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視点の行方

パートタイム労働法改正のポイント

印刷ジャーナル 2008年4月25日

 パートタイム労働法が改正され、4月1日より施行された。
 これは、パートタイム労働者の雇用環境を改善し、公正な処遇を実現するために施行されたものである。正社員と非正社員の処遇格差が社会問題ともなる中、パートタイム労働者(パートタイム・アルバイト・契約社員・臨時社員・嘱託)にとっては有利になったが、事業主にとっては気を付けなければならない点も多い。改正のポイントをまとめた。
 まず、パートタイム労働者を1人でも雇っている事業主は、雇い入れる際に労働条件を文書などで明示することが必要である。そして、雇い入れた後も、待遇の決定に当たって考慮した事項を労働者に説明しなければならない。パートタイム労働者から、通常の労働者へ転換するチャンスを与えることも必要になった。
 また、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇のバランスをとるため、賃金(基本給・賞与・役付手当等)は、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して決定するように努めなければならない。単に「パートタイマーは時給1000円」という一律ではなく、個々の職務の内容や能力のレベルに応じた賃金決定を行なわなければならなくなった。
 教育訓練は、職務内容、成果、意欲、能力、経験などに応じて実施することが必要。さらに、福利厚生施設(給食施設・休憩室・更衣室)の利用の機会をパートタイム労働者に対しても与えることを配慮しなければならない。また、パートタイム労働者の職務内容(業務の内容と責任の程度)が通常の労働者と同じ場合は、人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と一定期間同じ場合、その期間の賃金は通常の労働者と同じ方法で決定するように努めなければならない。
 職務の遂行に必要な能力を付与する教育訓練は、通常の労働者と同様に実施しなければならない。さらに、退職までの長期にわたる働き方が通常の労働者と同じ状態のパートタイム労働者については、すべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止された。
 万が一、パートタイム労働者と事業主の間に苦情や紛争が発生した場合は、事業主はパートタイム労働者から苦情の申出を受けたときは、自主的に解決するように努めなければならない。
 パートタイム労働者と事業主の間の紛争の解決を援助するため「都道府県労働局長による紛争解決援助」と「調停」が整備されることになった。
 さらに、今回のパートタイム労働法改正に伴い、パートタイム労働指針も改正されている。概要は次の通りである。
労働関係法令を遵守すること
労働条件を合理的な理由なく、一方的に不利益変更することは許されない
フルタイムで働く「パート」と呼ばれる労働者にも法の趣旨が考慮される
労働時間について配慮する
退職手当や通勤手当などについても均衡を考慮する
福利厚生についても均衡を考慮する
パートタイム労働者との話し合いを促進するよう努める
パートタイム労働者を不利益に取り扱わない
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