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印刷会社の印刷通販サービス活用 2022

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ネット印刷通販「いろぷり」、ショールームのプリントショップ機能を拡張

東京工場に大型3Dカラープリンター設置 〜 今秋にはオンデマンド印刷機設置

印刷ジャーナル 2022年9月15日号掲載

 京都で100余年の歴史を誇るITPグループのネット印刷通販「いろぷり」(運営/ネット印刷ITP(株)、北井元司社長)が好調だ。グループ全体で約1,300名のスケールメリットを活かしたリアル営業×非対面の融合に加えて、4月に東京・御茶ノ水にオープンした「いろぷりショールーム」のシナジー効果により、オープン2年目の対前年比売上も大幅に増加した。ショールームに設置するガーメントプリンターでは、データを持ち込めばその場で印刷可能なプリントショップの機能を持たせているが、今秋にはオンデマンド印刷機も導入し、その機能を拡張する。さらに、東京工場への大型3Dカラープリンター導入に合わせ、秋頃から3Dカラープリントのメニューを「いろぷり」サイトに追加するなど、新展開を次々と打ち出している。

北井 社長
JR御茶ノ水から徒歩5分の「いろぷりショールーム」


 「いろぷり」は、親会社ITPの100余年の実績・信頼を生かした工場生産により、オープン以来、製品品質「ノンクレーム」と「発送遅延ゼロ」を継続している。それが品質と信頼につながり、リピート率は9割を超える。また、ネット印刷通販未経験のユーザー目線による「いろぷりこらむ」も発信し、読者の好評を博している。

 ITPグループは2020年、「いろぷり」オープンと同時に独自の営業部門を設置した。未曾有のコロナ禍の中、同業印刷会社・印刷関連会社に向け、「働き方改革」と「時短勤務」をキーワードとして"共に戦い、協業・連携を"と、あえて短時間でも対面を基本として同業の「プロ対プロ」の対面営業を展開してきたのである。「その結果、多くの同業印刷・印刷関連会社とつながりを得ることができた」(北井社長)。これがコロナ禍においても拡大を続けている一因になっているようだ。

 実際にいろぷりの営業が訪問した会社でのネット印刷に対しての多くの意見は、従来のネット印刷の「品質に対しての不満」や、簡単・手軽なWEB注文のはずが、非対面での「パソコン操作の不慣れ・面倒」、「シンプルな商品掲載のみでは奥行きが浅い」など、通常の印刷会社では当たり前となっている後工程(後加工、仕訳・内職作業など)の要望・需要が多かったという。

 「そんな中、営業が対面で訪問できないエリアやコロナ感染が続く中で非対面での声にも柔軟に要望に応えた『見積りします』のサービスを開始した。印刷通販でこのようなサービスは珍しいため、サイトに掲載した当初は反響の多さに驚いたが、現在も連日のように依頼や問い合わせは絶えない。新規ユーザー拡大につながっている」(北井社長)

https://www.iropuri.com


ショールームの対面サービスが好評。今秋にオンデマンド印刷キャンペーンを計画


 「非対面でデザインを任せるのは不安...」。このようなユーザーの不安を解決できるのも、ショールームにより対面サービスを展開している「いろぷり」の強みだ。御茶ノ水のショールームの建屋には、ITPグループの制作会社である(株)ITPコミュニケーションズのオフィスがあり、社員が常駐しているため、ショールームにて対面でデザインの打ち合わせが行える。

 また、ショールームが立地するロケーションは人の往来も多いため、対面による「各種印刷よろず相談」は、近隣の学校や病院、飲食店・個人事務所から個人など、連日2〜10人が来店し、好評のようである。事前予約すれば、待ち時間が無くスムーズに相談することができる。

 また、ショールーム限定で展開する「ガーメントプリンター」によるプリントサービスも好評だ。スマートフォンやデジカメで撮影した画像をトートバッグ・ランチバッグ・コースター・Tシャツ等の生地に直接プリントでき、ペットの写真や家族の思い出・記念行事(お宮参り・七五三・入学入園式・結婚式)などのオリジナルグッズができる。

 「高齢者の方がデータではなく、プリントされたお孫さんの写真を持ってこられたこともあるが、店頭のスキャナでデータ化して対応したこともある。また、『いろぷり』のサイトでも、年末頃からガーメントプリンターによるサービスを展開する準備を進めている」(北井社長)

ガーメント

 さらに今秋11月頃には、オンデマンド印刷機をショールームに設置し、プリントショップとしての機能を持たせる。近隣にはオフィスや飲食店なども多いため、緊急の名刺やチラシなども、その場で印刷して手渡すことができる「プリントショップ」としての顧客サービスを強化する。そして、これを記念したキャンペーンも計画しているようだ。

 「オンデマンド印刷キャンペーン(仮名)を11月から年末に向けて検討している。また、ITPグループのデザイナーによる『年賀状デザインコンテスト』を行い、入選作品を『いろぷり』オリジナルデザイン『年賀はがき・私製ハガキ』として、ショールームやいろぷりサイトで商品化することも検討している」(北井社長)


環境・SDGsに注力。9月からオフセット印刷は無処理版、エコ紙ファイルも販売開始


 現在、「いろぷり」で取り扱っている商品ラインアップは45カテゴリー・約130アイテム。その中でも、昨今注目される脱プラ・SDGsに対応する販促ツールとして8月から販売開始したのが「エコ紙ファイル」だ。

 「クリアファイルの代わりとして使用することで、プラスチックゴミの削減につながり、企業・団体として環境問題に取り組む姿勢をアピールできる。『ホワイトタイプ』はSDGsの目標達成に貢献できるFSC森林認証紙を使用している。用途に合わせ、透けないタイプと半透明タイプの2種類を用意している。オンデマンド印刷機を使用することで、小ロットから安価に提供が可能になっている」(北井社長)

 さらに、ITPグループでは9月から、生産体制においても環境・SDGsの取り組みを加速させた。同グループはすでにISO14001認証やグリーンプリンティング認定工場など、環境関係の認証を取得しているが、環境対策への新たなステップとして、京都・名古屋・東京の工場にある全9台のオフセット印刷機のすべてを「完全無処理版」対応にした。

 「これにより、『いろぷり』サイトで受注する製品についても、場内オフセット印刷については自動的にすべて無処理版での印刷になる」(北井社長)


大型3Dカラープリンターと合わせて「全身3Dスキャナーシステム」も設置


 ITPグループの東京工場に大型3Dカラープリンターが設置された。これにより3Dデータの制作から3Dプリンター製造までのワンストップ商品の提供をオールITPで制作することが可能になる。いろぷりショールームがある、ⅠTP御茶ノ水オフィスには、CADデータを活用した不動産関連の建築パーツ活用の実績のあるITP不動産事業部門や、ITPコミュニケーションズには3Dデータ制作・映像部門もあるため、「オリジナルフィギュア製造を『いろぷり』サイトで取り扱うことや、ショールームでの対面相談・販売も予定している」(北井社長)ということだ。

 また、今秋には同じく東京工場に「全身3Dスキャナーシステム」(円形360度に配置した合計96台の小型カメラ搭載)を導入することも確定している。

 「このスキャナーを活用すれば、オペレーターが3Dデータを作成しなくても、実物を写真撮影してスキャニングするだけで、簡単に3Dデータを作成できるようになる。例えば、医療関係では専用の3Dプリンターでギプスなど、個人個人に最適なサイズで作ることも実践されてきている。3Dプリンターはあらゆる産業に貢献できるものとして模索・期待している」(北井社長)

 ネット印刷通販「いろぷり」は今後、非対面のいろぷりサイトと対面の営業活動・ショールームによる「二刀流」のサービスを心掛けていくとともに、プリントショップ機能を持たせたショールームとして、小ロット多品種商品も制作からのワンストップサービスの充実を図っていく。ノンクレームの「いろぷり品質」の継続、ユーザーが利用しやすいユーザビリティーの向上で、さらなる進化を目指す。