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躍進企業REPORT

東亜印刷:ウエブテック製インライン枚葉印刷品質検査装置を導入

印刷ジャーナル 2008年6月15日
佐藤社長
小森コーポレーションの菊全判4色印刷機
ウエブテック製インライン枚葉印刷品質検査装置「PIS2500」

 東亜印刷(株)(大阪市東成区東小橋1―16―26、佐藤滋社長)は、UV印刷への取り組みやプライバシーマーク、品質ISO9001の取得で顧客の信頼を勝ち取り、今や創業当初からの仲間仕事専門印刷会社としてのスタンスを保つ一方、一般企業からの直受注が仲間仕事の割合を超す印刷会社へ変革を遂げた。これは、「お客様に安心を買ってもらう」という同社の誠実な考えが実を結んだものに他ならないと言えるだろう。そんな同社は昨年12月、小森コーポレーションの菊全判4色機導入と合わせ、同機にウエブテック(株)製インライン枚葉印刷品質検査装置「PIS2500」を設置。「顧客を安心させる印刷機」として今年1月より稼動を開始している。

 同社は昭和34年に仲間仕事専門の印刷会社として創業。徹底した品質・納期管理で大阪の多くの仲間の生産活動を支えてきたが、2代目の佐藤社長は「下請けだけでは将来厳しい」という危機感を抱いていた。佐藤社長はその思いを胸に一般企業への営業活動を展開し、現在では直受注の割合が仲間仕事を上回る程になっている。
 そんな同社の第1の転機となったのが、2006年の「UV印刷」への取り組みである。リョービ製B2判5色機「RYOBI755(コーティングユニット+UV乾燥装置付き)」を導入し、視覚・触覚効果の高い「UVエンボス印刷」による新たな市場に乗り出し、付加価値戦略による差別化の第1歩を踏み出した。

顧客に「さらなる安心」を提供

 同社が小森コーポレーションの菊全判4色印刷機を導入したのは昨年12月。新機に入れ替えることにより、顧客にさらなる「品質と納期の安心」を提供するためである。これについて佐藤社長は次のように話す。
 「従来機はデジタル制御によるオペレーティングに未対応であったため、立ち上がりに時間がかかっていた。また昨今は『全数検品』が当り前となるほど品質ニーズが高まり、1枚のミスが命取りとなる。そこで考えたのが、印刷機への検査装置の搭載である。これにより、お客様に大きな安心を買ってもらうことができるようになった」
 同社が小森印刷機に搭載したのは、ウエブテック製インライン枚葉印刷品質検査装置「PIS2500」。超高感度・超コントラストのダイクロックプリズム方式3CCDカメラの性能を最大のアドバンテージとするもので、地汚れやヒッキーだけでなく、濃度変動の検出までもが可能。
 また、印刷機械のメンテナンス診断ツールとしても活用することができるため、印刷機トラブルの予兆のさらに予兆までを事前にキャッチできるメリットは大きい。
 この他、シートを安定化させるSSSシートスタビライジングシステムや、欠陥部分を高いコントラストで映し出し、蒸着紙の検査も可能にしたDLSライティングシステムなど、独自の開発思想を盛り込んだ画期的な機能が採用されている。
 検査は最終ユニット通過直後の用紙を上部のカメラから行なう。検査レベルは「高」「中」「低」の3段階。OKシートを基準に検査する。エラーが発生するとブザーが鳴り、欠陥紙に付箋を添付、さらにエラー部分は分割されたモニター上に表示されるため、オペレーターは「どの部分にエラーが発生したのか」をすぐに知ることができる。
 ウエブテック製の検査装置を選択した理由について佐藤社長は、「使いやすさ、シンプルさ」を1番の理由に挙げる。佐藤社長によると、「抜け」や「ヒッキー」が原因のエラーに加えて多いのが水飛びや油飛びが原因の欠陥検出。このため、「メンテナンスの目安を知ることができ、印刷機上のトラブルも早期に発見できる」と佐藤社長。さらに、「人の目では気が付かないものを発見できるため、実際にミスは減少している」と、すでに効果は肌で感じているようだ。また、同社の営業マンにとっても「顧客へ安心を提供」するための裏付けとなる最強のツールとして活用されている。

 設備投資に力を入れる一方、同社は一昨年10月にプライバシーマークを取得。今年2月にはISO9001を取得するなど、コンプライアンスにも注力してきた。
 これについて佐藤社長は、「資格取得だけでなく、社員を意識改革できたことが何よりも大きい」と話す。設備のみに依存するのでなく、「人材育成」がなければ企業は成長しないというのが佐藤社長の経営理念である。そのための取り組みを旧来から先駆的に行なってきたことが、「仲間専門」から現在の同社へ変革できた要因に他ならない。
 顧客に「付加価値」と「安心」を与える設備と人材が整った今、同社はいよいよこれを軌道に乗せる段階に入る。