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視点の行方

デジタル雑誌の権利処理ガイドライン策定

印刷ジャーナル 2010年12月15日

 (社)日本雑誌協会はこのほど、日本文藝家協会、日本写真著作権協会と共同で策定した雑誌デジタル配信「権利処理ガイドライン」をホームページに公開した。
 このガイドラインは、日本雑誌協会が日本文藝家協会、日本写真著作権協会に提案し、両協会の賛同を得て、共同提案するもので、3団体はそれぞれのホームページにおいて、同ガイドラインを公知している。
 日本雑誌協会が提案したこのガイドラインは、雑誌が今後、印刷物としての販売とともに、デジタル配信されていく状況が一般化することが予想されることにかんがみ、雑誌と雑誌づくりに参加するすべての関係者の権利処理を、可能な限り簡易迅速に行う必要があるとの認識を共有するところから始まったものである。
 雑誌協会加盟各社は、雑誌ごとに同ガイドラインに準拠した取り決めを、作家、写真家と結ぶことが望ましいと考えられる。
 このため、同ガイドラインが対象とするのは、外部に著作権が存在する場合であり、職務著作とされる場合や、厳密な意味での買取が行われる場合は対象外となる。
 また、同ガイドライン自体に法的拘束力はない。
 雑誌出版社が仕事を依頼する際に、同ガイドラインに準拠するという提案を行い、それに対して作家、写真家を含むすべての著作者が承諾して、初めて効力が発生する。
 同ガイドラインにすべての関係者が従わなければならないものではないが、多くの出版社、作家、写真家を含む、すべての著作者が同ガイドラインに準拠した権利処理に合意することができれば、出版社は、安定した権利関係のもとで、新しいデジタルネット環境での「雑誌の場」の創出に専念することが期待できる。
 なお、同ガイドラインは雑誌の電子的配信のビジネスモデルが未成熟な段階のものであることを前提としており、市場動向の推移などを見ながら見直していく方針。