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視点の行方

「胆管がん問題」労災請求は45件

印刷ジャーナル 2012年11月25日

 厚生労働省は、印刷業に対する労働衛生対策の一環として、通信調査を実施していたが、このほど最終的な結果を公表した。同調査は、全国の18,131の印刷事業場に対し書面にて実施したもので「有機溶剤等の管理状況」では、有機則等の対象物質を使用していると回答した事業所は全国47労働局管区内の7,105事業場であった。
 具体的な管理状況については、「局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の設置」を「している」と回答した事業場は37.3%、「していない」は35.9%となった。「全体換気装置を設置」に対しては「している」が60.1%、「していない」が20.6%と約6割の印刷事業場が全体換気装置を設置していると回答している。「特殊健康診断の6ヵ月以内ごとの実施」に関しては、「している」の18.3%に対し、「していない」との回答が73%と大きく上回る結果となった。「有機溶剤作業主任者の選任」については「している」が33.8%、「していない」が58.3%。「有機溶剤等について、作業環境測定」では「している」が13.1%、「していない」が56.9%と、いずれも6割近い事業場が未対応であると回答している。また「保護手袋の使用」については、「している」が80.6%、「しいない」が5.9%と、多くの事業場で保護手袋着用による作業が行われていることが確認された。
 次に厚生労働省及び産業保険推進センターの相談窓口に寄せられた胆管がんに関する各種相談件数については、相談窓口開設直後の7月12日〜8月1日までに538件と多くの相談が寄せられたが、以降10月10日までは209件と減少傾向にあることが明らかとなった。
 10月9日現在の印刷業に従事し胆管がんを発症したとして労災請求された事案は45件(うち遺族請求29件)となっている。なお本年9月に公表された同調査の中間速報では、事業場から胆管がん等の情報があったもの(既に労災請求されている事案は除く)は、22事業場22人で、この中には労働者でない経営者4人が含まれている。
 また厚生労働省が本年9月、全国の各労働局で実施した有機則の遵守についての集団説明会では、19回の開催に1069事業場が出席。同省では、今後も各労働局において開催することで、同調査の未回答の事業場に対し有機則等の遵守徹底を図っていくとともに、同説明会に出席していない事業場に対し、個別指導等を行っていく方針とのこと。