Koenig&Bauer社 - Japan Media Tour(2) 世界最大級のシングルパスデジタル印刷機「RotaJET」
装飾・パッケージ分野に強み〜機械性能を支える鋳造工場
デジタル&輪転印刷機部門[ヴュルツブルク]
印刷機の安定稼働と高速性能を支える鋳造工場
ヴュルツブルクには、1908年に操業した鋳造工場がある。ここでは、毎日40tの鉄がフレームや大口径シリンダー、各種部材として鋳造されている。高度な訓練を受けた約130名の従業員が手作業による成形プロセスを使用した最先端の生産により、鋳造部品の効率的な連続生産と、小規模なシリーズやプロトタイプ用途の鋳造部品を製造。Koenig&Bauer社のユニークな特長であるボックス型のシリンダーフレームもこの鋳造工場で製造されており、印刷機の安定稼働と高速性能を支えている。なお、この鋳造工場は、グループ内の生産だけでなく、とくに機械工学の分野で欧州の有名な顧客にも長年にわたって使用されている。
同社では生産工場から排出されるCO2量を、2025年までに75%削減することを目指しており、2030年以降は完全にカーボンニュートラルに移行する計画だ。セガー氏は、「この課題に対応するため、我々はグループレベルでこのテーマを扱う独立した部署を設置している。より持続可能な事業を行うために、会社として何ができるのかという問題とともに、環境に配慮した持続可能な生産を確立するために、お客様をどのようにサポートできるかに重点を置き、すべてのビジネスユニットにおける可能性を探っている」と説明する。
鋳造工場でも、エネルギー効率の高い最新の炉への投資によってCO2排出量を抑制。また、自動昼光制御を備えた高効率のLED照明に投資することで電力消費量も削減しており、2021年以降、グループの主要拠点にはすべてグリーン電力が供給されているという。さらに、ヴュルツブルクとラーデボイルの施設には、太陽光発電システムも設置されている。

工場内を案内されている間、その景観もユニークな印象を受けた。近代的な建屋がある一方で、蔦(ツタ)で覆われた伝統的な赤レンガ造りや、それを模した新しい建物が建ち並んでおり、印刷機械メーカーとしての先進性と200年以上の歴史の両方を感じさせるものだった。(続く)