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視点の行方

ARによるビジネスチャンスに期待

印刷ジャーナル 2012年6月15日

 昨今、印刷業界で「AR」という言葉を耳にすることが多くなってきた。これは、Augmented Realityの略で、日本語に訳すと「拡張現実」。ディスプレイに映し出した画像にバーチャル情報を重ねて表示することでより便利な情報を提供する技術で、精細なディスプレイとカメラを搭載したスマートフォンの普及により、現在はAR技術を利用した多数のアプリが開発されている。
 (株)電通は、出版文化のさらなる発展を目的に、書店の活性化につなげる新しいARアプリサービス「ミル+」(以下、ミルタス)を開発した。同サービスを書籍プロモーションに活用するため、このたび出版社4社の協力を得て6月29日から本格稼働するという。ミルタスは、スマートフォンのカメラ機能を利用したARアプリで、書籍の表紙を撮影すると自動的に指定されたウェブサイトに接続し、当該書籍の出版社が提供する画像や音声をスマートフォンの画面上で再生することができる。これまでも特定の雑誌や書籍にARが使われることはあったが、誰でも広く参加できるサービスとして提供されるのはこれが初めての試みとなる。電通が行った先行実験の結果、店頭への集客策や書籍の販促活動の一助となるほか、SNSとの連動で出版社と読者に新しい関係性が生まれるといった複数のプラス効果がみられ、今般先行実験に携わった出版社4社とともに「ミル+推進協議会」を設立した。より多くの出版社や書店に参加を呼び掛けながらミルタスの普及促進を図り、書店における店頭販売の拡大や、出版文化の活性化に貢献していく方針であるという。
 6月14日から大阪で開催中の「JP2012情報・印刷産業展」でも、JPオープンセミナーとして「とことんAR塾」が開催されている。印刷業界の新たなビジネスチャンスの参考となる多数のセミナーが行われるため、ARに関心のある企業は参加してみるべきだろう。また、GPS型ARによる「空間認証」で会場案内を行う新たな取り組みも行っているので、iPhoneのユーザーはAR技術を体験する意味でも試してみる価値はありそうだ。