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視点の行方

オーナー企業の7割が後継者未定

印刷ジャーナル 2011年4月15日

 オーナー企業は意志決定が早く、長期的な視点で事業経営できるといったメリットがある反面、オーナー経営者の独断専行による誤った経営判断を修正する外部からのガバナンスが働きにくいなどのデメリットも指摘されている。こうした課題に加え、より円滑に事業承継を行うこともオーナー企業が永続的に事業を継続していく上で重要となってくる。
 こうした状況を踏まえ、帝国データバンクでは、全国のオーナー企業について、業種別、規模別、後継者の有無、キャッシュリッチなどの視点から分析。その結果、オーナー企業の7割が後継者未定であることが分かった。なお、今回の調査では、同社の企業データベースのうち、代表者名と筆頭株主名が同一の企業を抽出し、「オーナー企業」と定義。また、そのうち潤沢なキャッシュを保有しているとみられる企業を「(現金・預金+有価証券-有利子負債)/総資産×100が20%以上」の条件で抽出(決算数値判明企業のみ)し、「キャッシュリッチ・オーナー企業」と定義して分析した。
 オーナー企業は全国で40万9,192社あり、今回の調査の「後継者の有無」をみると、全体の68.2%にあたる27万9,160社が、現在、後継者未定であることが分かった。
 また、後継者の有無を年商規模別にみると、年商区分が低いほど後継者の未決定率は高くなっており、「年商1億円未満」のオーナー企業では4社のうち3社が後継者未定となっている。このことから、規模の小さなオーナー企業では、事業の承継が今後の大きな課題となる可能性がある。
 技術力や競争力があっても、後継者がいないために廃業となる零細企業も多く、M&Aの有力な対象となりうる企業が多いとみることもできる。
 オーナー企業の代表者を属性別にみると、現代表=創業者が24万1,999社(59.1%)となり、オーナー企業の約6割が創業者であることが分かった。代表が同族継承でオーナー社長となった企業は11万5,246社(28.2%)で、その他(外部招聘、内部昇格など)は5万1,947社(12.7%)にとどまり、オーナー社長の約9割は創業者か同族継承となっている。
 また、代表者属性から後継者の有無をみると、同族継承のオーナー企業では後継者未定の企業が6万8,577社(後継者未決定率59.5%)となり、同族継承の二代目や三代目を迎えた企業といえども、約6割は事業承継が万全でないことが分かった。