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視点の行方

下請取引価格の実態調査結果を公表

印刷ジャーナル 2016年4月15日

 中小企業庁は、中小企業の原材料・エネルギーコストの価格転嫁や一般的な取引価格の実態を調査した「中小企業向けWeb調査(下請取引価格の実態調査)」の結果を公表した。
 同調査は、2015年12月1日〜11日に実施され、調査対象となる中小企業9,406社のうち3,857社(回答率41.0%)が回答している。
 まず、原材料・エネルギーコスト転嫁の状況への問いについて、原材料・エネルギーコストの価格転嫁が必要な状況にあった企業は36.6%で、繊維産業および印刷業では、50%超の企業が「必要な状況にあった」と回答している。価格転嫁が必要な状況にあった企業のうち、価格転嫁ができなかった企業は30.2%で、すべての業種においても20%を超える企業が「価格転嫁できなかった」と回答している。
 次に取引単価の決定に関する交渉活動についての問いでは、建設業、紙・紙加工品産業、自動車産業の10%超の企業が「発注側からの指値提示があった」と回答。鉄鋼産業、自動車産業、産業機械・航空機等産業では、1年前(26年11月)と比較し、「単価が引き下げられた」が25%以上もあった。取引単価決定の要因についての問いに対しては、取引単価引き上げの主な要因は「発注側の理解」が61.7%、一方、取引単価引き下げの主な要因としては「発注側からの定期的な原価低減要請」が43.4%を占めている。
 価格単価についての納得度については、全体の38.1%の企業が取引単価に納得していると回答。放送コンテンツ産業、鉄鋼産業、化学産業では、45.0%以上が「納得している」と回答しているが、トラック運送業、印刷業、広告産業では、「納得していない」と回答する企業が35.0%を超えている。納得度の理由では、「同業他社の利益率と比較し、納得している」(26.2%)、「経費を賄えるため納得している」(24.0%)が上位を占め、逆に納得していない理由では「経費が賄えない」が41.3%で、とくにトラック運送業、印刷業、自動車産業では、「将来に向けた投資資源が確保できる水準ではないため」が20%を超える結果となった。
 取引単価の交渉力を強めるための課題については、「技術力の向上支援が必要」(47.7%)、「新たな販路・取引先開拓の支援が必要」(47.5%)、「下請中小企業振興法に基づく振興基準の改正(適正価格についての考え方の明確化等)」(39.5%)との回答が寄せられた。