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トップ > 特集 > インクジェット特集2009:ミマキエンジニアリング 版レス・ダイレクトプリントによるデジタルワークフロー提案 ワンストップサービスの開拓支援

 日本経済の景気回復過程でも低迷を余儀なくされた印刷料金は、世界同時不況とされる中で改善されず、昨年からの資材の値上げも重なるなど、どこに正当な利益創出戦略の軸足を置くかが業界共通のテーマと言える。そのひとつのヒントを示したのが、半世紀以上にわたる歴史の中で最大規模となった昨年の「drupa2008」だ。  インクジェット技術を中心としたデジタル印刷の急伸が焦点となったdrupaでは、ワイドフォーマットの高解像度化やUVによる用途拡大、トランスプロモ分野の出展が目立った他、コート紙などの印刷用紙への対応や枚葉タイプ、30インチ幅クラスの高速機が発表されるなど、インクジェット技術が着実に商業印刷分野への適応能力を備えつつあることを示した。  非接触で微小液滴を正確に着地させることができ、電子写真方式のような加熱定着処理が不要であることから、回路基板製造やDNAチップ、ディスプレイ装置の生産に応用されているインクジェット技術。言うまでもなく印刷産業にとっても多くの可能性を秘めた魅力的な技術である。

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ミマキエンジニアリング
版レス・ダイレクトプリントによるデジタルワークフロー提案
ワンストップサービスの開拓支援

印刷ジャーナル 2009年7月25日号掲載

 既存の印刷分野の付加価値が減少する中、印刷周辺のビジネスまで一括受注し、顧客の利便性を高めた「ワン・ストップ・サービス」が新たな営業戦略として注目されている。大型インクジェットプリンタは、看板やディスプレイをはじめ、建材やパーテーション、壁紙など新たな印刷需要を創出するツールである。印刷用データから派生する様々な需要を取り込み、ワン・ストップ・サービス戦略を取り始める印刷会社も登場してきた。(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市)は、そうした印刷会社を支援する各種ツール、ソリューションを提案している。



 UV硬化型のインクジェットプリンタは、ソルベント(有機溶剤)系のインクジェットプリンタと並び、印刷会社の仕事領域を拡大するツールとして注目され始めた。印刷発注者が「ワン・ストップ・サービス」による利便性を求め、印刷会社に印刷物と同時に他の様々なコンテンツ制作を発注し始めたこともインクジェットプリンタが注目される意味において優位に働き始めている。
 1995年前後から印刷業界でも注目されてきた大判インクジェットプリンタは、小ロットのポスターやDDCP出力といった新しい付加価値を生んだ。看板業界やシルクスクリーン業界同様に、印刷業界でも導入が進んでいったのは周知の事実だ。
 インクジェットプリンタに使用されるインクは改良開発が重ねられており、印刷産業向けの機材展にもソルベントインクを使用したタイプのプリンタが出展され始めている。これにより、フィルムや金属、メッシュなどへのプリントが可能となり、その活用範囲が劇的に拡大していった。

LED方式UV硬化IJプリンタ

​ ミマキエンジニアリングの「JFX-1631」は、最新のUV-LED方式を採用した高速・高画質の大型フラットベッドLED方式UV硬化インクジェットプリンタである。
 オフセット印刷にも使われるUV硬化インクは、紫外線を照射することによりインクが瞬時に硬化する。このため、乾燥時間の短縮による生産性の向上をもたらすとともに、VOCの発生もほとんどない。また、UV硬化インクは、主に非吸収性のプラスチック製フィルムを印刷する場合に使われており、電飾広告用フィルムなどの紙以外のメディアに印刷することができることから、高付加価値型のビジネスに向いている印刷方式のひとつになっている。
 JFX-1631も同様に、UV硬化インクと紫外線照射により、金属やアクリル、木材などの紙以外のメディアにプリントすることが可能である。さらにJFX-1631は、紫外線照射装置にLED(発光ダイオード)を採用することにより消費電力を同社従来機の3分の1まで省電力化することを実現した。
 従来のUV硬化インクジェットプリンタでは、UVランプに水銀灯の一種である「メタルハライドランプ」が使用されているが、これは消費電力が大きく、しかも赤外線も発生するため熱による素材への影響が課題であった。さらにランプの寿命自体も短く、ランニングコストが高くなる。これらを解決するのがLEDだ。

図1

 LEDは従来のメタルハライドランプと比べて寿命は約5倍。また熱を発しないため、アクリルやスチレンボードなどの熱の影響を受けやすい素材にもプリントすることが可能だ。しかも、フラットベッドと呼ばれる台の上にメディアを載せて印刷するフラットベッドタイプであるため、厚さ50ミリというオフセット印刷では印刷することができない厚手素材にもプリントすることができる。
 JFX-1631は、8個の新開発ヘッドを搭載することで同社従来機の2倍のプリントスピードを実現した。また、高精度リニアスケール(直線軸の位置を検出し移動誤差を補正する機械部品、図1参照)によりインクの着弾精度を飛躍的に向上させることにより、3ポイントの文字が識別することができるほど緻密なプリントが可能になった。また最大1200×1200dpiの高解像度プリントにより階調豊かな高画質プリントを実現している。
 インクは、耐擦過性に優れた「硬質UVインク」と成型加工や曲げ加工に適した「柔軟UVインク」の2種類が用意されている。また高濃度の白インクにより、透明素材や有色素材への鮮やかなフルカラープリントが可能だ。JFX-1631には16ビットレンダリング機能を搭載したRIPソフトウエアが標準添付されており、より滑らかなグラデーション表現を実現している。

図2
 JFX-1631は、新次元のデジタルワークフロー(図2参照)を提案している。「版レスでプリントすることができる」というインクジェットの特性を最大限に活かして短納期・クイックレスポンスを実現し、必要なときに必要なだけ生産するというオンデマンド生産を強力にサポートしてくれるだろう。