PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 停滞する公立図書館の電子書籍化
視点の行方

停滞する公立図書館の電子書籍化

印刷ジャーナル 2014年11月5日

 (社)電子出版制作・流通協議会(電流協、大湊満会長)の「公共ビジネス部会・電子図書館研究会」では(社)日本図書館協会及び国立国会図書館の協力のもと、電子書籍に関する公立図書館での検討状況について全国の1,352館の公立図書館に対してアンケートを実施。このほどその調査結果を発表した。
 調査項目は「図書館の新設、図書館システムの更新等について」「図書館におけるデジタルアーカイブについて」「国立国会図書館が平成26年1月から開始したデジタル化資料送信サービスに対する対応について」「電子書籍サービスの要望等について」「電子書籍サービスへの取組状況について」等の計9項目。
 公立図書館の電子書籍サービスへの取り組み状況のアンケートでは、743館が回答。具体的には、都道府県立図書館からの回答対応が最も大きく全体の91%でデジタルアーカイブの数も多い状況であった。次に回答率が高かったのは各県の政令市で75%だが、東京都内特別区及び全国市町村は50%を少し超える程度の数であった。その中ですでに電子書籍サービスの提供を実施している図書館は100館(約14%)、試験的に実施中は25館(約3%)、具体的に実施する予定がある館が46館(約6%)という結果となった。
 また各図書館において独自にデジタル化した資料点数は、10,000点を超えているのが14館、1,000点から10,000点未満が32館、1,000点未満が78館で、デジタルアーカイブ化への取り組み目的は、まずは何らかの独自資料や書物、あるいは寄贈された貴重書等を保存・閲覧できるようにすることが目的と推測される。
 さらに今回は、図書館の電子書籍サービスへの取り組み状況について問い合わせを実施。その結果、38館が実施しているとの回答があり、その内容についてはアンケート実施当初に想定していた「館外からも利用できる電子書籍貸出サービス」だけでなく、その図書館が独自に構築した「館内閲覧限定の電子書籍貸出サービス」や「インターネット上で誰でも自由に閲覧できる電子書籍(パブリックドメインコンテンツ)の提供サービス」も含まれている。
 また「電子書籍サービスの導入を検討している図書館」においては「導入する予定がある、もしくは検討中」と回答したのが162館で約22%、逆に電子書籍サービスを実施する予定がないが73%と大半を占める結果となった。