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視点の行方

大手出版社10社中7社が減収

印刷ジャーナル 2013年11月5日

 帝国データバンクがこのほど実施した「出版業界2012年度決算調査」によると、電子書籍の台頭や雑誌離れの影響で市場縮小に歯止めがかからず、大手出版社10社中7社が減収となるなど、国内出版市場が依然として縮小している現状が明らかになった。
 国内出版市場は書籍・雑誌ともに厳しい環境が続いているが、特に、雑誌を取り巻く環境悪化に歯止めがかかっておらず、販売部数、広告収入ともに大きく低迷している。最近では「漫画サンデー」や「日経WinPC」など、休刊に追い込まれる雑誌が後を絶たない。
 今回の調査は、2010〜2012年度の業績が2013年9月時点で判明している出版社、出版取次業者、書店経営業者の計1167社を帝国データバンクの自社データベース・企業概要ファイル「COSMOS2」(144万社収録)から抽出して分析した結果となっている。なお、同様の調査は2010年11月1日に続いての2回目となる。
 出版社の2012年度売上高トップは、(株)集英社の約1,260億9,400万円。売上高の上位10社のうち7社が「減収」となっており、販売減に歯止めかからない。一方、損益面を見ると2012年度の「黒字企業」は518社(79.2%)となっており、不動産売却や赤字部門縮小などにより、収益を確保する出版社が目立っている。
 また、取次業者の2012年度売上高の推移を見ると、売上高上位8社中6社が「減収」。このうち4社が「2期連続の減収」となった。一方、損益面では2012年度の「黒字企業」は178社(84%)と全体の8割超。これらの黒字企業は在庫管理の徹底や物流の効率化が進んでいる。
 書店経営の2012年度売上高トップは、(株)紀伊國屋書店の約1,081億9,000万円。売上高31位以下では「2期連続減収」の構成比が46.5%にのぼるなど、小規模業者ほど売上減が顕著となっている。また、損益面でも小規模業者は大手・中堅クラスに比べて厳しい状況となっている。