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[シリーズ]販促アイテム・ツール

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ミリアド、非接触で集客促進〜販促アイテムに「効果」を付加

印刷ジャーナル 2021年9月25日号掲載

 近年、販促アイテムは、その効果までが求められるようになってきている。これまでの紙媒体による一方通行の発信から双方向、つまり、その販促アイテムが顧客、あるいは消費者に対し、どのような行動を起こさせたのかが重要となっている。このニーズに対応するのが、(株)ミリアド(樋口清政社長)が提供する集客効果を高めるオリジナルのデザインQRと専門知識不要で誰もが簡単にキャンペーンコンテンツなどをWeb上で作成できるサービス「QLEAR(キュリア)」だ。

知識不要で多彩なコンテンツ制作が可能

 キュリアは、DTPコンテンツを使い、Webコンテンツ制作から配信・分析までを行うことができるサービス。希望のURLを設定し、好きな画像にQRを合わせ、テンプレートから画像や文章を入力するだけで、最短1分でコンテンツ制作が完了。選択できるコンテンツは、スマホLPやおみくじ、ガチャなど20種類以上を用意しており、デザインQRやNFCなどで配信することができる。

 同社・コミュニケーションデザイン部の木村愛氏は、キュリアの特長として「アプリをダウンロードすることなく、デザインQRコードなどを読み取るだけなので、その場ですぐにコンテンツサイトに誘導することができる」と説明する。

 また、読み込まれたデザインQRから、利用者のログを収集できるので、このデータを今後のマーケティングに活用することも可能だ。

 「専門知識がないとWebコンテンツなどを作ることができないと思っている印刷会社も多いかもしれない。しかし、キュリアは、画像などのDTPコンテンツさえあれば、誰でも簡単にWebコンテンツを作ることができる」(木村氏)

 その機能は高く評価され、2019年のサービス提供の開始から多くの販促アイテムの付加価値創出手段として採用されている。


発注者が求めているのは数値化された「効果」


 印刷会社の得意先、つまり発注者側では、従来の紙媒体だけの販促プロモーションに限界を感じている発注担当者も多く、紙媒体と電子媒体を活用した新たな販促プロモーションへの取り組みに高い関心を寄せている。現実的に、これまでチラシやカタログ、ダイレクトメールなど、紙媒体制作にかけていた予算が、他の販促用予算に振り分けられていることも起きている。では、なぜ発注者は、紙以外の販促手法に魅力を感じているのか。同社・営業部の図師安里紗氏は、「一番の問題は印刷物だけでは、その効果を測定することができないということ」と説明する。

 これまで不特定多数の人に広く情報を伝える販促アイテムとして印刷物は、その役目を果たしてきた。しかし、現在の発注者側が販促アイテムに求めているのは正確に数値化された効果だ。

 このニーズに印刷会社が応えることができれば、従来の印刷物制作に加え、マーケティング支援という新たなビジネスチャンスを掴み取ることができる。それを実現するのがキュリアだ。

 キュリアは、ログの収集ができるので実際の効果を測定し、分析することができる。これにより印刷会社は、販促アイテムとして紙の印刷物を提供するだけでなく、付加価値として効果測定までを提供できるようになる。

 「ログが収集できれば、仮に成果を上げることができなかったとしても、次への改善のヒントにつなげられる。紙媒体だけでは、効果を測定することができないので、その販促物が、どのように評価されたのかを確認することができない」(図師氏)

 実際の販促プロモーションにおいてキュリアは、どのような成果をもたらしたのか。木村氏は採用事例をもとに、その効果を説明する。


キュリア採用で反響率が8倍に向上


 広告代理店であるto be free design(株)は、関東エリアを中心に展開するスポーツスパに対し、キュリアを使用したポケットティッシュ広告を2020年より提案し、集客増につなげている。

to be free design社の事例

 このスポーツスパでは、前年(2019年)まで他社制作のポケットティッシュ広告を採用していた。内容は、施設紹介と一般的なQRを印刷したもので、実際の効果としては、月に数十人程度のアクセスがある程度であった。さらには応募フォームの入力、キャンペーン登録、抽選など、多くのステップが必要なことから、煩わしさを感じて途中離脱するケースが多々あったという。しかし、キュリア導入後は、デザインQRを読み取るだけでキャンペーンおみくじに移行し、その場ですぐに発行されたクーポン券を確認できるので、課題となっていた途中離脱を完全に抑制することができた。この結果、反響率(クーポン利用率)が8倍に向上している。この効果は高く評価され、2021年も継続採用されているという。


ログ情報からターゲット顧客を判別


 新潟県長岡市に本社がある北越印刷(株)が実施したmeiji販売特約店の新規顧客獲得キャンペーンでは、DMハガキにキュリアを採用し、新規集客のための販促プロモーションを展開している。

北越印刷の事例

 この事例では、これまで紙媒体の返信用DMハガキによる記述式フォームを、デジタルフォームに置き換えて、デザインQRからもキャンペーン応募ができるように変更。また、デジタルに不慣れな顧客でも応募できるように紙媒体の応募用紙と電話での応募対応も図っている。

 この事例の成果の1つは、顧客層の再認識だ。販売特約店側では当初、新規獲得顧客として、主にシニア層を見込んでいた。しかし、キュリアから集積したログ情報を確認すると、現役世代でもアクセスしやすい時間帯から多くの応募があったことが判明した。このデータ履歴から、オンタイムで働く現役世代がアクセスしているという仮説が導きだされた。この結果を踏まえ、販売特約店側では、シニア世代だけではなく、現役世代もターゲット層と捉えるべきとの方向性を打ち出している。


コロナ禍のキャンペーンで評価された「非接触」という機能


 2つめの成果は「非接触」、つまりアナログ作業からの脱却だ。

 従来の記述式フォームでは、返信されたハガキに手書きされた個人情報をPCなどにデジタル入力する作業が発生する。また、個人情報を取り扱うことから情報漏洩に配慮した環境と多くの作業員が必要となる。人的コストや時間コストは膨大なだけでなく、コロナ禍の現在では、狭い室内でスタッフが密集して作業することは、感染拡大にもつながる。

 しかし、キュリア導入後は、Webから応募できるので、手作業によるデータ入力作業も低減でき、また、感染の心配もない。つまりキュリアからのアクセスで、ほぼすべての作業が完結していることとなる。

 この非接触という特徴を販売特約店側も「コロナ禍におけるキャンペーンの在り方」として注目。東京から始まったキュリアを採用したキャンペーンは、他の地域でも展開され、現在では、記述式フォームを撤廃し、キュリアからの応募のみの仕様に変更されている。

 コロナ禍における販促支援には、「非接触」というワードが重要であると木村氏は語る。

  「ある展示イベントでは、キュリアによるデジタルガチャで出展ブースの集客率向上につなげていた。仮にリアルな『ガチャガチャ』本体をブースに設置して集客効果を期待しても、多くの来場者は、感染を懸念して『ガチャガチャ』のハンドルに直接手を触れて回すことはないと思う。また、出展者側も、いちいち消毒するなど多くの手間がかかってしまう。しかし、『非接触』という機能を持つ、キュリアであれば、出展者、来場者双方に安心を提供できる」