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躍進企業REPORT

精洸社:フレキソ印刷事業部「環境印刷センター」本格的稼動へ

印刷ジャーナル 2008年10月5日
横田社長
6胴フレキソ輪転機の前で
レーザー彫刻機「Adflex」

 (株)精洸社(本社/大阪市天王寺区、横田俊郎社長)は、昨年11月に立ち上げたフレキソ印刷事業部「環境印刷センター」(大阪市城東区)が軌道に乗り始めている。同社はこれまでオフセット印刷の刷版専門工場として信頼と実績を積んできたが、フレキソ印刷の持つ環境への優しさ、そしてアイデア次第で様々なモノ作りを展開できるという特徴に魅力を感じて同事業に着手。フレキソ印刷の優位性を最大限に引き出すことで、新たな事業展開を進めている。

 フレキソ印刷は、環境に優しい無公害インキを使用し、しかも様々な素材に印刷できることから昨今注目されている印刷方式。しかし数年前まではフレキソ印刷イコール段ボール印刷というイメージが強く、高品質とは無縁と認識している人も少なくなかった。実は横田社長も「対岸の業界と考えていた」とその1人であったようだ。
 そんな認識を覆したのは、(株)コムテックス(本社/大阪市北区)のフレキソ製版用のレーザー彫刻機「Adflex(アドフレックス)」との出会いである。精洸社は2000年にCTPやオンデマンド印刷機の導入など社内のデジタル化が完了し、横田社長は数年前から新たな展開を模索していた。そんな折りに「Adflex」の見学会に参加したのが横田社長とフレキソの出会いとなった。
 当時について横田社長は、「実際にフレキソに取り組んでいる企業を見学し、フレキソは環境対応だけでなく、アイデア次第で様々なモノづくりを展開できる印刷方式であることに気がついた。プリプレスの会社は風上にいくか風下にいくかという選択肢もあるが、それだけではない。印刷業界だけでなく、他業界にも展開できる可能性に大きな魅力を感じた」と振り返る。
 そして「対岸の業界」という意識は完全になくなり、フレキソ製版用のレーザー彫刻機「Adflex250」と6胴のフレキソ輪転印刷機を導入。そして昨年11月に、フレキソ専門工場「環境印刷センター」を立ち上げた。さらに同社では、"フレキソ印刷の未来を輝けるものにしたい"という思いを込め、自社のフレキソ印刷システムを「Star flex(スターフレックス)」と命名。様々な素材、商品への研究とテストを重ね、その可能性を追求してきた。それがいよいよ軌道に乗り始め、本格稼動の段階に入ったものである。
 同社のフレキソ印刷システム「スターフレックス」は、VOCを排出しない無公害インキを使用することにより、環境に優しい印刷が可能であることはもちろん、印刷だけでなく製版工程においても排液を出さない環境対応のレーザー彫刻機「アドフレックス」を活用していることが大きな特長である。さらにインライン加工の工程を備えているため、大ロットの場合には大幅なコストダウンを図れることも特徴の1つ。ちなみに生産能力は分速0~120メートルまでが可能である。
 また、同社の「スターフレックス」では、最高200線までの高精細に対応している。これにより文字や線をよりシャープに再現することができる。また、印刷は6色まで対応。もちろんニス加工や裏2色までワンパスにも柔軟に対応している。
 印刷幅は巻取紙(ロール紙)で500ミリまでの様々な紙厚に対応している。横田社長は、「巻取りの素材であれば、どんな素材でもテストさせていただく」と話しており、フレキソの可能性をさらに追求していく方針。現在、年末に向けて初のオリジナル製品となるカレンダーの制作研究を進めているところである。
 横田社長はフレキソ印刷の魅力について、「フレキソ印刷は環境に優しいだけでなく、用紙やパッケージ、シールやラベル、軟包装、不織布など、まさに『フレキシブル』な素材に印刷できる。また、フレキソ印刷はベタの再現性が格段に高く、ゴーストの出ない濃度の際立つ力強い印刷が可能。このため、商品に高級感を持たせる包装関係には特に向いている印刷方式であると言える。その他にも、ニス引きや偽造防止など、その特性を活かせばアイデア次第で付加価値ある様々な印刷物を制作することができるはずだ」と話す。
 同社はまた、環境対応に取り組む一方、二酸化炭素の排出量を削減し地球温暖化の防止を目指す「チーム・マイナス6%」に所属している。
 横田社長は、「美しい地球のために、当社でできることには何でも取り組んでいきたい。環境印刷センターのスターフレックスでは、大気汚染問題を大幅に防ぎ、さらに製版工程でも排液を出さないものである。このため、環境に配慮されている企業様にはぜひ当社のシステムを活用していただきたい。法規制も厳しい中、社会に貢献できる印刷システムを目指していく」と話しており、さらに地球環境を意識した取組みを進めていく方針であるという。