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視点の行方

2013印刷通販市場は11.1%増の544億円

印刷ジャーナル 2013年11月15日

 矢野経済研究所は、国内の印刷通販市場に関する調査結果を発表した。
 それによると、2012年度の印刷通販市場規模は489億7,200万円(前年度比19.7%増、事業者売上高ベース)で、また2013年度の同市場規模を543億9,000万円(同11.1%増)と見込んでいる。
 印刷通販市場が本格的に形成されたのは2000年代に入ってから。営業を経由しない発注方式やギャンギングによる低価格戦略がユーザーニーズを捉え、同時に明確な価格設定も従来の営業経由の発注方式に比べてユーザーに安心感やスピード感を与える結果となり、市場は急速に拡大、2007年度には100億円を超える規模になった。その後、2008年のリーマンショックによる景気減退が印刷通販の低価格戦略をさらに後押しし、2009年度に印刷通販市場はブレイクポイントを迎えたとしている。
 しかし、2007年度以降市場では先行企業の成功に促された多数の企業が印刷通販サイトを開設したことにより、参入事業者数が急激に増加。これにより、とくに2009年度以降、市場では価格競争が激化しており、販売価格は下がり続け、そのためここ数年は、市場規模は拡大し続けているものの、その成長率は「鈍化している」としている。
 しかし、販売価格の下落は、相次ぐ印刷用紙価格の値上げの影響もあり、2013年に入って下げ止まりが見られる。淘汰が一段落し、主要プレーヤー(事業者)がある程度絞られてきた中で、「今後価格競争は終焉を迎える可能性がある」としている。
 その一方で、新規顧客の拡大スピードがここにきて鈍化。これは、リピーターの増加と先行投資を繰り返し行うことで市場拡大を牽引してきた売上上位の事業者における自己資本比率の水準低下が主な要因としている。
 生産設備がフル稼働している現状において、一部の企業を除く売上上位の事業者では新規顧客の獲得方法として「口コミ」をメインチャネルとしており、メディアへの露出を以前よりも減らすことで受注量をセーブ。一方でこれは、広告宣伝における費用対効果が以前に比べて落ちてきている状況下で、無駄な投資を控え、効率的な広告宣伝方法を志向した結果とも言える。今後こうした事業者では、高コストとなる生産設備への投資をなるべく控え、内部留保の拡充に努めることで経営の安定化を図っていくと考えられるため、これが市場の拡大スピードにも影響してくると見ている。
 しかし、調査結果では、「潜在需要自体は未だに大きく、最大の武器である『低価格』の威力を鑑みると、今後も小ロット印刷需要の開拓は進むものと考える」と結論づけており、拡大スピードは落ちるものの、今後も成長は続き、2012年度から2018年度までの印刷通販市場規模の年平均成長率(CAGR)を11.1%と予測している。
▽資料名...「2013年版 印刷通販市場の展望と戦略」
▽体裁...A4判 205頁
▽定価...10万5,000円