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 パッケージ印刷の世界市場は、2015年から2020年にかけて年平均成長率6.26%で拡大を続け、2020年には市場規模が5,971億9,000万米ドルに達するものと予測されている(グローバルインフォメーション調べ)。一方、国内のパッケージ印刷市場規模は、2013年度が1兆3,193億4,300万円(1.5%増)、2014年度が1兆3,220億円(0.2%増)、2015年度が1兆3,230億円(0.08%増)で、今後も国内のパッケージ印刷市場は、軟包装分野における需要が総じて堅調であるため、大きく落ち込む事態が想定し難く、当面は特殊要因が発生しない限り微増基調となることが予測されている(矢野経済研究所調べ)。  このように、出版印刷や商業印刷分野と比較して底堅い需要に支えられた市場と言われるパッケージ印刷市場だが、一方で、人口減少やライフスタイルの変化、流通・販促手法の多様化などを背景に小ロット・多品種化が加速するとともに、パッケージのカスタマイズなど、消費者とのタッチポイントにおいて柔軟かつ革新的なソリューションが求められている。  これら市場の動きへの対応は、drupa2016でも出展傾向として顕著に表れた。drupa2016によって印刷産業のメガトレンドとなった「Print4.0」の中核的な技術要素となるデジタル印刷ソリューションが予想通り活況を呈したわけだが、同分野の最大の焦点となった「B1サイズ対応モデル」のほとんどが紙器パッケージ印刷向けを謳っている。その他にも、特色を補完するためのプロセスカラー+多色モデルや厚紙対応、軟包装用モデルの発表も相次ぎ、パッケージ印刷用途をターゲットとしたものが非常に多く、会場では、インライン加工・加飾までを含めた具体的で工業的な生産ラインによるソリューションに注目が集まった。  そこで今回、デジタル印刷技術を活用したパッケージ印刷分野を「新事業領域」として捉え、その事業化に向けたソリューションや具体的な取り組み事例を紹介する。

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SCREENグループ
パッケージ制作の工程のあたりまえを変えませんか?

ラインアップを再構築 〜 3つの視点で課題解決策を提案

印刷ジャーナル 2016年11月25日号掲載

 (株)SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ(本社/京都市上京区)の国内販売子会社である(株)メディアテクノロジージャパン(本社/東京都江東区)は、これまで紙器・軟包装・特殊印刷などの様々なパッケージ向けのソリューションを強化し、各分野において最適な課題解決策を提案している。今回、各パッケージ印刷分野における現状の課題と、その課題を解決するSCREENグループのパッケージソリューションの特徴や、その優位性などを紹介する。

紙器・軟包装・特殊印刷パッケージ向けソリューションを強化

 SCREENグループは、商業印刷・出版分野向けの展開が強かったが、メディアテクノロジージャパン(以下、MTJN)では、このほど販売商品ラインアップの再構築を行い、ソリューションを明確化し、改めてパッケージ分野向けの訴求を行っている。
 対象とするパッケージ分野は、紙器・軟包装・特殊印刷(製罐)の3つで、MTJNでは、各分野に対し、それぞれ「企画・プレゼン段階の訴求力アップ」「デザイン・製版工程の見直し」「付加価値付け」の3つのテーマで提案。各工程の課題としては、「企画・設計」「デザイン・プレゼン」「カラーマネージメント」「プリプレス」「付加価値・差別化」の視点から見直している。
 MTJNは、10月4日から7日に東京ビッグサイトで開催されたアジア最大級の包装(パッケージ)総合展「TOKYO PACK 2016」に、アビッド・フレックス(株)(本社/東京都中央区)、CGS Japan(株)(東京都千代田区)と協業出展。今回、紹介するパッケージ分野向けの様々なソリューションの訴求を行った。
パッケージ向けソリューション

企画・プレゼン段階での「プレゼン準備時間の短縮とPR力アップ」

 現状のパッケージの企画・設計・プレゼン段階では、課題を「企画段階でのプレゼン時にビジュアル化が弱くイメージが伝わらない」「プレゼンモックアップが実物に近くない、PR力が弱い」「プレゼンの提出物準備に時間がかかっている」と設定した。
 解決策として、「3Dシミュレーション画像や陳列イメージの作成」「アルミ蒸着紙やクリアシート、軟包装フィルムなどを含む印刷本メディアを使った、白や特色を含む印刷色再現でのリアルモックアップ作成」「3D画像やリアルモックアップが最短1日で作成できることによる、プレゼン準備時間の短縮」を提示し、運用メリットとして「プレゼンPR力アップ」「プレゼン準備時間の大幅短縮」を提案する。

製版工程での「ミス・ロスの削減」「製版作業時間の短縮」

 製版工程では、現状課題を「データの変換や、二重管理によるトラブル発生」「本機校正などで校正作成に時間・手間・コストがかかりすぎている」「特色・プロセスカラーの都度の色合わせ作業で再現のバラつきを抑えられない」「在版フィルム工程がまだ残っていてデジタルフローに移行できない」「検版(とくに面付け時の全数検査)に時間を要している」と設定した。
 解決策として「デザイン〜製版処理〜RIP処理全てをAdobeフォーマットのままで完結し、変換トラブル発生やデータの二重管理をなくす」「本メディアを使ったインクジェット校正で時間・手間・コストを削減」「色の変動要素・修正時間を大幅に削減し、全ての工程で色再現を共通化」「在版フィルムのデジタル化でCTPフロー運用」「検版作業の省力化でミス・ロスを削減」「軟包装シュリンクフィルムや缶の変形データ作成の効率化」を提示し、運用メリットとして、製版工程での「ミス・ロスの削減」「工程の作業時間の短縮」を提案する。

差別化・付加価値付け

 パッケージ分野においても、「他社との差別化」は求められているが、その解決策として、「セキュリティデザインによる偽造防止・抑制効果の付加」「紙器への厚盛りニス・箔加飾による、高級感・インパクトの向上」「UVインクジェットによる多品種中ロットの店頭販促用POP・什器の提供による顧客の販促力支援」を提示し、運用メリットとして、「提案訴求力向上・他社差別化・顧客満足度向上」を提案する。

【注目製品】

▽パッケージデザイン3Dシミュレーションソフト「iC3D」
 紙器・段ボール・軟包装・シュリンクパッケージ・チューブ・ボトルラベル・什器やPOPなど、立体形状の3Dシミュレーションを容易に作成することができるソフトウェア。さらに陳列イメージ画像を作成することも可能。紙器や軟包装は、CADデータなしでイラストレーターのデザインデータだけでも3Dシミュレーションが可能。企画・プレゼン初期段階でのビジュアル化をスピーディーに行うことができる。
iC3Dのイメージ図
▽成型印刷物用変形ツール「Quadraxis 3D SUITE」
 シュリンクフィルムや缶パッケージのデザインデータの変形処理を省力化するためのツール。規定のパターンデータを型成形し、専用カメラでスキャン。変形情報を作成し、自動的にデザインデータを変形する。イラストレータープラグインとして動作。変形後の3Dシミュレーションも可能。従来手作業で行っていた変形作業が大幅に効率化できる。
Quadraxisのイメージ図
▽デザイン〜印刷統合特色CMSツール「ORIS CXF TOOLBOX」
 実印刷の特色をテーブル化した専用スウォッチをデザイン側に提供し、デザイン段階からそのスウォッチを利用することで、実印刷の特色指定が可能となるツール。特色利用頻度の高いパッケージ分野では、デザイナーの指定した特色色味の再現調整が製版・印刷側で作業を要しているポイントであるが、このツールを用いてデザイン側と連携すれば、特色の色調整作業時間が大幅に短縮でき、顧客囲い込み・満足度向上も見込める。企画〜実行までの大幅な時間短縮が可能となる。

▽紙器・軟包装・缶パッケージプレゼンモック作成システム「ORIS FLEX PACK//WEB」
 シール・ラベル、軟包装、紙器、缶パッケージ向けの、特色を含んだ印刷色再現が可能なリアルモックアップ作成を可能にするシステム。プリントは専用インクを搭載した溶剤インクジェット方式。CMYKに加え、オレンジ・グリーン・ホワイト・メタリックを搭載しているため、様々な特色再現が可能。予め実印刷機とのカラーマネージメントを行っておくことで、特色を含む印刷色味でのリアルなモックアップ作成を実現している。リアルなプレゼンモックアップ作成をスピーディーに作成することができるため、プレゼン力アップとプレゼン準備時間の大幅短縮が可能となっている。

PJ-F780、多彩な用紙に対応 〜 本紙校正のあたりまえを変える

PJ-F780
​ 「Proof Jet F780(以下、PJ-F780)」は、メディアテクノロジージャパンが企画・開発し、戦略的製品として販売している本紙校正用インクジェットプリンタである。商業印刷プルーフモデル、紙器・パッケージプルーフモデルの2機種をラインアップしており、今回のTOKYO PACK 2016では、紙器・パッケージプルーフモデルを動態展示した。
 PJ-F780は、本紙に直接印刷でき、網点出力や広い特色域、様々な基材へ対応するなど校正機に求められていた機能を搭載し、市場でも注目を集めている。すでに全国で導入が始まっており、ユーザーからも「印刷機の品質に近い」との高評価を得ている。
 今回、PJ-F780の特長について、「印刷本紙対応」「高品質」「網点出力」「印刷位置精度」「低コスト」「印刷シミュレーションとして信頼のおけるワークフロー」の6つ側面から紹介する。
▽印刷本紙対応
 薄紙やコートボール紙など0.8ミリまでの厚紙や、和紙、ファンシーペーパーなどの特殊紙に対応し、アンカーコートなどの事前処理をすることなく直接本紙に印刷できる。とくに紙器・パッケージプルーフモデルではオプションでホワイトインクを搭載でき、アルミ蒸着紙、フィルムなど様々な基材に対応。紙の風合い、厚み、色味、コシなどを活かした校正や、モックアップを作成することができる。最大用紙サイズは四六全判、最大印刷サイズはB1サイズまで対応する。
▽高品質
 最大1,440×720dpiの高解像度で出力が可能。目的に応じてインクの構成を2種類ラインアップ。商業印刷プルーフモデルでは、CMYKに加えライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラックを採用し、ハイライトのざらつきを抑えた自然な再現が可能。紙器・パッケージプルーフモデルでは、CMYKに加えてオレンジ、グリーンを採用し、広い特色再現域を持つ。また、オプションでホワイトインクに対応し、アルミ蒸着紙やフィルムへの印刷も可能。さらに今回のTOKYO PACK 2016では、参考出品としてバーニッシュ(ニス)の印字実演も行った。
▽網点出力
 CTP出力用の1bitTIFFデータを使用することにより、信頼性が高くオフセット印刷に近い文字品質、網点再現を可能とする。
▽印刷位置精度
 フラットベッドテーブル上の3つの位置決めピンに用紙を合わせ、バキューム穴で吸着固定するため、見当ずれすることなく高精度な両面印刷をすることができる。
▽低コスト
 用紙に対してアンカーコートなどの事前処理が不要であり、損紙もほとんど出ないため、低ランニングコストを実現する。
▽印刷シミュレーションとして信頼のおけるワークフロー
 ワークフローRIP「EQUIOS」で処理したCTP出力用の1bitTIFFデータや8bitTIFFデータをカラープルーフィングシステム「LabProof SE」を介してPJ-F780で出力することにより、刷版イメージを確実にシミュレーションすることができる。PJ-F780の対応ソフトウェアは、「LabProof SE Ver2.3」もしくは「ORIS COLOR TUNER//WEB Ver3.0」。