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視点の行方

節電対策で出版界が協力

印刷ジャーナル 2011年12月15日

 印刷工業会(猿渡智会長)が出版業界に直接訪問し、協力を要請した今夏の電力使用制限令対策の実施結果が明らかにされた。
 同工業会では今年4月、(社)日本雑誌協会に対し夏期電力使用制限令対策に関して「ザラ紙、ラフ紙(コミック)用特色インキの絞り込み」、「週刊誌以外の原則48時間の繰り上げ進行」、「台割(仕様)、部数、配本通知等の早期化」の3項目への協力を依頼。雑誌協会側もこの要請を受け、会員企業に対し、積極的な対応を呼びかけた。
 ザラ紙、ラフ紙(コミック)用特色インキの絞り込みについては、合計333の編集部を訪問。結果、雑誌協会加盟161、非加盟111の計272編集部が特色15色の絞り込みに協力した。9月に実施した調査では、使用制限令終了後も雑誌協会加盟編集部については、ほぼ100%、未加盟でも90%以上が特色15色の絞り込みを継続している。
 週刊誌以外の原則48時間の繰り上げ進行については、合計901の編集部を訪問。48時間の繰り上げを含め、できる範囲内の協力を実施した編集部は、雑誌協会加盟303、未加盟403の計706編集部。協力状況は、雑誌協会加盟79%、未加盟78%と多くの協力を得られる結果となった。使用制限令終了後の調査では、加盟・未加盟含む75%が継続中とのこと。なお25%の編集部では、夏以前のスケジュールに戻している。
 台割(仕様)、部数、配本通知等の早期化については、合計511の編集部を訪問。雑誌協会加盟245、未加盟189の計434の編集部が協力を受諾。しかし雑誌協会加盟90%の早期通知実施に対し、未加盟80%と他の協力依頼に比べ10%の差がでる結果となった。
 同工業会では、出版業界の協力により今夏の節電目標を達成するとともに納期遅延など事態を防ぐことができた。さらに当初納品が集中し、印刷・製本などの対応が懸念されていた9月のシルバーウィークについても出版業界および日本出版取次協会など多くの機関の協力により23日発売が実現している。
 同工業会では、今回の協力への感謝を示す一方、使用電力制限令対策の実施により印刷・出版業界の双方で生産・業務の効率化を図ることができたことなどから、今後も長期的な視点で継続検討と重ねていくことや「定期誌以外の発売日の平準化」、「定期誌の発売日の分散化」についても協議の継続を要請している。