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視点の行方

EPUB日本語仕様案を策定

印刷ジャーナル 2010年4月25日

 日本電子出版協会(=JEPA、関戸雅男会長)は、電子書籍メーカーや電子書籍向け組版ソフト開発会社などが採用し、電子書籍データ・フォーマットの世界標準となりつつあるEPUB(イーパブ)について、日本語要求仕様案を策定し、一般公開した。
 同協会は、1986年に出版社、書店、印刷会社、コンピュータ会社、ソフトウェア会社などを中心に、電子出版の普及啓蒙を目的として設立。これまでCD-ROM仕様策定、Unicodeフォントの普及活動、書籍XML構造の策定、辞書データ形式、読書端末の普及促進などの活動を推進している。
 イーパブとは、米国の標準化団体IDPFが策定した、書籍の標準フォーマットのこと。米国の巨大IT企業では、欧米と中国のビジネスを想定して仕様策定を行っているが、中国では1917年、銭玄同の横書き運動により、新聞、雑誌、書籍がすべて横書きとなっているので、いまだ縦書きが実装されていない。
 また、日本にはXMDF、BBeB、T-Timeなどの企業が推進する縦書き、ルビ対応のフォーマットが存在するが、仕様が非公開または企業依存であるため、世界標準とはなりえない。
 このままでは世界の潮流に日本だけが取り残されることになることから、IDPFやOpen EBook Forum、JEPAなどが日本語仕様の策定に乗り出している。
 印刷用の日本語組版規則にはJIS X 4051があり、さらにW3Cが「日本語組版処理の要件」をまとめている。しかし、印刷用の組版規則を電子書籍の画面組版にまで適用するのは過剰であり、シンプルな仕様とする必要がある。
 JEPAは昨年11月に協会内にイーパブ研究会を組織し、IDPFに加盟。イーパブ仕様に日本語画面組版を追加するため、IDPFおよびAdobe、SONY、Google、Apple、Amazon、Microsoftなどへ働きかけるとともに、欧米の策定チームと仕様の調整を行ってきた。
 要求仕様案には、縦書き、ルビ、禁則処理などの案が含まれており、テキスト系の書籍については、一定の日本語組版を実現させている。
 JEPAは、この案をもとに広く日本国内から意見を聴くとともに、漢字圏である、中国、韓国とも連携を進め、漢字処理の標準化をIDPFに提言し、仕様の国際標準化を目指している。