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視点の行方

新設・拡充される助成金制度

印刷ジャーナル 2009年3月25日

 厚生労働省では、中小企業主向けに雇用調整助成金の助成内容等を拡充した中小企業緊急雇用安定助成金制度を創設している。
 同制度は、世界的な金融危機や景気の変動などの「経済上の理由」による企業収益の悪化から生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向をさせた場合に、それらにかかる手当もしくは賃金などの一部を助成するというもの。雇用維持の取り組みを支援するものとして、当面の間の措置となる。
 「経済上の理由」とは、景気の変動及び産業構造の変化並びに地域経済の衰退、競合する製品・サービス(輸入を含む)の出現、消費者物価、外貨為替、その他の価格の変動などの経済事情の変化を指すため、以下のような理由による事業活動の停止または縮小は同助成金の支給対象とはならない。
▽例年繰り返される季節的変動によるもの
▽事故または災害により施設または設備が被害を受けたことによるもの
▽法令違反もしくは不法行為、またはそれらの疑いによる行政処分、司法処分によって事業活動の全部または一部の停止を命じられたことによるもの(事業主が自主的に行なうものを含む)
 受給の要件は、(1)売上高または生産量等の事業活動を示す指標の最近3ヵ月の月平均値がその直前3ヵ月または前年同期と比較して減少していること(2)前期決算等の経常利益が赤字であること(ただし、(1)において売上高または生産量等が5%以上減少している場合は除かれる)となっている。
 一方、それぞれの受給額は以下の通り。
▽休業及び教育訓練の場合...休業手当または賃金に相当する額として厚生労働大臣の定める方法により算定した額の5分の4。ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度となる。教育訓練を実施した場合は、訓練費として1人1日当たり、6,000円を加算。
▽出向の場合...出向元事業主の負担額(出向元事業主の負担額が、出向前の通常賃金の2分の1を超える時は2分の1が限度となる)の5分の4。ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度となる。
▽支給限度日数...休業及び教育訓練を実施する場合は、対象期間内に実施した休業及び教育訓練が、出向を実施する場合は、対象期間内に開始した出向が支給対象となる。ただし、休業及び教育訓練を実施する場合、3年間で300日(最初の1年間は対象被保険者×200日分)が限度となり、これを超える休業及び教育訓練については支給の対象とならない。
 これら支給の対象となる休業、教育訓練及び出向の実施については、事前に都道府県労働局、またはハローワークに届け出る必要がある。
 同制度以外にも、昨年後半からの急激な景気変動を背景に、様々な助成金制度が新設・拡充されている。2009年のキャッチコピーとして多用される言葉「100年に一度の経済危機」。そんな時代の中、公助に目を向けてみる必要もあるのかもしれない。