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視点の行方

震災と原発事故の影響で日本のブランド力低下

印刷ジャーナル 2011年7月15日

 ブランドコンサルティング会社のインターブランドジャパンは、「海外での日本のブランド力に対する震災・原発事故の影響」に関する調査結果を発表した。
 同調査は、「自動車」、「コンシューマーエレクトロ二クス」、「化粧品・トイレタリー」、「食品・飲料」、「アパレル」の5つの業界について、アメリカ、イギリス、中国の3ヵ国の一般生活者を対象に、震災前後の認識の変化を調査したもの。(1)信頼できる(Reliable)、(2)安全(Safe)、(3)高品質(High Quality)、(4)スタイリッシュ(Stylish)、(5)親しみやすい(Approachable)の5項目のブランドイメージ(以下、イメージ評価項目)を指標に、震災前後の日本のブランド力の変化を検証している。
 調査の結果、3ヵ国におけるイメージ評価項目の全体平均は、震災前の50%から震災後38%となり、震災と原発事故の影響で海外での「日本ブランド」のブランド力は低下している。
 とくに中国で「日本製品が放射性物質に汚染されている」という認識が強く、その結果ブランド力が22%と大幅ダウンしている。
 業種別では食品(-20%)、化粧品・トイレタリー(-13%)への影響が大きいようだ。
 全体平均からイメージ評価項目の変化をみると、「安全」52%→35%(-17%)、「信頼できる」53%→39%(-14%)、「高品質」53%→40%(-13%)をはじめ、すべての項目で大幅なイメージの毀損がみられ、これまで「日本ブランド」を支えてきたブランドイメージに大きな影響があったことが確認され、この点においても中国での影響が顕著だった。
 今回の調査結果から解るように、「日本ブランド」に対する震災の影響は、国、業種、イメージによって大きく異なる。例えば、イギリスの生活者は震災後の日本人の行動や態度を尊敬する人の比率が最も高いのに対し、中国の生活者は「当面日本に旅行したくない」「当面日本製品を買いたくない」といった回答比率が高くなっている。調査結果レポートでは、「ブランド運営者は、危機感に煽られ、いたずらにアクションに着手するのではなく、まず自ブランドの展開マーケットの生活者が、どう日本ブランド・自ブランドについて感じているかをしっかりと把握することが肝要だ」と提言している。