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新たな戦略・ブランディングのもとで準備が進められてきた世界最高峰の印刷・クロスメディアソリューション専門メッセ「drupa2016」(主催:メッセ・デュッセルドルフ)が、2016年5月31日から6月10日までの11日間、ドイツ・デュッセルドルフ見本市会場において開催される。「touch the future」をテーマに、drupaは「プリント4.0」の潮流を明確に提示し、業界ごとのイノベーション、未来の技術を発表する場を提供。主に、印刷、包装、マルチチャネルコミュニケーション、3D印刷、機能性印刷、グリーン印刷における近未来の刺激的なトレンドが焦点となる。

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コダック
「Science to Create」テーマに先端技術公開

インクジェット・電子写真方式のデジタル印刷分野からワークフロー、CTP、フレキソ分野まで

 コダックは、「Science to Create」をテーマに、インクジェット・電子写真方式のデジタル印刷分野からワークフロー、CTP、フレキソといった幅広い分野に向けた新製品・新技術を一堂に発表する(ホール5、ブースナンバーF09)。

次世代IJ技術のプラットフォーム発表

ULTRASTREAMジェッティングモジュール
​ インクジェット分野ではまず、次世代IJ技術のプラットフォームとして「ULTRASTREAMインクジェットテクノロジー」を発表する。
 コダックコンティニアスインクジェットテクノロジーを基盤としたもので、産業用インクジェットの用途を商業印刷やパッケージ印刷に活用できるレベルまで引き上げる可能性を秘めている。ドロップの微細化や優れたインク着弾精度によって、より高い解像度で高精細な印刷を実現するものだ。特定の用途に合わせて約20〜246cmまでの幅に対応するモジュラー式プリントヘッドで、多種多様な用紙やプラスチック原反に、最高150m/分の印刷速度で600×1,800dpiという高精細印刷を可能にする。
 スキャニングヘッド構成として利用できるため、移動カートリッジに複数のヘッドを取り付けてワイドフォーマット印刷にも対応可能。また、コダックの微細なナノ粒子インクが色域を30%拡大。スポットカラー対応や色域拡張を可能にし、CMYK印刷の範囲をさらに広げることもできる。
 一方、輪転デジタル印刷機「Prosper 6000Cプレス」のライブデモでは、MEGTEC社製自動紙継装置および複数のインラインフィニッシングソリューションとともに紹介。これらのソリューションは、2つの異なる用途向けで、1つは軽量コート紙に雑誌やカタログを印刷し、マンローランド ウェブ システムズ社製のFoldLineによってフィニッシングを行うもの。もう1つは、商業印刷用途として、i-WEB社製ポストコーターユニットとVITS社製のマルチカットバリアブルサーボシーターによりフィニッシングを行う。
 また、ナローウェブで軟包装フィルムへの印刷を実現するExtended Gamut+Varnish(XGV)テクノロジーのデモも見逃せない。会場ではKodak Sシリーズプリンティングシステムにより軟包装フィルム上に7色印刷を行う。それらのシステムは、CMYKにオレンジ、緑、紫を加えることで色域を拡張し、ラベルやパッケージの印刷で使用されているPantoneカラーに対応するものだ。
 さらに、水性デジタルバーニッシュの印刷も実演。環境に優しい水性インクと軟包装フィルム印刷に不可欠なボンディング剤が使用される。
 一方、49インチインクジェットテクノロジー「ライティングシステム」も公開。ワイドフォーマット印刷向けで、室内装飾や看板などに世界最速のインクジェット印刷を可能にするもの。グラビア印刷に対応する耐久性と丈夫さを実現しながら、その時限りの印刷設備投資を不要にし、特注のデザインを短時間で印刷できるようになる。

Prosper 6000C プレス

厚紙・合成紙に対応したNexPress ZX3900

NexPressホワイトドライインキ
​ 電子写真方式のNexPress ZX3900は、新たに厚紙と合成紙への対応を可能にし、ラベル、タグ、紙器といった小ロットパッケージ用途へも機能を拡張する。
 さらに、2017年に発売予定の新しいKodak NexPressプラットフォームも技術展示する。これは、業界では唯一のコンピューターによるハーフトーンスクリーニングを実現する新しいマルチビッドLEDライティングシステムを搭載し、ノイズを最小限に抑えて、極めて優れた印刷品質と色の安定性を実現する。
 また、切り替え可能なカラーステーション方式の採用によって、色をさまざまな刷り順や組み合わせで印刷できるようになり、CMYインキと2色の特色インキの組み合わせなど、印刷アプリケーションの範囲が一段と拡張される。最大1,200ミリの長尺紙にも印刷できるため、販促用のPOPやポスター、その他の特殊な用途にも対応する。
 一方、NexPressの新たな第5イメージングユニットソリューショとして、NexPressホワイトドライインキを発売する。この特色インキは、既に発売されている9色の特色インキを補完するもので、シングルパス方式の印刷機で優れた高い隠蔽性を有し、パッケージやサイン、ラベル、案内状といったアプリケーション向けの小ロット印刷における生産性と品質の向上に貢献する。

NexPress ZX3900

印刷機の消耗品市場参入へ

 プレート分野では、UV印刷適性を追加した新しいプロセスフリープレートを発表するほか、「Kodak Aqua-Image」という新たなブランドで印刷機関連のケミカル製品を発表する。Aqua-Image製品には、印刷機を最高の状態に維持しつつ効率性と印刷物の色安定性を向上させることを目的として、20品目を超える印刷機用洗浄液、プレートクリーナー、インキローラーメンテナンスクリーナーおよびガム液などが含まれる(日本での発売時期は未定)。
 さらに会場では、昨年発表された商業印刷および新聞印刷向けのElectra MaxサーマルプレートとLibra VPデジタルプレートについても詳しく紹介。ライブデモとしては、実際に露光出力されたSonora XPプレートとElectra MAXプレートを披露。また、コダックのCTPプレートは、小森コーポレーション、リョービMHIグラフィックテクノロジーのブースでも実際の印刷実演で使用される。

クラウド運用に対応したPrinergy

 クラウドベースの運用に対応したユニファイド・ワークフロー・ソリューションの次期アップグレード版を発表する。
 運用効率を改善しながらコストとリスクを低減するための新たなソリューションを提供し、製造コスト、システムパフォーマンスなどを可視化できる分析機能により業務分析をリアルタイムに実施できるようになった。
 Prinergy Workflowは、新たに組み込まれたユニバーサル・デジタル・ジョブ・チケット・エディターにより、オペレータの意思決定をリアルタイムで支援する業界初のワークフローソリューションを提供する。
 一方、Maxtone SXスクリーニングによる4色プロセスが大幅に強化され、他のワークフローシステムからのXMPスクリーニング割り当てをサポートした。
 InSite PrepressポータルではPreflight+をサポート。最新の業界規格に対応して印刷エラー発生リスクを認識し、印刷プルーフ品質と顧客満足度の向上に貢献する。
 ColorFlowカラーマネジメントソフトは、G7認証となる予定。従来のHarmonyはColorFlowへ移行される。
 Pandoraステップ&リピートソフトでは、型抜き時に無駄な部分を特定する機能が追加され、不連続カラーバーがサポートされるようになる予定で、また、パッケージ業界で要望される四角形以外の形を認識する新しいオートギャンギング機能などによりシート利用率向上に貢献する。

最新フレキソ技術訴求

 最新のフレキソテクノロジーラインアップ「Flexcel NX System'16」は、NX Advantage技術に基づいている。その1つとして、インク転移効率を大幅に改善した高度なプレート表面パターン形成により、印刷アプリケーションの領域をさらに拡大した。新しい機能として、単一のプレートレイアウトで複数のパターンを形成するためのNXタグがある。また、コダックが特許を有する技術で、文字等オブジェクトのエッジのインクフローを制御して、印刷をよりクリアにし、文字や罫線をより鮮明にするAdvanced Edge Definitionという機能もある。
Flexcel NX System'16
 また、Flexcel NX System'16の価値を十分に引き出すために用意された新しいNXインプリメンテーション・サービスとNX認証プログラムを紹介。NXインプリメンテーション・サービスでは、コダックのプレートテクノロジーを十分に利用できるよう、印刷の品質、コストおよび生産性を改善する方法を見極めるのに役立つオンサイトサービスが経験豊かな技術専門家によって提供される。
 また、業界で最もシンプルなプレートポートフォリオで高度な印刷機能を実現する。独自のKodakイメージングおよび素材技術によって、わずか2種類のプレート素材を使用してフレキソ印刷用途の全色域用のプレートを作り出せるようになる。
 軟包装パッケージング印刷会社にとって、Flexcel NX System'16は、ナロー、ミッド、ワイドの各Web印刷オペレーションで、インクの節約、プレス業務の迅速化、使用する色の削減、プレートの耐久性の改善によるコストの節約と印刷機の稼働効率の向上を意味する。また、段ボール印刷向けのFlexcel NX製品も披露する予定だ。

CTP自動化オプション

 ベストセラーモデルのTrendsetterファミリーとエコノミーモデルのAchieve CTPファミリーを補完するために、急速に拡充を図っている多彩な自動化オプションを公開する。

Trendsetter
 新しいマルチカセットユニット(MCU)、シングルカセットユニット(SCU)、インラインパンチシステムは、オフセット印刷会社がコストのかかる再出力やエラーを発生させることなく、運用効率に優れた最終印刷用のプレートを生産するのに最適な幅広いオプションを提供する。
 Achieveプレートセッターの最新モデルでは、新しい冷却システムを備え、当初の設計に比べて消費電力を43%削減。イメージング時の電力消費はわずか400Wだ。
 また、SQUAREspotイメージング技術を基盤とした超高速Trendsetterも発表する。1時間当たりの生産性を68版へと向上させて、世界最高速でのプロセスフリーCTPプレートの露光を可能にした。
 一方、モバイルアプリケーションを使用して携帯機器からCTPにリモート接続するための新しいオプションも発表する予定。​