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視点の行方

安定的な成長が予測される国内インバウンド市場

印刷ジャーナル 2017年1月25日

 昨年の訪日客は2,400万人を突破し、4年連続で過去最高を更新している。ビザの戦略的緩和や、LCCなど航空路線の拡充、免税拡充などの施策により個人旅行者が急増し、ネットやSNSで日本各地の観光地情報が多様に発信され、都市部と地方に多くの海外旅行者が訪れている。
 そのような状況の中、矢野経済研究所は2016年1月〜9月、百貨店、ブランド企業、その他小売業などを対象に、国内インバウンド市場について調査し、このほどその調査結果を発表した。なお、この調査におけるインバウンド市場とは、日本国内で訪日外国人客(ビジネス目的も含む)が主に物品を購入した規模をさし、市場規模は商品ごとの市場を調査し、それぞれの市場ごとにインバウンド購入金額を算出、その金額を積算したもの。国土交通省観光庁が発表しているデータとは異なり、矢野経済研究所独自の推計値である。
 矢野経済研究所では、訪日外国人客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などを基に分析し、2020年の訪日外国人客数を3,679万人と予測。とくに中国をはじめとするアジア地域からの訪日客数が順調に拡大するとみている。世界情勢、経済情勢、為替動向などを考慮すると、急激な伸びは治まり、トレンドとしては徐々に穏やかなものになっていくと推測している。
 また、訪日外国人客による国内インバウンド市場(物品購入のみ。宿泊費や交通費は含まない)は、2016年に一旦縮小したものの、2017年以降は1人あたりの購買単価こそ2016年の水準が継続すると予測しているが、訪日客数の増加が大きく、市場規模としては再び拡大傾向に向かうとみられ、2020年には2015年の約1.3倍となる1兆8,764億円になるものと予測している。
 また、国内インバウンド市場は地域性が顕著に表れている。ここ数年の好調なインバウンド需要は、一部の地域が大きな恩恵を受けている一方、大半の地域では、まだそこまでではないのが実状。都道府県別の規模を見ると、東京都が約6077億円と、国内インバウンド市場全体の40.9%を占める結果となった。次いで大阪府が続き、その他、北海道、千葉県、京都府、福岡県、沖縄県といった地域も訪日客数の多さと比例して日本での消費スポットとなっている結果となった。
 国内インバウンド市場の安定的な伸びが見込まれる中、すでに多くのインバウンドビジネスが展開されており、印刷業界としても見過ごすことのできない市場となりそうだ。