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視点の行方

CO2排出量で差別化

印刷ジャーナル 2008年6月25日

 経済産業省は、温室効果ガス削減に向けた取り組みの一環として、商品へのライフサイクルCO2排出量を表示する「カーボンフットプリント制度」の実用化・普及促進に向けた取り組みを開始している。
 このカーボンフットプリント(炭素の足跡)とは、商品のライフサイクル全般(資源採掘から廃棄まで)で排出された温室効果ガスをCO2量で表したもの。この制度が普及すると消費者は、CO2排出抑制に貢献する商品選択が可能となり、また商品を提供する側では、CO2排出量を表示することで温室効効果ガス削減に向けた企業努力を他社との差別化の手段として用いることができる。今年6月には、日本におけるカーボンフットプリント制度のあり方を検討する第一回カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」が開催され、食品メーカー、流通関連企業の関係者らが参加。同研究会では、カーボンフットプリント制度の実用化・普及を推進するため、カーボンフットプリントの算定・表示方法のあり方や表示の信頼性を担保するシステムのあり方、制度普及に向けた課題の整理などについて検討。また今年12月に開催されるエコプロダクツ2008において試行品を展示し、消費者の受容性など調査したうえでガイドラインの策定を目指していく。
 カーボンフットプリントへの取り組みで先行している英国では、官民が協力して温室効果ガスの算定に関する規格「PAS2050」を作成中で、また日本でも先日、サッポロビールが2009年中に主力ビールの一部で1缶あたりのCO2排出量を表示することを発表している。さらに国際標準化機構(ISO)の技術委員会(TC207)では、カーボンフットプリント算定基準のISO化に向けた検討を開始しており、今後、ISO化の提案が各国投票で可決されれば、年内にもISO規格の開発が始動され、その後、最大3年間程度の作業を経て国際規格の発行となる。
 印刷産業としても全体的なデザイン構成、商品表示方法のわかりやすさや機能性、そして最終的にはパッケージ自体のCO2削減への対応など新たなビジネスチャンスとして協業できる分野としての可能性があるのでは。
 なお経済産業省では、商品に表示(見える化)することで、事業者の温暖化対策を消費者にアピールすると共に消費者自身のCO2排出量の自覚を促す効果と、さらにサプライチェーンを通じた企業のCO2排出量削減を促進できるもとして期待している。