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視点の行方

MUDをビジネスチャンスに

印刷ジャーナル 2010年10月15日

 情報伝達のユニバーサルデザインとして2002年に色のバリアフリーの観点から出発した「メディア・ユニバーサルデザイン(MUD)」。日本人の3分の1が情報受信に何らかのハンディキャップを背負っていると言われる中、MUDは当初、主に視覚障害者を対象にした取り組みとして認識されていた。しかし昨今では、障害者をはじめ子供や老人、外国人、一般までを含めて、「情報を全ての人に平等に伝達する」ための手段として注目を集めている。
 ある調査では、印刷メディアへの不満事項として、「文字が小さい」「行間が狭い」「背景と文字が同系色で読みにくい」「色が多すぎて、どれが重要事項なのか分からない」など、一般からも印刷メディアのフォントやデザインに対する様々な不満があることが明らかになっている。
 NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会(東京都墨田区、以下MUD協会)は、これら一般からのニーズにも対応するため「読みやすく、正確に情報を伝える」ための様々な事業活動を展開している。
 同協会理事で大印工組MUD推進プロジェクト委員会の山本順也委員長は、過日に大阪で開催されたセミナーにおいて、「多くの人に伝わり、分かる情報伝達物を。情報を全ての人に正確に伝えられないことは、顧客を取り逃す原因にもなりかねない」と、MUDの重要性を訴えた。昨今はDM戦略にも様々なものがあるが、DMを送付する以前に、その印刷物の情報が本当に顧客に伝わるものなのかを再確認する必要がありそうだ。
 一方、MUDは新たなビジネスチャンスとしても期待できる。凸版印刷(株)が先頃、より多くの人が見やすく、かつ分かりやすく使うことができるユニバーサルデザイン(UD)に配慮した通帳を開発しているが、様々な業界で「読みやすさ」「わかりやすさ」「書きやすさ」などUD視点の製品の導入が求められる中、MUDが今後、果たす役割は大きい。
 MUD支援ツールも様々なものが開発されており、MUD協会においても第三者認証制度「MUD商品認証制度」がスタートするなど、MUDに取り組む環境はすでに整っている。