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(一社)日本印刷産業機械工業会(日印機工、森澤彰彦会長)とプリプレス&デジタルプリンティング機材協議会(プリデジ協、辻重紀会長)の共催による「IGAS2022(国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展)」が11月24日から28日までの5日間、東京ビッグサイトにおいて開催される。統一テーマは、「Venture into the innvation!〜新たなイノベーションへの挑戦〜」。コロナ禍以降の印刷業界では、初のビックイベントとなる「IGAS2022」は、リアル展を主軸としつつ、リモートを併用したハイブリッド形式で開催され、国内外に広く最新情報を発信していく。 [事前情報 随時更新中!]

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IGAS2022|本山印刷 / ニヨド印刷、デザイン力×技術力〜メイドイン高知のオリジナル紙製品PR

「チーム高知」でコラボ出展

 高知県の印刷会社2社がIGAS2022にコラボ出展する(小間番号2-39)。今回、「チーム高知」としてメイドイン高知のオリジナル紙製品を紹介するのは、ペーパーアイテムショップ「Paper message」を全国に3店舗展開する本山印刷(株)(本社/高知市大川筋2-6-11、本山幸一社長)と、SDGs配慮型企業として「エコプレス紙ファイル」などを展開するニヨド印刷(株)(本社/高知県吾川郡いの町474-2、御庄康隆社長)。各社のオリジナル紙製品とともに、本山印刷の「デザイン力」とニヨド印刷の「技術力」の融合で生み出されたオリジナル紙製品のラインアップを紹介する。

左から 本山社長、本山取締役、御庄社長(Pager message おびやまち店&tonariにて)


「印刷の楽しさを伝える」ペーパーメッセージ


 本山印刷は、昭和13年に創業した老舗。今年で85周年を迎える。元々は地元の医療機関を主要顧客としていたが、カルテの電子化などにより「BtoBだけでなく、BtoCへの業容拡大が必要と考えた」と本山社長は振り返る。そして2009年にオープンしたのが、ペーパーアンテナショップ「Paper message(ペーパーメッセージ)」だ。13年目を迎えた現在、おびやまち店+tonari(高知市帯屋町)、吉祥寺店(東京都武蔵野市吉祥寺)、おおさか店(大阪市北区天満)の3店舗を構え、売上は全体の3分の1を占めるまでになった。本山社長は、「売上は3分の1でも、利益率は印刷の仕事よりもはるかに高い」と、今後は同事業部にさらに力を入れていく考えだ。

 Paper messageで取り扱うオリジナル紙製品のコンセプトは、「印刷の楽しさを伝えたい」ということ。約6,000のアイテムを取り揃え、季節商品などを入れ替えながら常時2,000〜3,000アイテムが店頭に並ぶ。各店舗の限定アイテムも用意してあり、おびやまち店+tonariは「土佐土産」、吉祥寺店は「東京土産」、おおさか店は「大阪土産」をコンセプトにしたアイテムを取り揃える。本山珠里取締役は、「例えば、おおさか店には『虎』をモチーフにしたペーパーリングノートや一筆箋などがある」と話す。

 客層の中心は20〜30代の女性だが、「おびやまち店+tonariでは、中高生から60代、70代の年配者まで、幅広い年齢層のお客様が来店する。また、東京の吉祥寺店では最近、男性のお客様も増えてきた」(本山取締役)。Paper messageでは、印刷の楽しさを伝えるということに加えて「デザインが綺麗にみえるもの」をコンセプトにしており、これが幅広い消費者に受け入れられているようだ。

 IGAS2022では、選りすぐりの人気アイテムを数十種類展示するほか、「苦節13年、初めての大ヒット商品が生まれた」(本山取締役)という超人気商品の「日めくりカレンダー2023」を紹介する。

 ブロックメモ形状の「日めくりカレンダー2023」は、365日すべてが異なるデザインとなっており、その日のイメージに近いデザインを採用している。また、一般的な祝祭日だけでなく、アフロの日(1月26日)、福の日(2月9日)、ファイトの日(5月10日)、焼き肉の日(8月29日)など、マイナーな記念日も掲載されているのも面白く、人気の一因になっているのかも知れない。昨年に新商品として発売を開始したが、2022年分は6,500部が売れる大ヒット商品となった。そして10月1日に発売した「日めくりカレンダー2023」は、「発売から2週間で用意していた分はすべて完売した」と本山取締役。今年は8,000部の販売を目指すようで、今年9月に導入したオンデマンド印刷機は、「日めくりカレンダー2023」のみを一日中刷り続けているという。

Paper message初の大ヒット商品になった「日めくりカレンダー」


「SDGs配慮型企業」のニヨド印刷


 ニヨド印刷は、昭和27年に設立。土佐和紙発祥の町である高知県いの町にて、「印刷を核としたものづくりを通して優れた製品・サービスを提供する」という使命感のもとで事業を展開している。

 「印刷技術の力×ものづくりの力」で豊かな社会の実現に貢献するため、オリジナルノートやメモ、カレンダーなど、様々なオリジナル紙製品を生み出しており、特にノートについては「こんなノートが欲しい」をカタチにする通販サービス「まるまるノート」を運営。同社の御庄社長はYou Tubeの某番組に出演してからは一時、「ノートの神様」としてWeb上で話題の人となったほどだ。

 「こうちSDGs推進企業」の登録企業として、近年は環境配慮型の様々なノートを開発。木のノート、和紙のノート、バンプーペーパーノート、ペーパーリングノートなど、SDGsにつながる原材料を使用したノートを各展示会などで紹介している。

 さらに、新商品として環境に配慮した様々な紙を使用した「エコプレス紙ファイル」を開発。FSC森林認証紙のクラフト紙やナチュラル紙をはじめ、FSC森林認証紙の指定が可能なコート紙やマットコート紙、ミラーコート紙、国産竹100%原料の竹紙、食べられなくなった米を活用したkome-kami、アフリカ・ザンビアの有機バナナの茎の繊維を使用したOne Planet Paperの紙ファイルなどを展開している。御庄社長は、「当社の紙ファイルは針金や接着剤などの副資材を一切使用しないエコ.プレスバインダーを活用していることが特長。エコを追求した紙ファイルとなっている」とアピールする。

様々な環境対応素材を活用したニヨド印刷の紙エコファイル

 IGAS2022では、これら一連の環境配慮製品を紹介するほか、ロングセラーの「パタパタメモ」など人気の定番商品も紹介する。

 「パタパタメモ」は、文字通りパタパタとコンパクトに折り畳めるメモ帳で、1枚の台紙に4種類のデザインのメモ帳を配置。折り込まれた台紙を開くと中から色々なメモが登場し、閉じると小さい本のようになる可愛らしいメモ帳である。毎年、一定数が売れるロングセラー製品となっているという。


両社の強みを融合したオリジナル紙製品を紹介


 本山印刷とニヨド印刷の出会いは、5〜6年前に開催された高知県が主催する「ものづくり総合技術展」という地元の産業展であった。本山取締役は、「たまたま隣のブースになったのだが、同じようなジャンルの商品を展示していたので、協力してお互いに良いものを持ち寄れば、自社だけではできない紙製品を開発できるのではないかと感じた」と振り返る。そして両社が新たな可能性を求めて"チーム高知"として初めてコラボ出展したのが、前回のIGAS2018である。

 初のコラボ出展について、御庄社長は「本山印刷さんのデザインを借りることで、より良い製品サンプルを作成し、お客様に提案することができた」、また、本山社長は「ニヨド印刷さんの技術力により、当社だけでは実現できなかった新商品を生み出すことができた」と当時を振り返っており、コラボ出展によるシナジーにより、自社のオリジナル製品の魅力をさらに高めることができただけでなく、本山印刷の「デザイン力」とニヨド印刷の豊富な設備力による「技術力」を融合させることで、新たなオリジナル紙製品を生み出すことに成功した。

 それから4年の歳月を経た今回、両社はお互いの強みを融合させて生み出した「メイドイン高知」のレパートリーをさらに増やし、糸綴じのスケジュール帳、ハードカバーノート、紙袋などのオリジナル紙製品をIGAS2022において紹介する。

 「IGASは、県外に外商する絶好の機会。全国、そして外国の来場者にも自信を持って高知初のオリジナル紙製品をアピールしていきたい」(本山取締役)


地域の社会貢献活動でもコラボ


 両社は11月10日〜12日、高知県の主催で開催された第11回「ものづくり総合技術展」にコラボ出展した。数年前、両社の出会いとなった展示会である。

 本山印刷は、地域の社会貢献活動の一環として、そのデザイン力を活かし、動物愛護のポスターのデザインをボランティアで引き受けているが、同展示会において、本山印刷のデザイナーが作成したイラストを、印刷業界商社の協力を得て、ニヨド印刷がその場で「エコプレス紙ファイル」として作成し、来場者に無料配布するというパフォーマンスを行い、大変好評であったという。

 「保護された犬や猫のイラストを書き、それを印刷したものをエコプレス紙ファイルにして配布した。これにより、地元の動物愛護に少しでも役立つことができれば...」(本山取締役)。

 「印刷会社にとっての社会貢献とは、単に印刷物を無料配布すればいいという訳ではない。それなら、お金をかければどこでもできることである。印刷物に示されたメッセージが、実際に社会を動かす何かにつながることが、印刷会社にとっての真の社会貢献と言えるのではないだろうか」(御庄社長)

 「印刷業界はクライアントのPRを行うのは得意なのだが、自社をPRするのは苦手な業界と言える。今後もニヨド印刷さんと協力し、オリジナル紙製品の開発、販売だけでなく、社会全体に貢献する取り組みを進めていきたい」(本山社長)

 「メイドイン高知」のオリジナル紙製品を共同開発するだけでなく、お互いの強みを社会貢献活動にも展開する「チーム高知」。今後の取り組みが注目されそうだ。