もあったが、現在では、クーラー使用時より『涼しい』という効果を全社員が実感している」と説明する。

 「社員全員が前向きに暑さ対策を考えるようになった。使うのは彼ら。今後も社員の意見を取り入れながら快適な職場づくりに取り組んでいきたい」(髙見社長)