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視点の行方

2014年度 出版業の倒産は41件

印刷ジャーナル 2015年4月25日

 東京商工リサーチは、2014年度 出版業の倒産状況を発表した。これによると、全体の企業倒産が低水準に推移するなか、出版業の年度倒産は3年ぶりに前年度を上回った。専門書などを扱う老舗企業の倒産が目立ち、メディアの多様化に伴う業界の厳しい現状を映し出した。
 全体の倒産がバブル景気時並みの低水準に抑制されるなか、2014年度の出版業倒産は41件(前年度比41.3%増、前年度29件)にのぼり、3年ぶりに前年度を上回った。
 また、負債総額は113億300万円(同272.4%増、同30億3,500万円)で、平均負債額が2億7,500万円(前年度比164.4%増)で、前年度より2.6倍に急増した。負債10億円以上の大型倒産が3件(前年度ゼロ)発生して負債が膨らんだ。
 主な倒産事例では、女性誌「小悪魔ageha」を発刊していたインフォレスト(株)(負債30億円)。明治38年創業で老舗美術誌「美術手帖」を出版していた(株)美術出版社(同19億5,600万円)。「キモカワキャラ」でヒットした児童絵本「こびとづかん」を出版していた長崎出版(株)(同12億1,000万円)。仏教・美術書籍出版の(株)同朋舎メディアプラン(同6億5,000万円)。「解けるナンプレ」などのパズル関連書籍を出版していた(株)青空出版(同3億5,400万円)など。
 原因別では、販売不振が27件(前年度比28.5%増、前年度21件)と最も多く、全体の6割(構成比65.8%)を占めた。このほか事業上の失敗が4件(前年度1件)、他社倒産の余波が3件の順。
 形態別では、破産36件(前年度比71名・4%増、前年度21件)を筆頭にして、取引停止処分4件、民事再生法が1件だった。
 2014年の出版物推定販売金額(出版科学研究所調べ)は、前年比4.5%減の1兆6,065億円で、10年連続で前年を下回った。調査開始以来、最大の落ち込みで、消費税率の引き上げが減少に拍車をかけた。ネットの普及やメディアの多様化に伴う紙媒体の低迷とともに出版業界は厳しい状況が続く。紙関連産業にも影響があるため、今後の推移が注目される。