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視点の行方

7月から最低賃金法改正

印刷ジャーナル 2008年6月5日

 就業形態の多様化が進展する中、最低賃金制度については賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして十全に機能することが求められている。このような中、厚生労働省は昨年12月5日に「最低賃金法の一部を改正する法律」を交付。来月の7月1日より、最低賃金の決定基準や罰金の上限額、派遣労働者への適用関係などについての大きな改正が行なわれる。
 今般の改正では、すべての労働者について、最低限度の賃金水準を保障する役割を地域別最低賃金が担うこととし、その決定基準や罰則の見直しを行なうとともに、産業別最低賃金のあり方や派遣労働者への適用関係などについて改正を行なうこととしたもの。改正の概要は次のようになる。
 地域別最低賃金...地域別最低賃金を決定する場合は、労働者が健康で文化的な最低賃金最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性にも配慮することとなる。具体的な金額は、都道府県ごとに決定される。また、地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合の罰金の上限額は、従来の2万円から50万円に引き上げられる。
 産業別最低賃金...産業別最低賃金を支払った場合については、最低賃金法の罰則は適用されなくなり、労働基準法第24条の賃金の全額払違反の罰則(労働基準法第120条。罰金の上限額30万円)が適用される。ただし、産業別最低賃金が適用される労働者に地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合は、最低賃金法違反(罰金の上限50万円)となる。
 適用除外規定の見直し...適用除外規定が見直される。全ての労働者に最低賃金を適用するため、障害により著しく労働能力の低い者や試の試用期間中の者、認定職業訓練を受けている者に関する適用除外許可規定が廃止され、最低賃金の減額特例許可規定が新設される。
 派遣労働者の適用最低賃金...派遣労働者の適用最低賃金が変わる。派遣労働者については、派遣先の地域(産業)に適用される最低賃金が適用される。
 最低賃金額の表示...最低賃金額の表示が時間額のみに変わる。時間額、日額、週額または月額で定めることとされていた最低賃金額の表示単位が、時間額のみとなる。
 今般の改正では、地域別最低賃金を賃金の最低限度を保障するセーフティネットとして位置付けている。このため、改正法では「地域別最低賃金は、あまねく全国各地域について決定されなければならない」として地域別最低賃金の決定を都道府県労働局長に義務づけることとした。
 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定めることとなる。労働者の生計費を考慮する場合に、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、新たに生活保護に係る施策との整合性に配慮することになった。