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視点の行方

2010年度の電子書籍市場規模は650億円

印刷ジャーナル 2011年7月25日

 インプレスグループで法人向け情報コミュニケーション技術関連メディア事業を手がける(株)インプレスR&D(本社/東京都千代田区、井芹昌信社長)のシンクタンク部門であるインターネットメディア総合研究所は、電子書籍の動向を調査し、電子書籍に関する市場規模の推計結果を発表した。
 それによると、2010年度の電子書籍市場規模は650億円と推計され、2009年度の574億円と比較し、13.2%増加。市場を牽引しているのは依然としてコミックを中心としたケータイ向け電子書籍市場であり、2010年度は572億円と、電子書籍市場の88%を占めている。
 ケータイ向け市場の拡大の要因は、昨年から引き続きタイトル数の増加によってコンテンツが充実したほか、通信事業者の直営販売ストアがオープンしたことや、新たなプラットフォーム向け電子書籍が話題となり「電子書籍」の認知が拡大したこと等が考えられる。なお、PC向け電子書籍市場は、前年の55億円からほぼ横ばいの53億円。
 一方、2009年度から調査対象とした新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は、約24億円と推計され、スマートフォン市場の急激な拡大や、タブレット端末や電子ブックリーダーの発売等を背景に昨年度の6億円の4倍へと成長している。
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 2011年度以降は、ケータイ向け電子書籍市場の拡大は頭打ちになるものの、新たなプラットフォーム向け電子書籍市場の急速な立ち上がりにより、2015年度には2010年度の約3.1倍の2,000億円程度になると予測される。
 PC向け電子書籍市場は、今後、PCに限らず、スマートフォンや電子ブックリーダーなど、マルチデバイスに対応することが予想され、その結果、現在の狭義のPC向け電子書籍市場は減少し、今後は、新たなプラットフォームへ吸収されていくものと見込まれる。
 ケータイ向け電子書籍市場は、スマートフォンの急速な拡大により、ケータイ電話からスマートフォンへ利用者が移行することにより、公式コンテンツ利用者が減少することが予想される。
 新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は、2010年度後半の国内メーカーや通信事業者などの参入に続き、2011年度末頃までには米国アマゾン社のKindle等、海外事業者の日本への参入が予想されている。海外事業者の参入をきっかけとして、今後、2〜3年の間にコンテンツの充実や環境整備が整い、2013年度以降に本格的な拡大期に入ることが予想される。また、2013年度には先行するケータイ向け電子書籍市場を上回ると見られる。
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 2010年度の電子雑誌市場規模は6億円。現在、電子雑誌の提供は一部の出版社や事業者に限定されているが、iPad等のタブレット端末やスマートフォンの拡大、配信雑誌数の増加、あるいはマイクロコンテンツ化等の新たなビジネスの展開により市場の拡大が見込まれ、2015年度には200億円超となると予測される。
 その結果、電子書籍市場規模と電子雑誌市場規模を合わせた電子出版市場規模は2015年度に2,200億円超になると予測される。