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(一社)日本印刷産業機械工業会(日印機工、森澤彰彦会長)とプリプレス&デジタルプリンティング機材協議会(プリデジ協、辻重紀会長)の共催による「IGAS2022(国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展)」が11月24日から28日までの5日間、東京ビッグサイトにおいて開催される。統一テーマは、「Venture into the innvation!〜新たなイノベーションへの挑戦〜」。コロナ禍以降の印刷業界では、初のビックイベントとなる「IGAS2022」は、リアル展を主軸としつつ、リモートを併用したハイブリッド形式で開催され、国内外に広く最新情報を発信していく。 [事前情報 随時更新中!]

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IGAS2022|太陽機械製作所、ハイエンド凸版輪転ラベル印刷機発表

凸版輪転機のイメージを逸脱〜スキルレスとロス削減実現

 これまでのイメージを逸脱するかのような凸版輪転ラベル印刷機が誕生した。(株)太陽機械製作所(本社/東京都大田区羽田空港1-8-2、岡倉登社長)がIGAS2022で発表する「TUR-250 Tutti+(トゥッティプラス)」は、最高速度120m/分という輪転機の高生産性はそのままに、スキルレスによる作業性の大幅な向上と数値化された操作による大幅なロス削減を実現。アナログの最先端技術を駆使した、まさに凸版輪転機の「最終形」とも言える夢のようなハイエンド印刷機となっている。岡倉社長は「輪転機ならではのスピードと臨場感を体感してもらいたい」と同社ブース(小間番号5-2)でのデモンストレーションに多くの参加を呼び掛けている。

岡倉社長(左)と越智取締役


汎用品とオーダーメイドの「両利き」の製品開発で競争力強化


 同社は、フォーム輪転機やシール・ラベル印刷機、インクジェット用の紙搬送・加工ラインなど幅広い製品を開発・製造するメーカー。これまでにフォーム輪転機は1,300台以上、シール・ラベル印刷機も600台以上を出荷している。

山形県寒河江市の山形工場

 製品開発方針は「人と機械のハーモニー」。岡倉社長は「メーカーよがりの製品開発ではなく、お客様に価値を生んでもらうことのできるメーカーでありたい」と話す。2021年に創業60周年を迎えた同社は初代社長、2代目、4代目の岡倉社長がエンジニア出身であるため、会社としても技術へのこだわりは相当に強いという。岡倉社長は「私もかつては図面を描いていた。このため、時としてメーカー本意の技術をアピールしたくなるときもあるが、機械を開発するのは、あくまでも手段であって目的ではない。『顧客主義』のメーカーで在り続けたい」と製品開発への思いを語る。

 そんな同社のメーカーとしての強みは、汎用品とオーダーメイドの「両利き」の製品開発ができることである。これは口で言うほど簡単なことではない。フォーム業界、シール・ラベル業界で長年にわたり技術を培ってきた同社だからこそできることと言えるだろう。

 近年は、オーダーメイドのニーズがさらに高まっている傾向にある。メーカーとしては、汎用製品が多く販売できる方が効率的なのはもちろんであるが、長引くコロナや資源高騰、大幅な円安など、先の見えない経済状況の中、汎用製品がそう簡単に売れる時代ではない。その意味で、「両利き」の製品開発ができる同社にとっては有利な時代が到来したと言えるかも知れない。

 岡倉社長は、「現在のオーダーメイド製品の受注は35%程度だが、将来的には半々にまで増えていくのではないかと予測している」と話しており、これまでに培った印刷・加工技術にさらに磨きをかけながら、新規技術を駆使して、顧客主義での製品開発に注力していく考えだ。


次世代ミニマム凸版輪転ラベル印刷機「TCR-200 Tutti」を2021年に発表


 同社は2021年3月、「夢の次世代ミニマム凸版輪転ラベル印刷機」として、輪転機の高生産性はそのままに、省スペース、低価格をコンセプトにした次世代凸版輪転ラベル印刷機「TCR-200 Tutti(トゥッティ)」を発表した。「TUR-250 Tutti+」の前身のモデルである。

TCR-200 Tutti

 この「Tutti」とは、イタリア語で「すべて」という意味。同社取締役の越智政人営業部長は、「営業・技術・現場のすべてが一丸となって製造と販売に取り組み、また、色々な意味で今までになかった機能を取り入れ、すべてを新しくしていこうという思いを込めて命名した」と機種名の由来について説明する。

 「TUR-250 Tutti+」とともにIGAS2022に展示される「TCR-200 Tutti」は、全3,800mm(4色機)のコンパクト設計で、通紙メーター数は、巻出し〜巻取りまでで約7m。サーボモーター駆動による見当精度向上、効率的なローラー配置による素早いインキ出し、版胴・付けローラーのベアラコンタクトによるアジャストレス、異なる版胴径でもパスラインの変わらないスイングフレーム構造、標準装備のイニシャルポジションコントロール(初期位置制御)でロスを削減できるなどの特徴を持つ。

 輪転機ながらも、1アイテム500mからのレンジの仕事に対応が可能で、越智営業部長は「これまでは『輪転機』というだけで、そんなに仕事はないよと拒絶されてきたが、そのイメージをIGAS2022で覆していきたい」と意気込みを話す。

 「TCR-200 Tuttiのユーザーからは、従来機と比較してロスは4%削減、生産性は15%以上向上したという生の声を聞いている。また、あるユーザーからは、『新人オペレーターが育ちやすいね』とも評価をいただいており、女性にもオペレーションしてもらいたい機械である」(越智営業部長)

 同社のブースに視察に行く場合、凸版輪転機の「先入観」を捨てて、デモンストレーションを観に行くことが重要なポイントになりそうだ。


凸版輪転機の「最終形」として「TUR-250 Tutti+」が誕生


 そして今回、これら「TCR-200 Tutti」の様々な長所を継承しながらも、さらにユーザーの要望を取り入れ、凸版輪転機の「最終形」として開発したのが、IGAS2022で発表するハイエンド凸版輪転ラベル印刷機「TUR-250 Tutti+」だ。

TUR-250 Tutti+

 同製品は、最大紙幅をTCRの200mmから250mmにまで拡張するとともに、最高速度も100m/分から120m/分に高めている。全ての凸版輪転機で生産されているアイテムに対応できることをコンセプトとしており、従来のサテライト凸版輪転機とは異なるラインライプ構造のためオペレーターが作業しやすく、さらに数値化された操作によって大幅なロスの削減を実現することができる。ラインタイプの筐体は見た目にもすっきりとしており、カラーやデザインも格好良く仕上がっている。

 また、凸版印刷機は付けロールの調整が必要になるが、それもサーボモーターを使用してワンタッチで行える(オプション)。岡倉社長は「最先端技術を駆使しており、非常に手軽に操作できるのが特徴。印刷しながら画面で見当などを調整し、色合わせも1人で行うことができる」と、その簡易な操作性をアピールする。これまでは4色で2時間以上はかかるのが当然であった初期設定作業を1色あたり12分で行えるため、オペレーターの負担軽減は計り知れないだろう。

 越智営業部長は、「TCR-200 Tuttiは200mm幅のため、専用の版胴となっているが、TUR-250 Tutti+は250mm幅のため、当社のこれまでの機種、そして競合メーカーの版胴とも互換性を持たせている」と、TCR-200 Tuttiにはなかった導入メリットについて説明する。また、版胴ギアが不要であり、版胴のセッティングも筒を中に入れてカチッと回すだけで簡単であると語る。さらに、オプションになるが、一定の範囲内であれば、マグネットシリンダーを交換しなくてもバリアブルダイカットが可能であることも見逃せない特徴の1つとなっている。

 さらに、印刷機の稼働は「回生エネルギー」を活用しているほか、LEDにより消費電力を3分の1に抑えることができるため、「省エネ」にも大きく貢献する。昨今のSDGsにも貢献できる印刷機と言えるだろう。


来場者の期待に応えられる展示会に


 岡倉社長は来場者へのメッセージとして、「IGAS2022は、コロナ禍になってから日本で初めて開催される国際展示会であり、来場者も大きく期待していると思う。今回、展示・実演する新開発のハイエンド凸版輪転ラベル印刷機は、その期待に応えられるものであると確信している」とアピールする。

 デモンストレーションは、1日に4〜5回は実施する予定で、岡倉社長は「コロナ禍を吹っ飛ばせるような元気な展示を行いたい」と意気込みを語る。ラベル印刷業者にとって必見のブースとなりそうだ。