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印刷通販ビジネス2023

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ネット印刷通販「いろぷり」、ITPとの連携強化で新時代の印刷通販へ

印刷ジャーナル 2023年8月25日号掲載

 創業100年企業の老舗(株)ITP(旧・石田大成社/古崎良一社長)は2023年7月、新たに4つのプロジェクトを加えた「ITP新生2023プロジェクト」を始動した。同月に開設3周年を迎えたITPグループのネット印刷通販「いろぷり」(運営/ネット印刷ITP(株)、北井元司社長)は、これを機にITPグループとの連携をさらに強化し、新時代に対応するネット印刷通販として進化を目指す。さらに、プリントショップ機能を備えた「いろぷりショールーム」による対面とネット印刷通販の非対面との二刀流サービスにより差別化を展開し、新たな商圏拡大に挑んでいく。


北井社長(中央)と「いろぷり」のスタッフ

 ネット印刷通販「いろぷり」は、2020年のサイト開設時より独自の営業部門を設置。当時は未曾有のコロナ禍の中で同業の印刷・印刷関連会社に向けて、「働き方改革」と「時短勤務」をキーワードとして、「共に戦い、協業・連携を」とあえて短時間でも対面を基本として、「プロ対プロ」のBtoBの顧客をターゲットとした対面営業を展開してきた。

 翌年2021年には東京営業部を設置。その結果、「現在も多くの企業や同業印刷・印刷関連会社の顧客とつながりを得ることができた」(北井社長)。さらに2022年には、東京・御茶ノ水に「いろぷりショールーム」を開設した。これにより、一般企業から近隣の個人商店・個人顧客にまで「対面と非対面の相乗効果で新たな商圏拡大につながった」(北井社長)という。

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 一方の「いろぷり」サイトでは、2021年7月より「いろぷりこらむ」を継続的に配信する。ネット印刷通販の未経験ユーザー目線での内容は、新規ユーザーの信頼・獲得にもつながっている。また、いろぷりではX(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどの各SNSを開設・配信。X(旧Twitter)では、創業時より幅広い層とつながり、現在のフォロワーは3,300を超える。「これが相乗効果で他のSNSのフォロアー増加にもつながっている」(北井社長)ようだ。

 また、いろぷり会員に向けたメルマガも継続的に発信。さらに、常に「いろぷり」サイトのサイトユーザビリティーの向上を視野にしており、「大幅なリニューアルではなくても、より使いやすいサイトを目指し、少しずつ不定期の更新を続けている」(北井社長)。今年9月上旬にも、トップページの商品を、より見やすい形にリニューアルするということだ。


プリントショップ機能を備えた御茶ノ水「いろぷりショールーム」


 東京・御茶ノ水に2022年4月にオープンした「いろぷりショールーム」は、いろぷり取扱い商品の展示、顧客との対面窓口として「印刷よろず相談」や「デザイン制作相談」もできるコミュニケーションスペースとして活用している。対面デザイン制作は、ショールームと同じ建屋で運営するITPコミュニケーションズの所属デザイナーが制作を担当する。ガーメントプリンタ(RICOH Ri100)は開設時から設置し、「スマホ画像データを持ち込めば、その場でTシャツやトートバッグ・ポーチ等へオリジナルグッズとしてプリントできる」(北井社長)。個人顧客からの注文・リピートは途切れないようだ。

 また、2022年12月からは、オンデマンド印刷機・小型断裁機を設置し、ショールームにプリントショップ機能を備えた。各メーカー・機種の中から汎用性・操作性・品質性能を重要視し、オンデマンド印刷機「キヤノンimagePRESSE C910series」を導入。インラインで中綴じ製本(小口断裁機能付きでA4×80頁まで)、平綴じ製本(コピー用紙程度の厚みならA4×200頁まで)に対応する。ショールームでは、一般企業や個人顧客にもターゲットを拡げ、多品種・小ロット・短納期で、対面相談・デザイン制作からオンデマンド印刷・中綴じ製本までワンラインでの対応が可能となり、リアルショップ化のシナジー効果により注文も順調に増加したようだ。


「いろぷり」サイトの開設3周年を迎え、さらなる進化へ


 今年7月には、「いろぷり3周年感謝キャンペーン」を1ヵ月間にわたり開催した。サイト開設4年目を迎えた今回のキャンペーン広告は、親会社のITPデジタルマーケティング室主導で、いろぷりサイトの動向調査も兼ねてWEB広告に特化し、各いろぷりSNSと合わせての告知のみであったが、結果は昨年以上のアクセス数となり、北井社長は「いろぷりは同業種からの注文が多い中、一般のネット印刷通販ユーザーからもたくさんの応募・注文をいただくことができ、また、いろぷりショールームへの来店増にもつながった」と話している。

 もちろん、東西営業部のキャンペーン案内効果により、新規・既存ユーザーの反応も良かったようである。今回のキャンペーンにより、改めていろぷりサイトへの関心の高さ、キャンペーン相乗効果を見ることができたという。


「ITP新生2023プロジェクト」を始動


 ITPは今年7月から、従来から継続のドキュメントビジネス、行政、不動産、学校、自動車、農林、JAに加えて、「新印刷物検討プロジェクト(仮)」「3Dビジネスプロジェクト」「ChatGPT活用プロジェクト」「デジタルマーケティングプロモーション」「SC(ショッピングセンター)」新規開発プロジェクト」の4つを加えた12プロジェクト活動を開始した。「いろぷりサイトとしても、これらのプロジェクトに賛同しながらITPとの連携をさらに強化し、新時代に対応したネット印刷通販に進化していきたい」(北井社長)との考えだ。

 その中の1つであるITP 3Dビジネスプロジェクトでは、営業から制作・撮影・製造・販売までのオールITPワンストップ事業として、東京工場の大型3Dカラープリンタ(ミマキ3DUJ-553)、全身3Dスキャナーシステム(円形360度に配置した合計96台の小型カメラ搭載)は、ITPグループのカメラマンが撮影・3D画像データ化。ターゲットは、不動産関連の大手企業から個人ユーザーまで、多種・多様な顧客・用途をさらに深耕させる、未来の新印刷に向けたプロジェクトとなっている。

 同事業では「いろぷりショールーム」においても、3Dデータ制作から3Dプリンタ製造までワンストップの「対面相談」も開始した。今後もITPでは、多種多様なプロジェクト活動を通し、メンバーからのアイデアも取り入れながら、時代のニーズに沿った新分野・新カテゴリーも含め、ITPの社是である「創造と挑戦・品質と信頼・進化と革新」に沿った、常に先を見据えたITPグループ連携プロジェクト活動を展開していく。

 また、新印刷物検討プロジェクトでは、「紙以外の印刷を見据え、若手営業を中心に推進していく」(北井社長)。そして祖業の印刷については、ITPグループとして設備投資を順次強化していく。今年5月には、滋賀工場にホリゾン社製 次世代型製本ワークフローシステム「iCE LiNK」機能搭載の無線綴じラインCABS6000を導入・更新。続けて本年末から来年6月にかけ、東京工場・名古屋工場で複数の印刷機の更新・導入を計画している。北井社長は「いろぷりではこれらの設備を活用するので、これによりユーザーにさらに使いやすい環境を提供していけるようになる」と話す。

 ネット印刷通販「いろぷり」は、ITPのプロジェクト活動・グループ連携から次々と新展開を打ち出していく計画で、ユーザーからは「いろぷり品質」として品質が高く評価されている。新時代のネット印刷通販として今後も目が離せない。