PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 印刷業者の倒産、昨年後半から増加
視点の行方

印刷業者の倒産、昨年後半から増加

印刷ジャーナル 2009年8月5日

 帝国データバンクがこのほど発表した印刷業者の倒産動向調査によると、2001年から2009年6月までの印刷業者の倒産は842件。特に2008年下半期は84件(前期比+52.7%、前年同期比+20.0%)に増加。さらに2009年上半期は89件(同+6.0%、同+61.8%)発生し、半期ベースでは2001年以降最多となった。
 月別推移では、2008年10月に20件(前年同月11件)まで増加。その後8ヵ月中、7ヵ月で前年同月を上回る増加基調が続いた。
 一方、負債総額では2009年上半期は338億900万円となり、前年同期(354億1100万円)に次ぐ高水準となった。
 態様別でみると、「破産」が85件発生し、構成比は95.5%。「特別清算」(1件、構成比1.1%)も含め、「清算型」が構成比96.6%を占めた。中小.零細業者が多い印刷業者にとって、法的整理による再生が困難なことを示している。
 一方、「民事再生法」は3件(構成比3.4%)にとどまり、「会社更生法」は発生しなかった。
 負債額別では、「1000~5000万円未満」が34件(構成比38.2%)で最も多い。続いて「1億~5億円未満」(24件、同27.0%)、「5000万~1億円未満」(20件、同22.5%)と続いた。負債1億円未満の中小.零細企業が構成比60.7%と約6割を占めた一方、負債10億円以上は6件(同6.7%)発生した。
 資本金別では、「1000~5000万円未満」が42件(構成比47.2%)で最も多く、「100~1000万円未満」(30件、同33.7%)が続いた。個人経営と資本金1000万円未満の小規模企業が40件(同44.9%)を占めた。
 従業員数別では、「10人未満」が65件(構成比73%)で最も多く、「10人~50人未満」(20件、同22.5%)が続く。一方、「300人以上」は発生しなかった。従業員数合計は1034人となり、前期比は70.3%の大幅増加、前年同期比も2.1%の増加となった。
 主因別にみると、2009年は「販売不振」が68件(構成比76.4%)で最も多く、「売掛金回収難」(3件、同3.4%)、「業界不振」(3件、同3.4%)が続いた。販売不振や売掛金回収難などの「不況型倒産」は74件発生、構成比は83.1%で8割を超えた。一方「放漫経営」は1件(構成比1.1%)にとどまり、「設備投資の失敗」、「その他の経営計画の失敗」は発生しなかった。過大な設備投資というより、用紙値上げ、受注減など外部要因による倒産が大半であることを示している。
 業歴別にみると、「30年以上」が37件(構成比41.6%)でトップ。次いで「20~30年未満」(23件、同25.8%)、「15~20年未満」(10件、同11.2%)。「老舗倒産」の構成比が40%を上回った一方、業歴10年未満の倒産は11件(構成比12.4%)発生した。
 地域別に見ると、「関東」が39件(構成比43.8%)でトップ、「近畿」(26件、同29.2%)、「中部」(6件、同6.7%)が続く。「関東」、「近畿」の2地域で65件、構成比73%となり、不動産市況急変の影響を特に大きく受けた都市圏での増加が目立った。