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視点の行方

機能性が求められるIJ製品

印刷ジャーナル 2016年7月5日

 IDC Japan(株)は、国内インクジェットプリンターおよびMFP市場に関する2016年第1四半期(1月〜3月)の実績を発した。
 2016年第1四半期のインクジェット製品総出荷台数は、前年同期比5.9%減の82万8,000台。これは、第1四半期として過去最低を記録した2015年第1四半期の出荷台数を、さらに下回る結果となった。また、四半期別の前年同期比成長率は、消費増税前の駆け込み需要が見られた2014年第1四半期を除き、2013年第1四半期以降マイナスが続いてる。インクジェットMFPの比率は、前年同期比0.3ポイント減少し79.7%となった。
 総出荷台数の内訳は、インクジェットプリンター(単機能製品)が前年同期比4.5%減の16万8,000台、インクジェットMFP(インクジェットプリンターとコピーやスキャナを一体化した製品)が前年同期比6.2%減の66万台と、国内経済が緩やかな回復基調にある中で、プリンターとMFP両方の出荷台数が前年同期を下回る結果となった。大手ベンダー各社は、今期もキャッシュバックキャンペーンなどの販売促進策を実施した。さらに2月には、エプソンが大容量インクタンクを搭載したインクジェット製品を国内で初めて発売し、プリンターとMFPの合計で約1万台を出荷している。
 IDC Japanでは、キャッシュバックキャンペーンがインクジェット製品の購入に慎重な消費者の姿勢を崩せなかった一方、大容量インクタンク製品は全体として大きな需要の喚起には至らなかったとはいえ、ビジネスユーザーを中心に一定の支持を得ることができたと推測している。
 ベンダー別出荷台数シェアでは、エプソンとキヤノンが大きなシェアを占めている。さらに、この2社にブラザー工業、日本HPを加えた4社で国内インクジェット製品市場全体の98%以上に達している。前年同期比では、ブラザー工業が3.8ポイント、キヤノンが3.2ポイント、それぞれ出荷台数シェアを伸ばし、一方、エプソンと日本HPはシェアを落としている。
 IDC Japanの菊池敦氏は「キャッシュバックキャンペーンを中心とした大手ベンダーの施策だけでは、ユーザーの買い替え意欲に訴えるのにも限界がある。その中で、今期の大容量インクタンク製品の出荷実績は、価格よりも製品コンセプトがより評価された結果とみている。今後は、多くのベンダーから同様の製品が発売され、市場に一分野が形成されることを期待する」と述べている。