PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 「東京都環境白書2010」刊行
視点の行方

「東京都環境白書2010」刊行

印刷ジャーナル 2010年8月6日

 印刷物製作のトータルプロセスの中でCO2発生量の高いのは紙。従って、ヤレ・損紙の削減は印刷業界が「低炭素社会実現」に向けて取り組むべき重要な課題のひとつ。
 一方、自動車起源のCO2対策も印刷業界にとって見逃せない課題であると言える。東京都がこのほど刊行した「東京都環境白書2010」によると、平成19年度の東京都の温室効果ガス排出量は二酸化炭素換算で約5578万トン。このうち2割は自動車からの排出となっている。温室効果ガスの大幅な排出削減には、事業所や家庭で使われているこれらの自動車のCO2削減対策が重要となることは言うまでもない。
 同書では、特集として「都市交通の低炭素化を目指して」をテーマに、都市活動に必要不可欠な人・モノの移動を担う都市交通に焦点。低炭素社会を強力に推進するため、運輸部門における主要な温室効果ガスの排出源である自動車を中心にその現状を分析するとともに、海外都市における自動車起源のCO2対策の取組事例を紹介している。
 「運輸部門CO2排出量の現状と取組の方向性」の章では、自動車からの温室効果ガス排出の現状と課題、削減に向けた取組の方向性をグラフや表を用いて分かりやすく解説。
 「都市交通の低炭素化に向けた海外の取組」の章では、低炭素化に向け、車そのものの環境性能の向上、車の流れの円滑化及び環境負荷の少ない移動手段への転換の観点から、東京の状況を考察するとともに、EUや米国、ロンドン、パリ等の海外で展開される多様な施策を紹介。印刷物の物流業務を伴う印刷業界においても、自動車起源のCO2対策を見直す上で参考となる内容となっている。
 低酸素社会実現へ向け、印刷業界も実行の時を迎えている。輸送コスト削減や納期の問題だけでなく、CO2排出量を抑制するためにも、印刷業界はパートナーシップのさらなる構築を行う必要があるだろう。
 同書ではこのほか、本編では「東京の環境の現状と対策」として都民や事業者が東京の環境の現状と対策を理解するための事項をまとめている。
 大気、水、地球環境など、分野ごとに現状と対策を写真やグラフを用いて解説。「東京都環境基本計画」に沿った章立てのため、都の施策を体系的に知ることができるほか、主な取り組みはコラムによりクローズアップして紹介。環境局がこの1年間に取り組んできた対策や、重要施策を解説している。