PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 違法取引の通報制度創設
視点の行方

違法取引の通報制度創設

印刷ジャーナル 2008年12月15日

 経済産業省は、公正取引委員会と共に厚生労働省との連携による下請事業者の保護のための通報制度を創設・実施することを決定した。
 現在、原油・原材料高や世界的規模での金融危機が深まっていることに伴う景気後退の影響を受け、中小・小規模企業については仕入価格の上昇による経営圧迫や困難な資金繰りなど厳しい環境が続くと予測されており、こうした経済情勢を踏まえ政府は、8月に「安心実現のための緊急総合対策」、10月に「生活対策」をとりまとめ、これら対策のなかで下請事業者保護の強化を重要な柱と位置づけ、下請代金支払遅延等防止法の厳格な運用、違反行為への厳正な対処、相談体制の拡充のほか「下請保護情報ネットワーク」を構築し活用を進めている。経済産業省においても、同通報制度の的確な実施により厚生労働省及び公正取引委員会と連携し、下請取引の適正化を推進していく方針。
 なお通報制度の概要は次の通り。
1 通報制度
 労働基準監督機関における監督指導の結果、賃金不払等の労働基準関係法令違反が認められ、当該違反の背景に親事業者による下請代金支払遅延等防止法(以下「下請代金法という)第4条違反行為に該当する行為(「下請たたき」に当たる行為)が存在しているおそれのある事案を把握した場合→厚生労働省から経済産業省又は公正取引委員会へ通報する→経済産業省又は公正取引委員会は、下請取引の適正化のための必要な措置を講ずる。
2 通報事案
 労働基準監督機関における監督指導の結果、労働基準法第23条(金品の返還)、第24条(賃金の支払)、第37条(割増賃金の支払い)又は最低賃金法第4条(最低賃金の支払)のいずれかの法違反が認められ(軽微な法違反を除
く。)、当該違反の背景に下請代金法第4条の違反行為に該当する行為が存在しているおそれのある事案(下請事業者の意向を確認した場合に限る)
3 通報の方法・時期
 労働基準監督署は事案を把握した都度、都道府県労働局へ報告し、都道府県労働局は速やかに厚生労働省本省へ報告する。
 厚生労働省から経済産業省又は公正取引委員会へ通報。経済産業省又は公正取引委員会は、通報事案の処理状況等について、一定期間ごとに、厚生労働省本省に対し報告する。
4 その他
 経済産業省、公正取引委員会及び厚生労働省は、通報事案に係る情報管理を適切に行ない、秘密保持に万全を期することとする。