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印刷産業の発展に貢献する製本・後加工

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ドルック(北海道)、Hohner社製中綴じ機国内1号機導入

準備時間1/2、省人化へ 〜 FFGSのトータルサポート体制評価

印刷ジャーナル 2019年3月5日号掲載

 UV印刷技術をベースに特殊・高付加価値印刷物の一貫生産を強みとする(株)ドルック(北海道旭川市工業団地2条1-2-6、齊藤啓一社長)はこのほど、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(辻重紀社長、以下「FFGS」)が昨年末から日本国内における独占販売に乗り出したHohner社製中綴じ機の国内1号機を導入。その起動式が2月15日に執り行われた。当日開かれた記者会見の中で齊藤社長は、既存設備を含めた効率的な運用を客観的に指摘できるFFGSのサポート体制が「決め手のひとつ」とした上で、Hohner社製中綴じ機の導入効果については「1/2のセットアップ時間」「縦積みフィーダーによる省人化」を挙げた。

左から、FFGS 辻社長、ドルック 齊藤社長、Hohner社・ピーター ショエルホーンCEO、FFGS 柳川尚常務執行役員

スタンダードモデル導入

 Hohner社は、ドイツに本社を置く後加工機メーカー。ワイヤーステッチなどの機械開発で高い技術力を持ち、欧米を中心に展開。とくに中綴じ製本機は2008年以降、主力製品として急速に導入台数を増やしており、アナログアタッチメントタイプや、デジタルプレスとインライン接続が可能な全自動タイプなど、ユーザーの戦略に合わせた幅広いラインアップを誇る。
 今回、ドルックが導入したのは、その中でスタンダードモデル(工具レスセッティング仕様)とされている「HSB9000」。最高速度は9,000回転/時で、用紙サイズは最大で365×350ミリ(断裁前)まで対応。正ラップ、逆ラップ、ラップなしにも対応した柔軟なフィーダーを装備している。
 また、ローポジションの機械設計、工具の使用を最小限に抑えたシンプルな機構を採用しており、導入後でも1ユニット単位でフィーダーの増設が可能である。
 起動式では、ドルック・田村禎三郎会長、FFGS・辻社長をはじめ、FFGS・柳川尚常務執行役員、Hohner社・ピーター ショエルホーンCEOらが出席のもと神事が執り行われた後、齊藤社長が起動ボタンを押し、生産稼働を開始した。

HSB9000起動ボタンを押す齊藤社長


労働環境改善に貢献

 当日は、ドルック・FFGSによる共同記者会見も催され、導入経緯や採用のポイント、またFFGSが「中核事業」と位置付けるポストプレスソリューション事業の今後の展開について説明があった。
 会見の冒頭、挨拶に立ったFFGS・辻社長は、「クライアントの要望に添った付加価値の高い印刷物を提供するドルック様に当社の提案を採用いただいたことを誇りに思う」との心境を述べた後、労働人口減少による人手不足への対応や製造技術の継承、また働き方改革関連法の順次施行など、印刷業界が直面する課題に言及。「労働環境の改善は社会的な課題」とした上で、Hohner社製後加工機について、「操作性やメンテナンス性など、使う側の立場に立った扱いやすい設計が特長。高い品質や生産性を保ちながらも、効率化や省力化に繋がる設備として労働環境改善にも貢献できる」と説明した。
 さらに辻社長は「後加工は、印刷製品の最終的な品質を左右する重要な工程だ。今後は、後加工分野においてもこれまで以上に顧客の課題や戦略を丁寧に聞きながら、設備投資の提案だけでなく、運用方法やアフターフォローを含めた提案に注力していく」との考えを示した。
 一方、Hohner社・ショエルホーンCEOは、「FFGSとの提携は、当社がステッチングヘッドで知られてきた市場への中綴じ機投入と浸透における重要な一歩である」とした上で、「ドルック様は、HSB9000の柔軟性と幅広い対応フォーマットにより、新しい事業分野と用途に参入できる」と述べ、ドルック、FFGSの両社に対し、感謝の意を表した。

客観的な視点でトータルアドバイス

 ドルックとFFGSは、ドルックが強みとする後加工分野において4年前からパートナー関係にあったという。パート4〜5名による手作業で残業を要していた梱包作業においても、FFGSの提案によるクラフト自動包装機の導入で、作業者1名でも定時内に作業を終えることができるほどの効率化を実現した例がある。
 齊藤社長は、今回の設備投資において、単に設備導入の提案だけでなく、時には既存設備についても効率的な運用やメンテナンスのアドバイスを提案してきたFFGSのサポート体制が「決め手のひとつ」としている。
 「自社内だけでは気付かなかった問題点においても全国の印刷現場を知るFFGSは、実際の現場の中でどんな課題があり、何を改善すべきかを客観的な視点で指摘してくれる。そんなパートナーとしてFFGSは欠かせない存在」(齊藤社長)
 会見の中で齊藤社長は、「HSB9000」導入による効果について、まず「セットアップ時間の短縮」を挙げている。「セットアップに要する時間が1/2に短縮できる。中綴じ機の仕事が無線綴じ機の仕事の2.5倍ある当社にとって大きな効率化をもたらすことになる」
 また、縦積みフィーダーによる「省人化」の可能性も感じているという。「縦積みフィーダーは擦れの心配がないため、大量に折り丁を載せることができる。現在、オペレータ1名、鞍に積む人員が最低でも2名付いているが、いずれは7鞍を1名のオペレータで運用できるのではないか」

大量に折り丁を載せることができる縦積みフィーダー