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視点の行方

IT支出は回復傾向に

印刷ジャーナル 2012年5月15日

 IT専門調査会社IDC Japan(株)は、2012年2月中旬に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査の結果を発表した。これによると2012年度(会計年)のIT支出予算では、前年度から「増加する」(前年度比103%以上)と回答した企業の割合は31.1%と「減少する」(前年度比97%未満)と回答した企業の割合25.2%を上回り、これまでIT支出が抑制傾向だった中堅中小企業においても徐々に回復傾向にあることが判明した。
 東日本大震災の影響、急激な円高、欧米経済の混乱などによって国内経済は不透明な状況が継続しているが、2012年度以降、復興需要などにより国内経済は徐々に改善傾向にあることから、国内中堅中小企業においても2012年度のIT支出は、回復傾向に向かうことが見込まれるが、大企業(従業員規模=1,000人以上)と比較してIT支出は緩やかな回復にとどまることが予測される。
 特に小規模企業(従業員規模=1〜99人)では、IT支出が抑制傾向の企業が依然多い他、金融業、製造業の中堅中小企業においてもIT支出の回復が遅れており、国内中堅中小企業IT市場における本格的な回復は2013年度以降になると同調査では見込んでいる。
 主要ソリューションの利用/検討動向では、「スマートフォン」、「メディアタブレット」を導入している企業の割合が、前回調査(2011年3月実施)と比較して高くなっており、また2012年度以降に導入を検討する企業の割合では、「スマートフォン」、「メディアタブレット」が今回の調査対象のソリューションの中でも特に高くなっていることから、中堅中小企業において、さらに利用拡大が見込まれている。
 なおIT支出重点項目として比較的多くの企業で「モバイル運用管理」を挙げていることから、中堅中小企業向けのモバイル運用管理ソリューションの需要も見込まれている。
 中堅中小企業では、海外展開する企業は一部にとどまっているが、製造業に加えて、流通業、情報サービス業などを中心に海外展開を行う企業が徐々に拡大。しかし、現在海外拠点システムを委託するベンダーの対応に不満を持ち、別のベンダーへの移行を検討する企業も増加傾向にある。IDC IDC Japan社では、「ITベンダーは、中堅中小企業のニーズを十分考慮した海外拠点システムのサポート体制の整備が求められている」と分析している。