PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 動き出した業界内のUD対応
視点の行方

動き出した業界内のUD対応

印刷ジャーナル 2009年12月15日

 業界内においてユニバーサルデザインに関する動きが加速しつつある。
 「環境」と並んで社会の2大潮流として欠かせない視点である「ユニバーサルデザイン」。これは老若男女といった差異や個人のそれぞれの感じ方の如何を問わず、誰もが安心して利用することのできるデザインのことである。
 全日本印刷工業組合連合会ではこの思想に基づき、文字と色を専門に取り扱う業界として「メディアユニバーサルデザイン(MUD)」への取り組みを推進してきたが、ここにきて、色と並んで重要な要素となるフォントの分野でも、いち早く普及に努めてきたイワタに加え、印刷・出版での利用が6割以上とされるモリサワが「モリサワパスポート」によるUDフォントの提供を開始した他、大日本スクリーン製造も、ユニバーサルデザイン対応フォント「ヒラギノUniversalシリーズ」をリリースするなど、その環境は整いつつある。
 そんな中、凸版印刷(株)(足立直樹社長)では、会社案内やCSR報告書など企業の広報ツールをユニバーサルデザインの視点から、「正しく」「わかりやすく」「魅力的に」伝えるように改善するための支援サービス「トッパンE-UD」を開始した。
 2001年に「トッパン ユニバーサルデザイン6原則」を策定するなど、早くから普及に取り組んできた同社は、これらの実績、ノウハウをもとに広報ツールの特性に合わせた独自のUDガイドラインとして、5分野50項目におよぶルールを体系化。今回、このガイドラインに基づいて各企業の要望に応じて広報ツールの評価、コンサルティングから、企画・制作、配布後の効果測定までトータルで支援し、品質向上を図る新サービス「トッパン E-UD」として提供を開始する。
 同サービスの提供にあたっては、広報ツール制作のノウハウと、UDに関する知識をもつエキスパートを集めた専門部署を新設。エキスパートが、それぞれの顧客企業のニーズに応じて、デザイン性と視認性を両立させたオーダーメイドの広報ツール制作を提供する。
 さらに広報ツール完成後は、UDの視点で実際に行なった改善点、チェックポイントをまとめた保証書「UD品質保証書」を業界で初めて発行、顧客企業が「トッパンE-UD」の実績を確認できるようにした。
 サービス価格は、既存広報ツールの評価・コンサルティングから、デザイン企画、制作、印刷、発行後の効果測定までをトータルで提供した場合、1紙当たり約500万円。同社では、2010年度の導入実績として広報ツール制作で200件、売上で関連受注含めて約20億円を目指す。
 今後同社では、同支援サービスを足がかりに、セールスプローモーションや空間デザインなどの分野へもユニバーサルデザイン支援の対応領域を広げ、最終的には、企業のコミュニケーション活動全体のユニバーサルデザインをトータルでサポートする総合ソリューションの開発を進める考え。